大の里、涙の意味

 大の里がその肩書と存在を再認識させてくれる結果に終わったが、
国歌・君が代斉唱の時に見せた涙は印象的だった。

プロ入り後、その順風満帆すぎるその経歴は、去年九州の千秋楽から音を立てて崩れていった。

「左肩鎖関節脱臼」

これにより休場を繰り返し、出場しても凡庸な成績で終わり(今年7月名古屋・9勝)迎えた9月秋場所だった。
白星は積み重ねるも、正直、土俵際の引きや叩きで「稼いだ」とも取れる勝ち星もあった。
13、14日目に(失礼だがここまでの成績で)伏兵視していた霧島と琴櫻に連敗。

嫌な予感もよぎったが、千秋楽の安青錦戦を一発勝負で決めてくれた(もろ手突きからの好内容・相手に何もさせずに)

自信を持って土俵に立ち、徐々に従来の相撲を取り戻そう。

自信回復
体調回復

豊昇龍と2横綱で大相撲を盛り上げてくれ。

藤ノ川と美ノ海がいてくれたからこそ

 結果、横綱・大の里が1年ぶり(6場所ぶり)に優勝奪回、
安青錦、逆転での連続優勝成らずで幕を閉じた秋場所。

三賞に関しては、表題に明記した藤ノ川と美ノ海が敢闘賞を分け合う形で受賞している。

この両雄が本当に場所を盛り上げ盛り立ててくれた。
その活躍に敬意を表する。

藤ノ川成剛 西関脇 11勝4敗

場所中に何度かこの藤ノ川に関して記載させていただいた。昨日と同じことを書く。
この力士の良さ素晴らしさは、スピード、気迫(闘争心)、若さといったところか。
3大関を総なめした相撲を振り返ったが、本当に目覚ましかった。こちらに貼り付けておく。
順に
6日目・安青錦戦

9日目・琴櫻戦

12日目・霧島戦

一部ネットニュースでは、大関昇進の目安(三役で3場所合計33勝)の起点も作った、とあった。
将来の可能性は無限大。まずはしばらく休んで疲れを癒してほしい。

美ノ海 義久 西前頭3枚目 10勝5敗

特に今年から番付上位で著しい活躍を見せている美ノ海。
今場所は2大関(琴櫻と霧島)を撃破。
突っ張りを起点に組み立てていく相撲が多いようだが、その殊勲を上げた大関戦を振り返る。

5日目・琴櫻戦

8日目・霧島戦

日大相撲部出身だが序ノ口からのデビュー。
出世はそんなに早い方ではなかった。キャリア(経験)を重ねて今がある。
沖縄県出身としては初の三役昇進は確実。
遅咲きの大輪、花開く。
沖縄県力士のパイオニア・美ノ海 義久である。

結局12勝の幕内優勝で終わりました 2026秋場所千秋楽

 最後に決めたのは、大の里。
安青錦の逆転優勝成らず。
大の里のもろ手突きがのど元に炸裂し、安青錦の左を封じた。その手を緩めず、大関のトレードマークと言える低い姿勢を阻止。そのまま突き出した。
まぁ、普通に取れば(変に考えすぎず、迷いなく前に出て圧力かければ)白星を重ねることができると思うのだが、今場所も相撲内容のムラが大きく感じた。今回の優勝を自信に変えて、ムラやブレの幅を少しでも矯正してもらいたい。
一方の安青錦、この秋場所もベストは状態ではなかったと思うが、8連勝で相星決戦に持ち込んだのは称賛に値する、さすが。来場所以降も優勝争い、いや大の里と双璧をなす存在として頑張り続けてほしい。

角界の風雲児・藤ノ川は、今場所大関取りも期待された熱海富士との一番。
猛進して熱海富士に当たってもろ差しに。しかし熱海富士に強烈に挟み付けられて一気に土俵際まで後退したが、右からのすくい投げで大逆転。敢闘賞受賞に花を添えた。
スピード感あふれる相撲、体格差を怖れず立ち向かっていく闘争心、そして若さ。
これらを活かして、来場所以降の活躍も期待したい。
熱海富士、終盤に大失速。単調に突っ込むだけじゃダメ。自身の型を向上させてほしい。
日頃の稽古もその辺を意識して取り組めば違ってくるのでは。

綱取りがかかった霧島も、角番がちらつくところまで成績が低迷するとは思わなかった。
今日の琴櫻戦では、立ち合いすぐの左上手(十分ではないが)霧島。じっくり引きつけて寄り切った。
霧島も調子にムラがあり、勝てる相撲を落としたりが散見していて、もうちょっと丁寧に取れば結果が違ったかなと思わせる時もあり。
せっかくの綱取りムードもまたゼロからのスタートになった。

遅咲きの大輪・美ノ海、今場所の総仕上げとなった大栄翔との一戦。
大栄翔の突っ張りにはね上げられたが、その大栄翔が引きにより自滅。それに乗じて押し出し。2度目の敢闘賞を2ケタ10勝で堂々と受賞した。

・朝乃山、義ノ富士に寄り倒され40場所ぶりの三賞受賞がふいに。
・宇良、翔猿との変則相撲対決を制し、10勝目。
・錦木「幕下落ちても部屋の仕事やる。藤ノ川の付け人もやる」と早くも宣言。6勝9敗で十両残留へ微妙な情勢
・三段目ペラ月狼(朝日山)千秋楽を白星で締めた5勝目。

今年の秋場所も12勝3敗で終わってしまった。寂しく、虚しい。

今場所もありがとうございました。

横綱が連敗で相星決戦へ 2026秋場所14日目

 結び。
右差しから一気に勝負に出た大の里。
琴櫻には残る足(余力)があった。いなされ、突き落とされてあっさり3敗に後退した大の里。
何でここまで焦るのか、一気に攻め立てなくても、二の矢三の矢と心と体に準備(シュミレーション)をしていたはずだが・・・。やっぱり絶対的な自信のなさがそうさせるのか。
最終盤で痛すぎる連敗。明日の千秋楽・安青錦戦は3敗同士の相星決戦で迎える。

対抗馬・安青錦
結び前に組まれた対霧島戦。
立ち合いすぐに頭をつけて自身の型に持ち込む安青錦。
しびれを切らせたのか霧島、すくい投げで仕掛けたところを寄り倒した(安青錦)土俵際はややもつれたか。
主導権は安青錦だったし、最後まで自らの相撲だったか。
霧島は現有の勢力の中、できうる限りのことはしたと思うのだが、あれが精一杯だったか。
綱取りから一転、勝ち越しをかけて明日は琴櫻と。

ここにきて優勝争いに食い込んできた朝乃山。
今日は風雲児・藤ノ川との好取組。
お互いに左の強烈なおっつけから、体を寄せ付けて強引に前へ出たのは朝乃山。
対して余力少しありの藤ノ川。決まり手は藤ノ川の突き落とし。
朝乃山は上体が伸びきった感があったか。
相撲以前に世代が違うとも言える両雄が「好取組」と位置付けできる状況で取組が組まれたことを感謝したい。
藤ノ川にもいい将来があって、朝乃山もどこまで再浮上劇を見せてくれるかという楽しみがある。

熱海富士、4連敗と意気消沈。
すぐに前みつを十分に取られた状態で勝負をつけようとしたのか?
最後は狼雅が前に出ながらの上手投げ。
リセットして来場所に臨む。その前に明日の藤ノ川戦に勝って今後につなげたい。

・藤ノ川弟の碇潟、十両の土俵で勝ち越し決める!
・元幕内・矢後、現役最重量(252㎏)の出羽ノ城が引退を表明。

引退を決めた矢後↓↓↓

衝撃!霧島が大の里を負かした 2026秋場所13日目

 今場所の両者の状態、星勘定などを鑑みれば、起きた現実は「番狂わせ」と当てはめることができるか。
結びの一番、大の里ー霧島は下手投げで制した。
霧島が左上手、大の里が右上手を起点に、霧島が寄る。続いて投げで崩しにいったが、大の里逆に引きつけて寄った。土俵際の攻防は霧島の下手投げが勝敗を分けた。
(何回か動画を見直したが)やはり焦り、勝ち急いだ感が見て取れた大の里。
勝てたであろう(失礼ながら)相手に喫した黒星は痛い2敗目。
一方の霧島は今場所「綱取り」とも位置付けられていたが、終盤にこういった形で注目を集めるとは予想だにしなかった。

安青錦は大関対決で琴櫻と。
差し合い交錯ののちに安青錦、左に体を開きながら肩透かしを炸裂。
7連勝で勝ち星を2ケタにのせてきた。トップを走る大の里にピタリと1差で追走中。

美ノ海ー藤ノ川も実に興味深い取組だった。
激しい突っ張り合いのあと、美ノ海が機を見て勇んで突っこんでいき、ブルドーザーのように押し出した。
互いに4敗になり、優勝戦線から後退しているが、秋場所を盛り上げ続ける両雄である。

熱海富士に朝乃山は、左前みつを取った朝乃山のワンマンショーだった。
押せ押せの勢いで、熱海富士の上体を上げ、万全の寄り切り。見事な完封劇。
元大関の底力を見せている朝乃山、明日(千秋楽)は誰と対戦?
捨てきれない可能性がなくもない。

・十両の輝、2敗に後退。目(眉間の辺りの)出血が気になる。
・勝てば三段目優勝だった納谷。残念にも負けてしまい(三段目)優勝逃す。