翔猿、横綱大関4連戦のあとを振り返る

 今場所の翔猿(東前頭2枚目)は(番付上、仕方ないことではあるが)初日からの4日間、横綱大関戦が続いた。そこを3勝1敗で乗り越え好発進。
引退した横綱照ノ富士に本割で引導を渡したのは、他でもないこの翔猿正也である。

さて、その後は。

5日目・宇良戦
人気力士対決は土俵際の攻防になり、すんでのところで叩き込みが決まって勝ったのは翔猿だった。土俵下、芸者さんが座ってる辺りのところに突っこんでいく形になった。

6日目・王鵬戦
早い動きで揺さぶりたいところだったが、王鵬が翔猿の動きを見ていた。
王鵬が6連勝とした一番。

7日目・正代戦
正代が終始攻勢だったが、強引気味に放った小手投げがすっぽ抜けて翔猿が逆転勝利を拾う。

8日目・阿炎戦
終始、攻め立てるも阿炎の右いなしで形勢逆転、押し出しに敗れる。

9日目(今日このあと)若元春戦を控えている。

負けた王鵬戦(6日目)と阿炎戦(8日目)では取組直後に苦笑いを浮かべていた(笑)
なんで負けたのに笑うんだろうなといつも思う。
でも、そういうキャラクターなんですね、彼は。

勝ち負けを超越して翔猿を(今場所)最後まで楽しもうと思います。



元大関の圧勝劇、金峰山が無敗の荒野を走る 2025初場所8日目

 今場所、綱取りのかかっている一角・琴櫻は早々に5敗を喫して圏外へ。
同じく綱取りが注目される豊昇龍は、元大関・正代との対戦。
この正代、取組前までの成績を見れば、2勝5敗。
この両者の対戦成績、今場所ここまでの両者の相撲内容からして、豊昇龍側にしてみればさほど脅威には感じないだろうなぁと思ったのだが。
立ち合いから切り崩しにかかる豊昇龍の突き押しに正代はたじろぐことなく受けて立つ。
それどころか突き返してみせた。後退した豊昇龍、そのまま押し倒して勝利を手にしたのは正代。
受け取り方ひとつだが
「元大関」という肩書・響きは、全盛期より下り坂でピーク時よりも凋落していると私自身は捉える向きが多い。
しかしこの正代という力士、上述のことも当てはまりながら、どこか「油断(軽視)できない」「やってくれるのでは」という期待感が常に胸中にある。
今日はその正代だったように思う。

金峰山が中日(8日目)で勝ち越しを決めた。
今日は1敗のベテラン・玉鷲が対戦相手にあてがわれた。
自信満々にのど輪を主武器にして土俵際まで玉鷲を追い込むも、左からのいなしで(玉鷲が)形勢逆転。それでも相手の動きをよく見ていた金峰山は両差しになって寄り切った。
躍進する再入幕。
しかし、番付は前頭14枚目。これから強豪にぶつけられ真価が問われる。
明日は尊富士戦。これは面白そうだ。

その尊富士。
今場所の成績通り、無二の強さを今日も発揮。付け入る隙のない出足と圧力で北の若を圧倒。病院送りにしてしまった。診断の結果、骨折が判明。明日9日目からの(北の若は)休場が決定的らしい。

8日目の十両から

・西4枚目の獅司が、古参の佐田の海を寄り切って勝ち越しリーチ。
・十両2場所目の若碇、立ち合いからの超・速攻でこちらも勝ち越し王手。
・安青錦も剣翔を危なげなく寄り切って7勝目。

この3力士が十両のトップを走っている。

同期生対決は豊昇龍のスピードに軍配 2025初場所7日目

片や 今場所綱取りがかかるあの朝青龍の甥
片や ついに覚醒したかあの大鵬の孫(貴闘力の三男)

思えば同期生。
一時はかなり番付(出世争い)でかなり水をあけられた時期もあったが、今場所レベルの高い次元(王鵬6連勝・豊昇龍5勝1敗)で相まみえられる事、非常に感慨深い。

さて、実際の取組は。
結論を言ってしまえば「スピード差」が如実に出た一番だった。
豊昇龍が立ち合いから早くて強い。間をおかずに突き放し、右のいなしも強烈。王鵬を横を向かせた時点で勝負あり(主導権を渡すことなく)王鵬をほぼ完封した。
体格的な資質からくるすばしっこさ、戦前に立てた作戦を繰り返し頭と体に擦りこみ、遂行させた結果だろう。
三役上位陣が不甲斐ない中、確実に白星を増やしていきたい。本当の山場はこれからだ。

幕内復帰2場所目の尊富士。4日目・玉鷲戦で初黒星を喫したが、敗戦に引きずることなく積極的は相撲を見せてくれている。
この日の欧勝馬戦でも、相手の小手投げに上体が崩れかけたが怯むことなく土俵下にたたきつける感じの押し出し。一敗を守っている。

ここまで負け知らずできている金峰山。
今場所の彼の存在を引き立たせている「重たそうなのど輪」がまた炸裂。
これを立て続けにもらったら対戦者・時疾風もひとたまりもない。
金峰山、無敗を守り幕内土俵を千代翔馬と牽引している。
番付低迷の要因とされた首の痛みも随分状態がいいとか。

6日目の幕下から

 昨日の結果から、幕下で私の気になった力士(勝敗)を書きます。

東幕下7枚目栃丸が西幕下8枚目石崎(朝紅龍・弟)に押し出して負け。
栃丸の立ち合い変化、完全に失敗。もったいなすぎる敗戦。

西幕下6枚目魁清城(父は元幕下、名城國 自身の自己最高位)は松井(伊勢ヶ濱のホープ)に押し出された。
↓↓現在、浅香山の部屋頭・魁清城です。

三段目に番付を落としていた大ベテラン富士東(37歳)もようやく西幕下36枚目まで戻ってきたが、大飛翔(追手風)に敗れて3連敗。

3場所前の7月場所で1勝14敗と大きく負け越し、関取の座を明け渡した對馬洋(境川)は西幕下38枚目。出沼(二子山)を押し出して3連勝。今場所はどこまで取り返せるか(對馬洋)

ごめんなさい、今日は粗末な投稿になりました。

追憶・照ノ富士が再び這い上がる時

 第73代横綱・照ノ富士の現役引退が発表された。
「やっぱりか」「もう無理だよな」この一報を聞いた時の私の率直な思いです。
両ひざの爆弾と糖尿病を抱えながらの戦いについに幕を下ろした。
こんなドラマティックな土俵人生を送った力士も他に例をみない。

振り返ると2017年7月からケガ(膝)との戦いが始まっている。
途中休場が続き、2018年5月にも左膝を負傷。これを境に幕下へ陥落。
4場所連続休場から番付は序二段48枚目まで降下(2019年3月)
照ノ富士自著の本のタイトル一部「奈落の底」=番付を落としきったのはこの時。
再出場した照ノ富士は7戦全勝する。しかしもう一人同成績を収めた者がおり、優勝決定戦に持ち込まれた。このもう一人とは、現役力士・狼雅(二子山)である。
その決定戦の動画があった。

(この一番は決定戦だから、千秋楽のお客さんが多くいる中で行われる訳だが)普通に序二段力士として取っている時、どれだけ(ある種の)落差を感じながら取組をこなしていたのか(まばらな観客、歓声を浴びることなく)粛々と与えられた取組を(つらく切ない思いをして)全うし続けていたのか。

しかし、ここから照ノ富士は這い上がり栄冠を勝ち取るのだった。
この序二段の場所からわずか2年半で横綱昇進。
通算10回の優勝の誇る大横綱へと駆け上がっていった。