最後に笑ったのは豊昇龍 名古屋場所・千秋楽

幕内優勝に至る3番(戦況)を書く。

 錦木ー北勝富士

 低い当たりの北勝富士、錦木はいなそうにも圧力を制御できない。
北勝富士の「優勝したい・するんだ」という念が、自らを明確に奮い立たす要素がほぼ無くなってしまった錦木との差がそうさせたのか。

引き落として北勝富士。優勝決定戦へと駒を進めた。
錦木の最終成績10勝5敗、殊勲賞受賞で今場所終了。最終盤に痛恨の4連敗を喫したが、最後まで名古屋場所を盛り上げた中心人物だった。

豊昇龍ー伯桜鵬

大関獲りのかかる豊昇龍と109年ぶり新入幕優勝の偉業がかかった伯桜鵬戦。
時間前の仕切りから鋭い視線のぶつけ合い。朝青龍の甥に対し、令和の怪物も負けてはいない。
立ち合い右上手の豊昇龍、息をもつかせず鮮やかな上手投げが決まり、決定戦進出!
プロの土俵経験(経験値)で怪物をねじ伏せた。

負け残りで19歳は、悔しさを滲ませていたがかけがいのない経験になった。

豊昇龍ー北勝富士(優勝決定戦)

12日目の本割りで対戦したこの2人は、北勝富士が終始突き放し「押し出し」て勝っている。決定戦では豊昇龍が圧力をかけ続け北勝富士の引きを誘い出した。これも番付と経験の差がもたらしたものなのか。「初優勝」を掴み取ったのは、豊昇龍智勝だった。

取組後に佐渡ケ嶽審判部長(元関脇・琴ノ若)が八角理事長(元横綱・北勝海)に臨時理事会の招集を要請。事実上の大関昇進が決まった。

横綱大関陣の所在が不明瞭な中、名古屋場所・幕内優勝は東関脇に着地した。

同じようなことを繰り返し書くようだが、今の横綱大関は乱気流に巻き込まれた状態にある。

大関・豊昇龍はこの乱れた序列を肩書き通りの威厳あるものに戻せる存在になれるのか。

49日後に始まる秋場所に注目だ。

祝・豊昇龍初優勝↓↓↓

新入幕が奇跡へと歩を進める 名古屋場所14日目

伯桜鵬ー北勝富士

 両者左差し。長い駆け引きが続いたあと、しびれを切らしたのか伯桜鵬が仕掛けた。そこで北勝富士が勝負に出る。一気に仕留めにかかるも、(伯桜鵬)俵伝いに突き落とし!物言いがついた。協議の結果、軍配通り伯桜鵬!

伯桜鵬の右かかとが出てなかったと確認された。
「かかとに目がある」力士達は土俵人生の中で自然とこの感覚が養われるというが「土俵際のしぶとさ」で伯桜鵬は一体いくつもの逆転勝利をものにしてきたか。
北勝富士は最善を尽くしたが優勝争いをしているだけに痛い星を落とした。
明日の伯桜鵬は豊昇龍と、北勝富士は錦木と割が組まれている。

豊昇龍ー若元春

全くの愚策に終わった。負けられない・来場所につなげたいにしても、首をかしげたくなる奇襲だった。若元春が左に大きく八艘飛びするかのように飛んだが、豊昇龍は若元春の右足に触れた直後に左下手を取り、頭をつけ、右から豪快な小手投げ。

豊昇龍、見事な対応と矢継ぎ早な攻め、優勝(大関昇進)に賭ける「気合」と「集中力」がまるで全く違った。若元春、重圧にも負けたか。

朝乃山ー霧島

元大関に新大関。朝乃山(途中休場3日)に霧島(初日不戦敗のあと2日の休み)の対決。
突き放しいなしたのは霧島。右を差した朝乃山が寄りながらすくい投げを豪快に決めてみせた。

新大関霧島は2休を含めると、負け越しになり来場所はカド番の立ち位置となった。
元大関朝乃山は明日の若元春戦に勝ち越しをかける。

・2連敗中の錦木。左差し・右おっつけで寄って出るも、竜電がしぼり上げるような右のおっつけでもろ差しの形となり、逆転の下手投げで竜電の勝ち。錦木は攻め急ぎ「勝つ」ことに対して焦ってしまったか、痛恨の3連敗となり残念にも優勝が消えた。

明日の千秋楽、結び前に豊昇龍ー伯桜鵬の大一番が控えている。
北勝富士の結果いかんだが、今の私はこの伯桜鵬が109年ぶりの偉業を見届けたい・やってくれるのではという胸の高鳴りが収まらない。

今場所の話題の面々↓↓↓

各段優勝(三段目以外で)

昨日の13日目、三段目を除く各段優勝が決まった。
その紹介と簡単なプロフィール。

幕下優勝 東筆頭 時疾風(時津風・26歳)7勝0敗

先場所の新十両だったが終盤5連敗で6勝9敗の負け越し。
1場所で幕下陥落。大の里をはじめに実力者達を立て続けに7連勝。
「すぐに戻ってやると、場所前から優勝を狙っていた」と心に秘めていた。
この日、序ノ口で優勝を決めた安大翔(18=安治川部屋)は同じ宮城県栗原市出身で栗駒中の8年後輩にあたる。同一場所で同郷、同じ中学出身の力士が複数各段優勝という珍しい快挙に「いいですねー」と笑顔がはじけた。
調べていくうちにタレント・狩野英孝とも同じ中学だと発覚した。
再十両での活躍が期待される。

名門・時津風に灯りをともした男

序二段優勝 西序二段38枚目 小城ノ正(出羽海・30歳)7勝0敗

力士生活15年目の30歳。約10年前には変形性膝関節症の手術を受けてるそうで、左膝は「良くもなく悪くもない」状態だという。十分な稽古もできない中でもできる範囲でコツコツ努力を重ねてきた。最高位は東幕下22枚目 大阪府豊中市出身 

序ノ口優勝 西序ノ口18枚目 安大翔(安治川・18歳)7勝0敗

「あんおおしょう」と読む。小3から相撲を始め、中学高校とアマチュアで上位入賞。
先場所(5月)初土俵。師匠(元関脇・安美錦)の期待も大きい。「これを一つのステップとして、目標は3場所で幕下に上がること」と来場所以降の大勝ちも見据えた。
安大翔(本人)も力強く語る。「横綱になります。親方の番付を越したい」と憧れの師匠を超えることを誓った。

※三段目は、東44枚目・朝白龍(高砂)と東86枚目・若碇(伊勢ノ海)が7戦全勝同士で千秋楽に優勝決定戦が行われることになっている。

暑い夏を乗り越えましょう↓↓↓



19歳が109年ぶりの偉業に向かう 名古屋場所13日目

 昨日(12日目)3関脇が揃って黒星を喫し(優勝争いから)1歩後退。
今日(13日目)には、昨日終了時点でトップに立った平幕2人が明暗を分けた。

錦木ー伯桜鵬

立ち合い伯桜鵬は右のど輪に、頭をしっかり錦木の顔の下につけ、得意の左四つも腰の重い錦木を相手に胸を合わせる形で行き詰ったが、そこから自ら引きつける形で動き、左足で内掛けを決めた。

振り返ってみると、失礼だが錦木は伯桜鵬の手のひらで転がされていたのかなとも思えなくもない。切り替えの早さ(それに伴う)柔軟性・技の選択肢が伯桜鵬に多くあったように思えた。ひょっとして、この19歳は明日明後日で偉業を成し遂げるかもしれない。錦木はここにきて痛い2連敗。

豊昇龍ー霧島

右上手を狙う意図で、若干右にずれた立ち合い豊昇龍が易々と右上手を取る。出し投げで崩し頭をつけ、霧島はやりにくい。苦し紛れに大関が(豊昇龍の)首に手を添えながら下手にふるところを豊昇龍が寄り切った。

豊昇龍は頭脳的に霧島へ勝利する目標に対し、最短のやり方でそれをやり遂げたのではないか。38秒で目的に到達した。明日は若元春と。最後の星の潰し合いだ。

若元春ー大栄翔

必死の大栄翔、のど輪を主に若元春を土俵際へと追い詰める。攻め急ぎすぎたか。大栄翔の体が伸びきってしまいしまい、若元春のはたき込みで勝負が決してしまった。

大栄翔の必死さが画面越しに痛いほど伝わってくるのだが、勝負は別物。3連敗を喫し5敗目。大関獲りに関しては完全に可能性が潰えた。若元春、明日豊昇龍に一泡吹かせるか、意地を見せられるか。

優勝争いの整理。
2敗 北勝富士(ただ一人)
3敗 豊昇龍・錦木・伯桜鵬

優勝争い・大関獲り、山の頂が見えてこない。

北勝富士とともに↓↓↓


 

名古屋場所・12日目は奇想天外!?

 今場所を迎えるにあたって「3関脇の(誰が)大関昇進を果たすか」「(話題性のある)新入幕3人がどこまで通用するか」が主な話題・焦点だったように思う。

今日は、この大関獲りのかかった3人にいずれも土がついてしまった。
混迷極める名古屋場所12日目をハイライトでお届けする。

錦木ー湘南乃海

立ち合い左差しの錦木。そのあと右をねじ込もうと巻き替えを試みる錦木。ちょっと無理があった。寄っていくと見せかけて右からの小手投げ一閃!新入幕に軍配!

ここまで上位陣を手玉に取り、優勝争いのトップになった錦木がまさかの(失礼)伏兵に足元をすくわれる結果になるとは、ほとんどの人がそうは思わなかったはずだ。三役上位陣との対戦も終えていたので。2敗に後退した錦木、明日も「新入幕」伯桜鵬と対戦。

豊昇龍ー北勝富士

2敗同士の重要な意味を持つ一戦、豊昇龍に北勝富士。3関脇の中で2敗を守ってきた豊昇龍。対戦相手の北勝富士に対しては過去5戦全勝にしている「カモ」だったが・・・。
立ち合いからペースを奪われた。強烈な突き押しで体を起こされ、まわしに手にかけられず左足が土俵外に飛び出して完敗に終わる。

これは北勝富士の「気迫・作戦勝ち」だった。対戦成績の悪さを踏まえ「どうしたら回しを取られないか」「どうしたら勝ちに持ち込めるか」動画を繰り返し見て、朝の稽古・取組前の調整でいろんな想定を膨らませていたのではないか。豊昇龍は目安の勝ち星から鑑みると負けられなくなった。

伯桜鵬ー阿炎

初の三役との対戦を迎えた伯桜鵬。片や今日負けたら負け越し、三役の座を明け渡すことになる阿炎、負けられない。(新入幕の)勢いを止めたい。三役の矜持を守りたい。その思いは3度の立ち合い待ったという形で現れたのか。4度目で成立した立ち合い。もろ手突きを見せる阿炎に伯桜鵬はすぐに引いて呼び込んでしまったが、逆襲に出る。相手が連続していなしてきたところにつけこみ、最後は体当り・タックルするかの如く押し出した。

勝敗が決した直後に伯桜鵬がテーピングを施している左肩付近を強打したらしく、なかなか立ち上がれずに心配な場面があった。明日は錦木に挑む。

・結びに組まれた若元春ー霧島戦は、若元春いいところなく完敗。場所後の大関への夢は潰えたか。
大栄翔も気合が空回りした形になり、玉鷲に(余裕気味に)見切られはたき込みで4敗に後退。もう本当にひとつも負けられなくなった。

豊昇龍=名古屋=ドラゴンズで掛け合わせてみました。