新番付、面白どころ

 九州場所の番付が発表された。目についたところをいくつか言えば。

前頭4枚目に、東・豪ノ山 西・錦木。

幕内3場所目を迎える豪ノ山。先場所初の上位挑戦だったが、臆せずに向かっていった。2大関(貴景勝・豊昇龍)と1関脇(大栄翔)に負けはしたが、豊昇龍(大関)にのど輪で上を向かせ、大栄翔(関脇)に堂々と張り手をかましたその若さと強心臓で、今場所も躍進なるか。
先々場所の途中までの優勝争いを引っ張る活躍(10勝1敗からの最終成績10勝5敗)先場所33歳での新三役と遅咲きの活躍を見せていた錦木。先場所は場所前に右ふくらはぎを痛めて万全ではなかったそうだが、今場所への調整は順調だろうか。重い腰を活かして三役上位をかき回せてほしい。

新入幕4人のうちの2人、狼雅(東16枚目)と北の若(東17枚目)

この2人はアマチュアエリート。
入門前までの経歴・実績をたどれば(私の中では)出世に時間がかかったなぁという印象。
狼雅は今年初場所朝乃山戦や9月場所千秋楽・大の里戦で見せた闘志と大相撲を思い出してほしい。
「北の富士の秘蔵っ子」と目され期待の大きい北の若
素質にあぐらをかくところがあったのか、伸び悩んでいたように見えた。
前に出ることを忘れない積極的な相撲と、こちらも気迫をむき出しにした戦いを見せてほしいものだ。

最後に幕下。

上位15枚目以内はどこを切り取っても面白いメンツ揃いだが、私が目につけた・ついたのは、東の11、12、13枚目の3人。
東11枚目 北磻磨(先場所の三段目優勝)
 12枚目 朝志雄
 13枚目 夢道鵬
まずは北磻磨。130㎏しかないその体で、低く当たり、下から突き起こしていく相撲を信条とする。先場所の優勝インタビューで「(相撲に対して)好きが増してる。幕内に戻れるように頑張ります」と気を吐いた37歳は、再十両への足掛かりを築くことができるのか。
朝志雄は膝の大ケガの連続で、その度に大きく番付を下げてきたが、腐らずに努力をし続け這い上がってきたことに敬意を払いたい。ここでもうひと踏ん張りだ。
最後に夢道鵬。(聞きなれたアナウンスとして)大鵬の孫・あの貴闘力の息子(四男・末っ子)がこの夢道鵬である。自己最高位を更新した今場所は(憧れの)リーチをかけることができるか。夢への道を打ち立てることができるか。
ちなみに(この4兄弟の)三男・王鵬は東前頭12枚目、次男(四股名・納谷)は西三段目26枚目の今場所番付となっております(長男はプロレスラーとして活躍中)

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将来の横綱へ向けて 大の里の秋場所を検証

 今場所の新十両は4人いた。皆、アマチュア上がりのエリートとして入門してきた。
中でも別格だったのは、大の里(二所ノ関)である。主に2年連続のアマチュア横綱の実績が認められ、今年5月、鳴り物入りで幕下10枚目格付出からデビューした本格派・逸材である。

その大の里の秋場所最終成績は12勝3敗で準優勝・優勝次点と誠に立派なものだった。
大の里・9月の躍動を振り返る。

初日から無傷の9連勝を果たし、これ以上ない滑り出しをみせた。
積極的に突き押して「押し出し」しっかりと受けとめ「寄り切り」
がっちり当たった上で相手の動きを見極め、タイミングよく「はたき込み」も見せた。

初黒星を喫したのは、10日目・一山本戦。
一山本の左のど輪で上体を起こされ、大の里こらえたが、直後に一山本のはたき込みが決まった。大の里も足がついていかなかった。

12日目に組まれた同い年の北の若戦では、相撲内容は完全に勝っていたが、土俵際で逆転の上手投げを食ってしまった。回しを引いているか・いないかの違いで、最後、北の若に逆転を食らった悔しい負けだった。

千秋楽の狼雅戦は勝ち急ぎが敗戦を招いたのか、狼雅は回しは取っていなかったが、左に回りながら「グルン」という感じの威力がまさったのかすくい投げが決まり、千秋楽に痛すぎる星を落としてしまい、十両優勝を逃してしまった。

振り返ってみるとこの敗れた3番は、あと少しの詰め・足の動きとの連動がうまくいかずに(難しいもので欲張りだが)白星を取り損ねたか。つまり、実質勝っていたように思う。

12勝の勝ち星の内訳を調べたら
押し出し  6勝
寄り切り  3勝
はたき込み 2勝
押し倒し  1勝 でした。

圧倒的内容で勝つことが多かったが、先輩力士(プロ)はちゃんと課題も与えてくれたのでは。
半年経って、1年経って、3年5年経った頃、どんな力士に成長しているのか。
相撲を見る楽しみがまた増えた。

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21歳若武者物語 秋場所千秋楽

 昨日14日目終えた時点で、優勝争いトップに立っていた。
相撲のネットニュースを見渡せば、「熱海富士 所要18場所史上最速V王手! 21歳0カ月で初賜杯なら白鵬超え年少記録」との見出しが目に付いた。もの凄い偉業に挑む熱海富士。今日の結果は如何に!?

~熱海富士・朝乃山戦~

若干朝乃山に分のある立ち合い、そのまま寄っていく朝乃山。熱海富士も左上手を取るが、流れを変えることができずに寄り切って朝乃山。熱海富士4敗になりこの時点で優勝の行方は決定戦に持ち込まれた。

~大栄翔・貴景勝戦~

4敗同士の一戦となったこの2人の対決。
お互いの激しい突き押しから、貴景勝が左のはず押しで大栄翔を横を向かせ送り出し。大関の圧力が勝った。貴景勝、決定戦進出!

他の4敗の2人 髙安は霧島に、北青鵬は豊昇龍に敗れ決定戦進出成らず!
豊昇龍は内掛けを絡めながら「渡し込み」で千秋楽勝ち越し。新大関として周りの目・立場状況が変わり苦労の多い場所だった。

~優勝決定戦 貴景勝・熱海富士戦~

熱海富士の対抗馬として残ったのが貴景勝。
4度目の優勝成るか、大関としての威厳を示すことができるのか。
熱海富士が鋭い踏み込みを見せたが、貴景勝左に動いてはたき込み!
何ともあっ気ない幕切れとなったが、大関が(立ち合い前の)相手の雰囲気・オーラを読み感じ取ったのか、優勝を勝ち取った。敗れた熱海富士は悔し涙にむせぶ。
11勝での優勝は決して褒められたものではないが、貫禄を見せつけた。

~他の取組をダイジェストで~

正代は宝富士に左四つから巻き替えの応酬から上手投げを決めて、千秋楽勝ち越し。

豪ノ山は翔猿に常に先手を取って突いて出て、押し出した。
先場所の新入幕トリオは、豪ノ山9勝・湘南乃海7勝・伯桜鵬・全休という結果に終わった。

※十両の優勝争いは、一山本が大奄美を押し出し、大の里が狼雅に土俵際のすくい投げで敗れ一山本が13勝2敗で優勝した。

熱海富士の偉業・快挙達成は成らなかった。
今日は地元から母・奈緒さん、妹・陽奈(ひな)さんが国技館に駆け付け、パブリックビューイングからは、熱海市民が懸命の声援を送ったが残念な結果に終わった。

今場所最後までこの21歳の新鋭に多くの相撲ファンが取り口・(相撲に賭ける)一途さ・人間臭さに虜にされた。

何も恥じることはない 胸を張ろう 来場所はもっと強くなる

両者にありがとう!↓↓↓




キーワードは「外喜義」と「鳥取城北」

 昨日からの続き・重なる部分があるのだが、二子山部屋・現在唯一の関取が狼雅。
狼雅 外喜義(ろうが ときよし)である。ロシア・トゥヴア共和国初の関取だ。

「外喜義」「鳥取城北」

この狼雅と相撲との接点・きっかけは、14歳でモンゴルへ移住した際に首都・ウランバートルの街中に掲げられていた白鵬杯の看板を見た父親から同大会への出場を勧められ、同大会で2年連続入賞したこと。この活躍がアマチュア相撲の強豪・鳥取城北高校関係者の目に留まり、同校へ相撲留学。
これが、狼雅の人生を大きく変えることになった。

この鳥取城北高校の校長・相撲部総監督が石浦外喜義氏。何を隠そう元前頭の石浦(現・間垣親方)の父である。
指導者としては、四股やすり足を嫌というほど繰り返すなど、基本の稽古の徹底と「しょげない」「おごらない」「あきらめない」の3つの言葉を唱えさせてるとか。
この下の名前を狼雅は去年2022年3月から四股名にしている。
相撲に対する意識や心掛け、魂を忘れないなどを背負って戦うという心意気か。

そんな狼雅の先場所は東十両2枚目で8勝7敗。新十両から5場所連続で勝ち越してはいるものの、(9月場所に)新入幕として番付に据えるには(7月場所の幕内下位陣との星の兼ね合いもあるが)勝ち星の数によるアピール、プッシュが弱いかもしれない。

鳥取城北高校相撲部のOBで、現役力士・主な面々は
横綱・照ノ富士、水戸龍、美ノ海、北青鵬、貴健斗、伯桜鵬、向中野改め天照鵬(てんしょうほう)など。

今日のキーワードの種明かし。

「外喜義」は、アマチュア相撲の強豪・鳥取城北高校の相撲部総監督(名伯楽)であり、間垣親方の実父。現役力士・狼雅(二子山部屋)の下の名前(四股名)

「鳥取城北」は、アマチュア相撲の強者・精鋭達が排出した相撲部のある高校の名称 でございました。

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葛飾区、相撲部屋増加中

 

 大島部屋が10月に(東京都)葛飾区へ移転予定があるらしい。

大島部屋のWikipediaより
「6代による再興以降」の項目、最後部から
2023年(令和5年)10月に葛飾区青戸へ移転する予定となっている。移転先は公有地であるため、移転に先立って今年2月に葛飾区との間で「葛飾区と相撲部屋との連携・協力に関する協定」を、九重部屋、二子山部屋と共に締結している。 とあった。

今の墨田区業平にある部屋は友綱部屋時代から引き続き使用している。
立派な建物・部屋・施設に見えたが、ここは大島部屋への改称(再興)となり、新たな船出を切るというところか。
ちなみに現在の大島部屋は関取が不在である。
部屋頭は元前頭8枚目の旭大星。力士数はこの旭大星を含めた6名と寂しい限りだ。

九重部屋は、おととし2月に葛飾区奥戸へ移転してきた。
先代の九重(元・千代の富士)が自宅を改装して建てた部屋を引き継ぎ、借用する形で(先代の時から)30年近く使ってきた。千代の富士の死後、数年を経て正式に「自分たちの城を持とう・構えよう」と決意・行動はその表れか。

二子山部屋は、同じく2年前の5月場所前にその年の3月場所をもって閉鎖された東関部屋が使用していた葛飾区柴又の施設に移転、現在に至る。
簡単な経緯としては、先代の13代東関・潮丸の死去後、14代・高見盛が1年間の「暫定親方期間」を終えて、東関部屋が消滅する可能性があると報道されたが、
・元々東関部屋の施設は葛飾区の区有地を50年契約で借りていて後継者が必要だったこと
・亡くなった元・潮丸と元・雅山が仲が良く、懇意にしていたこと
・それまで部屋を埼玉県所沢市に構え、国技館まで電車を乗り継いで1時間以上かかっていたため、力士の負担を減らし、稽古環境を整えるためのもの
などを理由に葛飾区への移転を決めた。

相撲部屋の多くが所在する(主に)墨田区や江東区などに、新興勢力として葛飾区の3部屋が挑む形の構図も、何だか面白く興味が湧いてくる。

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