今日の大の里と昨日の尊富士

 今日の大の里には肝を冷やした。
相撲内容は終始攻勢だったが、土俵際の詰めの部分。
琴勝峰の捨て身のいなしに上体が飛んでしまった。物言いがつくも(確認のためか)明らかに琴勝峰の足が先に出ていた。全勝を守り(優勝争い)2差キープのまま。

この2人、因縁があったんですね。
去年11月(九州)の十両優勝を競い合い、本割り・決定戦を琴勝峰が制していることを忘れていました。
ともあれ今日の一番は大の里の勝利。(明日以降の)引き締め・思い知る部分と遭遇したのもよかったのではないかと。
明日の12日目は若隆景。(当然の事だが)また難敵が立ちはだかる。
この両雄「初顔合わせ」だ。

昨日、惜敗を喫した尊富士
今日は島津海と対戦のはずが、左ふくらはぎの肉離れで本日より休場。
もうけものの一勝(不戦勝)を手にした。
ここで昨日の一番を振り返りたいと思うが、(失礼だが)敗戦を食らう相手とは想像しなかった(今場所の実績・勢い、潜在能力などを加味すれば)
筆者もこの事実を知った時にはかなり驚いた。
9割方、尊富士がものにしていたこの取組。
土俵際に落とし穴があった。
「はたき込み」
東白龍の得意とする決まり手にハマったというか、食らってしまった。

明日の対戦相手は十両優勝争い1差で追う千代翔馬、大一番である。

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ご当地で勝負を賭ける、島津海

 九州場所のご当地力士、十両から幕内へ大勝負を賭ける力士がいる。

島津海 空(しまづうみ そら)
鹿児島県種子島(西之表市)出身
父は地元・草相撲の強豪力士。そのため現役時代の大関若嶋津と相撲を取る機会があり、この時の縁が自身の松ヶ根部屋入門に繋がったという。

小学校1年から廻しを締めて地域の大会に出場したこともあるそうだが、特筆すべき実績は挙げておらず、ほぼ未経験から中学校卒業と同時に当時の松ヶ根部屋に入門した(師匠・若嶋津)

三段目に上がるまで初土俵から1年かからなかったが、そこから幕下まで3年ちょっと。さらにその時から十両まで5年以上かかった。この間に休場が3場所あり、三段目との往復が続いた時期もある。

去年3月に念願の新十両入りを決めた場所途中に自身を育ててくれた若嶋津が停年。
十両昇進後は2ケタ勝利こそないもののコツコツと番付を上げ、いよいよ勝負の時がきた。

速く動いて、いかに得意のもろ差しに持ち込めるかがカギとなる。
種子島出身、浅黒い肌、どこまでも前師匠の若嶋津を彷彿とさせるこの島津海の活躍に期待したい。

十両昇進を決めた時の会心の一番がありました↓↓↓

現師匠とともに放駒部屋を盛り上げる↓↓↓

将来の横綱へ向けて 大の里の秋場所を検証

 今場所の新十両は4人いた。皆、アマチュア上がりのエリートとして入門してきた。
中でも別格だったのは、大の里(二所ノ関)である。主に2年連続のアマチュア横綱の実績が認められ、今年5月、鳴り物入りで幕下10枚目格付出からデビューした本格派・逸材である。

その大の里の秋場所最終成績は12勝3敗で準優勝・優勝次点と誠に立派なものだった。
大の里・9月の躍動を振り返る。

初日から無傷の9連勝を果たし、これ以上ない滑り出しをみせた。
積極的に突き押して「押し出し」しっかりと受けとめ「寄り切り」
がっちり当たった上で相手の動きを見極め、タイミングよく「はたき込み」も見せた。

初黒星を喫したのは、10日目・一山本戦。
一山本の左のど輪で上体を起こされ、大の里こらえたが、直後に一山本のはたき込みが決まった。大の里も足がついていかなかった。

12日目に組まれた同い年の北の若戦では、相撲内容は完全に勝っていたが、土俵際で逆転の上手投げを食ってしまった。回しを引いているか・いないかの違いで、最後、北の若に逆転を食らった悔しい負けだった。

千秋楽の狼雅戦は勝ち急ぎが敗戦を招いたのか、狼雅は回しは取っていなかったが、左に回りながら「グルン」という感じの威力がまさったのかすくい投げが決まり、千秋楽に痛すぎる星を落としてしまい、十両優勝を逃してしまった。

振り返ってみるとこの敗れた3番は、あと少しの詰め・足の動きとの連動がうまくいかずに(難しいもので欲張りだが)白星を取り損ねたか。つまり、実質勝っていたように思う。

12勝の勝ち星の内訳を調べたら
押し出し  6勝
寄り切り  3勝
はたき込み 2勝
押し倒し  1勝 でした。

圧倒的内容で勝つことが多かったが、先輩力士(プロ)はちゃんと課題も与えてくれたのでは。
半年経って、1年経って、3年5年経った頃、どんな力士に成長しているのか。
相撲を見る楽しみがまた増えた。

定番の相撲みやげをどうぞ↓↓↓






21歳若武者物語 秋場所千秋楽

 昨日14日目終えた時点で、優勝争いトップに立っていた。
相撲のネットニュースを見渡せば、「熱海富士 所要18場所史上最速V王手! 21歳0カ月で初賜杯なら白鵬超え年少記録」との見出しが目に付いた。もの凄い偉業に挑む熱海富士。今日の結果は如何に!?

~熱海富士・朝乃山戦~

若干朝乃山に分のある立ち合い、そのまま寄っていく朝乃山。熱海富士も左上手を取るが、流れを変えることができずに寄り切って朝乃山。熱海富士4敗になりこの時点で優勝の行方は決定戦に持ち込まれた。

~大栄翔・貴景勝戦~

4敗同士の一戦となったこの2人の対決。
お互いの激しい突き押しから、貴景勝が左のはず押しで大栄翔を横を向かせ送り出し。大関の圧力が勝った。貴景勝、決定戦進出!

他の4敗の2人 髙安は霧島に、北青鵬は豊昇龍に敗れ決定戦進出成らず!
豊昇龍は内掛けを絡めながら「渡し込み」で千秋楽勝ち越し。新大関として周りの目・立場状況が変わり苦労の多い場所だった。

~優勝決定戦 貴景勝・熱海富士戦~

熱海富士の対抗馬として残ったのが貴景勝。
4度目の優勝成るか、大関としての威厳を示すことができるのか。
熱海富士が鋭い踏み込みを見せたが、貴景勝左に動いてはたき込み!
何ともあっ気ない幕切れとなったが、大関が(立ち合い前の)相手の雰囲気・オーラを読み感じ取ったのか、優勝を勝ち取った。敗れた熱海富士は悔し涙にむせぶ。
11勝での優勝は決して褒められたものではないが、貫禄を見せつけた。

~他の取組をダイジェストで~

正代は宝富士に左四つから巻き替えの応酬から上手投げを決めて、千秋楽勝ち越し。

豪ノ山は翔猿に常に先手を取って突いて出て、押し出した。
先場所の新入幕トリオは、豪ノ山9勝・湘南乃海7勝・伯桜鵬・全休という結果に終わった。

※十両の優勝争いは、一山本が大奄美を押し出し、大の里が狼雅に土俵際のすくい投げで敗れ一山本が13勝2敗で優勝した。

熱海富士の偉業・快挙達成は成らなかった。
今日は地元から母・奈緒さん、妹・陽奈(ひな)さんが国技館に駆け付け、パブリックビューイングからは、熱海市民が懸命の声援を送ったが残念な結果に終わった。

今場所最後までこの21歳の新鋭に多くの相撲ファンが取り口・(相撲に賭ける)一途さ・人間臭さに虜にされた。

何も恥じることはない 胸を張ろう 来場所はもっと強くなる

両者にありがとう!↓↓↓




優勝争い、かけめぐる興奮 秋場所14日目

 熱海富士の毎日の奮闘は感動レベルだ、勝ち負けを超えている。
今日はどんなドラマを見せてくれるのか、阿炎戦。
立ち合い阿炎は左からの張り差し、熱海富士は出足よくそのはずみで土俵を割りそうになったがこらえる・持ちこたえた(よく稽古してる証だろう)左上手を取った熱海富士。阿炎も同じように左上手を取るが、熱海富士委細構わず寄って出た。阿炎の上手を切って最後はがぶって寄り切り。鼻血が滴り落ちたが、花道奥で(恒例となったが)付け人と喜びを分かち合った。日頃からの豊富な稽古量と相撲道に対する一途さが勝利を呼び寄せたか。明日は朝乃山戦。勝てば幕内優勝を手に入れる。

同じく3敗の貴景勝は結びで豊昇龍との大関対決。
貴景勝が突き放し豊昇龍に対して右上手を遠ざけていたが、豊昇龍が右に重心をずらしながら上手を取ることに成功。流れのまま頭を抑えて上手投げ。貴景勝土俵にゴロンと転がされた。貴景勝のいい展開だったが、上手を取られた時点で自由を奪われた感じになった。突き押しきれなかったし。痛恨の黒星で4敗に後退。反対に新大関も必死だ。7勝7敗の五分に星を持ち直し、千秋楽に勝ち越しをかける(北青鵬戦)

正代・朝乃山の元大関同士の対決は、正代が立ち合いスパッともろ差しになり一気に寄り切った。興味深い一番だったが、決着はあっ気なかった。正代(東前頭3枚目)は明日の千秋楽、宝富士戦に勝ち越しをかける。朝乃山8勝6敗とし、熱海富士の「最後の壁」として明日立ちはだかる。

~十両の優勝争い~

2敗で追いかける大の里は東白龍をほぼ左のど輪1本で押し倒し、圧勝。明日は東筆頭の狼雅。
1敗トップの一山本・北の若戦は突き落としで北の若。相手の指が目に入ったのか、目を痛がる表情・仕草が何度もあった。悔やまれる2敗目で千秋楽は大奄美と。
十両は一山本と大の里が2敗で並び、この両雄に優勝争いが絞られた。

明日の千秋楽、幕内では21歳の若者(熱海富士)がその若さと破壊力、相撲に賭けるひたむきな姿勢で神様を振り向かせることができるのか。
十両は緊張と重圧の中で、栄冠を手にするのは一山本か(未完の大器)大の里か。

千秋楽の大一番が待ちきれない。

熱海富士に念が届け!↓↓↓