前頭2枚目が睨みを利かす

 今場所(7月)の番付は、前頭2枚目にに東・正代、西・御嶽海と奇しくも元大関が顔を揃えた。

大関陥落後、御嶽海(30歳)5場所目、正代4場所目(31歳)を数えるが、まだまだ老け込む年齢ではない。

新番付の上を見れば、4場所連続休場明けの先場所8度目の優勝を果たし横綱の面目を守った照ノ富士や、新大関・霧馬山改め霧島、関脇は大関獲りがかかる3人(豊昇龍・大栄翔・若元春)小結も今年に入ってから三役(小結)としての実力を証明してきた琴ノ若、復調してきた阿炎。

印象だけで語るに、この両雄は名古屋場所の三役陣とも(実力面で)引けを取らないはずだ。

前頭3枚目以下でも(主だったところで)再浮上してきた元大関・朝乃山、上位に定着してきた感のある翠富士、実力者(東西7枚目の)髙安や玉鷲にだって遜色ない・張り合える・いやそれ以上だ(期待値込み)

新番付を見渡してみて、この2人が名古屋場所をかき回す・動かす存在のように思えてならない自分がいる。


良き親友・良きライバル 琴奨菊と豊ノ島

琴奨菊と豊ノ島。
同年齢で同級生、奇しくも初土俵も一緒の同期生で大親友であることは、相撲ファンの間で広く知られている。

琴奨菊和弘こと菊次一弘は、1984年1月30日、福岡県柳川市で建設会社の社長をしている父の三男として生まれる。柔道の山下泰裕に影響された祖父の下、小学3年生で相撲を始め、毎日2時間の稽古を行い、隣のグラウンドで100メートルのタイヤ引きを1時間かけて40本行い、牛乳は毎日1リットル飲み、学校にはにぼしを持参という相撲の英才教育を受けた。

豊ノ島大樹こと梶原大樹は、1983年6月23日、高知県宿毛市で豆腐店を営む長男として生まれる。こちらは小学校時代、毎朝特大のおにぎり6個(米6合分)を食べて登校するなどして力士としての素養を磨いていた。

そんな2人は、「わんぱく相撲」の小学生時代からの戦友で「お互いが意識」ライバルとしてしのぎを削っていた。

中学・高校とアマチュア大会でお互いに活躍し、プロ入り。選択したのは
菊次(琴奨菊)が佐渡ヶ嶽部屋、梶原(豊ノ島)が時津風部屋だった。

十両までの道のりは琴奨菊2年半(15場所)、豊ノ島2年4ヶ月(14場所)とほぼ拮抗。

そんな2人の出世争いに変化が生じたのが2011年。
琴奨菊が初場所から関脇に定着し始めた。
その年の夏場所から、10勝・11勝・12勝で見事に大関昇進を果たしたのだ。

琴奨菊と言えばがぶり寄り。その看板・代名詞とも言える一番がこちら。

昇進伝達式で「大関の地位を汚さぬよう『万理一空』の境地を求めて、日々努力精進致します」と口上した大関在位は32場所を数えた。

その間の豊ノ島は、度々関脇・小結に名を連ねるも、そこからの厚い壁・上の番付に上がることはなかった。

琴奨菊、悲願の初優勝を2016年初場所に遂げるも、その3場所後の7月場所で古傷の左膝とアキレス腱などを痛め途中休場。翌2017年春場所には関脇へ陥落。時に33歳。

2018年以降は、三役復帰は叶わなかった。
2020年9月場所・2日目の明生戦で左ふくらはぎを痛め休場。このケガが力士人生に対して「ダメ押し」となる。
翌11月場所・西十両3枚目に下がったが現役続行。2日目に松鳳山に勝利したのみで1勝5敗と振るわず、現役引退を発表した。

豊ノ島は、2016年7月場所を目前にした稽古中に、左足のアキレス腱を断裂する大ケガに見舞われ、2場所連続で全休。番付も幕下7枚目まで後退、関取復帰まで2年を要した。
2019年にも今度は右足のアキレス腱を痛め、途中休場。このけがを皮切りにじわじわと番付を下げ、2020年1月場所・東十両11枚目の地位で4勝11敗の負け越し、引退を示唆したがこの時点で7歳となる愛娘に「お相撲さんでいてほしい。普通のお父さんになってほしくない」と言われて再起を決意するも、翌3月場所・東幕下2枚目で2勝5敗と負け越し。
場所後に引退を表明した。
自身の引退に際して「悔いはありませんけど、あるとすればもう1回、菊(琴奨菊)とやりたかった」とコメントした。

琴奨菊は年寄・秀ノ山を襲名。近い将来に独立し、部屋開設の準備中であると聞く。

一方の豊ノ島は年寄・井筒を襲名したが、今年1月に相撲協会に退職届を提出。
現在は、タレントとして活躍。現役時代からバラエティ番組に出演時にものまねや軽妙なトークのやりとりで人気を博していたその才能が生かされてるようだ。

琴奨菊と豊ノ島。
わんぱく相撲からの対決や、相撲人生での紆余曲折の重なり合った偶然は何を意味するのか。
今後の2人の活躍ぶりをしっかりと見届けたい。



14日目・究極の3番

 今場所もハイレベルな優勝争いを繰り広げている十両。
1敗トップの1人・落合は、西4枚目・狼雅戦。
お互いに元高校横綱で、鳥取城北高の先輩後輩の間柄でもある。

落合が素早く踏み込んで左四つ十分となるも、狼雅が右上手を取り、投げを打つ。落合、その隙を見逃さずに上手投げで快勝。今日も全く危なげなし。明日の欧勝馬戦へ歩を進めた。

もう一人の一敗力士豪ノ山は、のど輪ふた突きの電車道で玉正鳳に圧勝。1敗守り、気合を入れて千秋楽は北の若と。

~奥深い元大関対決、朝乃山-正代~

昨日照ノ富士に敗れ、優勝争いから一歩後退した朝乃山は小結・正代との「元大関対決」

朝乃山、立ち合いから一気に攻め込み、土俵際際どかったが正代を寄り倒し。11勝目を挙げた。不祥事による1年の謹慎期間を経て迎えた再入幕の場所、真摯に相撲と向き合いよくやっていると評価したい。

~横綱が優勝か、霧馬山が波乱起こすか~

結びの一番、勝てば優勝の照ノ富士。
対する霧馬山。2場所連続優勝を決めて、大関昇進に向け更なる花を添えたい。

両力士、相手の出方をうかがう(長い間合い)巻き替えの応酬から照ノ富士が引きつけて出る。最後はのど輪も重ねて寄り切った。6場所ぶり8度目の優勝!
序盤戦は不安感が無くもなかったが、そこから日増しに相撲勘を取り戻し、力強い相撲が蘇った。古傷(膝)の故障の影響で3場所連続休場明けのこの活躍は「あっぱれ!」以外の言葉が見当たらない。
惜しくも敗れた霧馬山は明日の豊昇龍戦に12勝目を賭ける。

十両優勝争いは昨日と変わらず
1敗 豪ノ山と落合
2敗 熱海富士

千秋楽は十両優勝の行方から目が離せない。

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9日目の猛者達

 対戦前から興味をそそる取組が目白押しの9日目。
今日は優勝争いにおいて大きな変化があった。
筆者目線で「強い」とか「力」を感じた5番を集めた。
(紹介する順番は)結びから十両に下っていく感じで。
あくまで筆者目線です。

~照ノ富士-明生~

休場明けここまで負けなし、8連勝で一気に勝ち越しを決めた横綱・照ノ富士。
対して、ここ2場所5勝止まり。今場所復調の兆し7勝1敗の東6枚目の明生。

左からかち上げ気味の立ち合い。右へ右へいなして右下手明生。左手添えながら出し投げ打つ明生。動きを止めず、最後はもろ差しから寄り切った。明生、見事初金星!
今の照ノ富士に勝つには、こういう横の動きを多用して崩しにかかるというか、そのお手本のような取り口だと思った。もっともっと場所を盛り上げてほしい存在だ。

~正代-翠富士~

積極的に前に相撲を続け、負けてもなお強しの今場所の正代。
対するは、5連敗のあと3連勝で星勘定を戻してきた翠富士(先場所の立役者)

低く当たる翠富士。もろ差しになるも、それを極めてかかる正代。翠富士、一旦は左差しを(極め)から抜くも、正代は強引に根こそぐように極め出した。
正代は上位陣との対戦は終えていて、今日から下位力士との戦いが始まっているが、どこまで星を伸ばしてくるか楽しみである。

~朝乃山-竜電~

「朝乃山、復活への道」
東前頭14枚目で迎えた今場所は7連勝で始まり、昨日北青鵬に惜敗した。
勝ち越しかけた竜電との一番。

鋭い当たりから右差しの朝乃山、竜電、頭をつけて両まわし、巻き替えながら寄って出た朝乃山が圧力で寄り倒した。2年ぶりの幕内勝ち越し決める。明日は2敗で好調の平戸海。

~豪ノ山-天空海~

今場所の豪ノ山が力強い。風格が備わってきたかのようだ。中日・8日目で早くも勝ち越しを決め、9日目の今日は天空海(立浪)戦。(動画・3分30秒すぎに立ち合い⇩)

https://www.youtube.com/watch?v=p7K5Wfa_ogI&t=70s

低い立ち合いから、一気の出足・電車道。
今日も強かった、文句なし!この隙のない相撲に負けるイメージが湧いてこない。
明日は楽しみ、2敗の熱海富士戦。

~落合-英乃海~

今場所も「怪物」ぶりを随所に発揮している。
スピードが違う、キレが違う。相撲勘・勝負勘が良く、技が多彩。
無限に出てくる、落合の力士力(りきしりょく)
初日から左肩にテーピングを施しながら、レベルの違いとも言うような強さを見せつけている。9連勝なるか、英乃海戦。

頭から強い当たりの落合、左おっつけながら出る落合。
英乃海の逆襲に遭うも、くるりと回る。回ったところをここぞとばかりに英乃海はつけ込んだが、上体が伸びてしまい力が伝わらなくなり、(落合の)突き落としが決まった。
あの体勢で勝ちを拾える・掴める落合は、ここ一番の勝負運をも持ち合わせる怪物なのか。
明日の対戦相手は武将山(藤島)

9日目を終えた大相撲夏場所、優勝争いは
幕内 1敗 照ノ富士・明生・朝乃山
十両 全勝 豪ノ山・落合
となっている。

特に幕内。
最後に栄冠を手にするのは、全くわからなくなってきたな。
うん、面白い。

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正代と翠富士と大の里初白星と・3日目

「相撲に勝って勝負に負ける」という言葉・言い伝えがある。
勝負事は勝ってなんぼだし、負けたら何もない。
でもやっぱり「内容」って問われる。
例えば立ち合いの変化や、土俵際の引き・叩き・突き落としばかりで勝ち星を重ねたところでファンの支持は得られない。
正攻法な戦い・必死さ・(伝わる)一生懸命さがあれば、多数の方々に応援していただける。

今場所って言ったってわずか3日しか取り終えてないけど、正代翠富士がこれにあてはまる部分があると思う。

偉そうな屁理屈を並べてしまいましたm(__)m

~ポジティブ・正代~

先場所から何か吹っ切れたかのように積極的な相撲が見られるようになった正代。
昨年末から右足親指の負傷を抱えていたようだが、復調してきたという背景もあるみたいです。3日目は若元春戦。

正代、左差しから力強くすくったところに若元春が巻き替えにきた。
そのタイミングで正代が一気に決めにかかるも(廻しを十分に引いてなかったからか)逆転の突き落としを食らってしまった。
この傾向、初日と昨日の本割り(取り直し前)や以前にも見られたように思う。
勝ち急いでるのかな。結果はついてこなかったが、弱気や消極的なところが見られないので評価していいと思う。

あなたは正代です↓↓↓

~171cm・116㎏が立ち向かう~

先場所初日から10連勝で(11日目まで)優勝争い単独トップの活躍を見せた翠富士。
得意技「肩透かし」を武器に堂々と上位と渡り合っている。
今場所初日は大関獲りのかかる霧馬山をあわやというところまで追い詰め、2日目も土俵際の逆転を許すまでは、攻撃的に支配していたのは翠富士だった。
3日目の今日は、大関・貴景勝戦。

貴景勝主導だったが、いなしながら局面打開を図り、貴景勝の叩きを繰り出すも怯まず立ち向かっていき、常に全力を出し尽くす相撲っぷりに好感が持てた。
3連敗スタートもまだまだ一泡吹かせてくれるのではと期待する自分がいる。

~大の里、初白星成る~

アマチュア横綱からプロ入りした大の里の2戦目。
対戦相手・西幕下10枚目の塚原(春日野)を押し出して待望のプロ初白星を挙げた。
立ち合いしっかり当たると、下がることなく前に出て、最後は頭を低くして押し出した。
おめでとう、大の里!