序ノ口・35歳以上

 名古屋場所(7月)の序ノ口番付、東西合わせて43人いた中で35歳以上で絞ってみると、出てきたのがこの5人。西筆頭霧丸以外は残念ながら負け越しを記録した。

西筆頭 霧丸 4勝3敗 (陸奥・38歳) 

東2枚目 潮来桜 2勝5敗 (式秀・44歳) 

東3枚目 輝の里 3勝4敗 (田子ノ浦・45歳)

西6枚目 澤勇 1勝6敗 (式秀・46歳)

西21枚目 肥後光 0勝7敗 (木瀬・35歳)

全員生涯戦歴20年以上、輝の里以外の4人は、「序二段」が最高位であった。

序ノ口といえば、本場所興行のおおよその時間割に当てはめると、遅くても午前10時前後には取組が終了しているか。

良いも悪いもない。

新序出世披露していく若者と取組を通して、自分の居場所と存在を発信し続ける。

左から、霧丸・潮来桜・輝の里・澤勇・肥後光↓↓↓

来場所頼みますよ!新大関!!↓↓↓

千代の国へ

こんなにもケガ続きの力士がいただろうか。
こんなにもその度に這い上がり相撲と真摯に向き合った力士がいただろうか。
こんなにも善人で裏表のない素晴らしい人柄の力士がいただろうか。

元前頭筆頭・千代の国が現役引退し、年寄「佐ノ山」を襲名した。

繰り返しになるが千代の国と言えば、けが連続の相撲人生。
関取から幕下に陥落すること2回。うち1回は三段目28枚目まで番付を落とした。

気づけば両膝に厚ぼったい感じのサポーター、肩の周辺にはテーピング(脱臼癖あり)
以前、骨折までした踵(かかと)には、固定する目的だろうサポーターなど。

いつしか度重なるケガの治療が趣味になったそうだ(鍼や整体)
四六時中、相撲の事を考え、挫けず諦めなかった。

怪我の話ばかりになってしまった。
最高位は東前頭筆頭(2017年5月場所)
この場所には唯一の金星も獲得している(2日目・鶴竜戦) 敢闘賞2回受賞。
2017年初場所に対戦した嘉風(現・中村親方)は「自分ごときが言うのもアレですが、一目置いてるというか気持ちのいい力士ですね。ガッツあるし、良く稽古するし、まじめだし、熱心ですよね」と取組後に談話を残している。
4つ年上に兄がおり、九重部屋の元幕下。現在では力士俳優として活躍している澤田賢澄(けんしょう)

今年5月場所に初日から9連敗した時の「両膝半月板損傷、左変形性膝関節症」のケガが力士生活の終焉となった。

現役時代に培った経験を活かしどんな力士を育ててくれるのか、楽しみである。

2人の師匠に支えられたという千代の国。
先代(元横綱 千代の富士)からは、「お酒をやめて相撲と向き合え」
現師匠(元 千代大海)からは2度目の幕下陥落時に「お前は部屋の宝だ。お前が明るくないと部屋が明るくない」と声をかけられたと話したあとに号泣した姿は忘れません。

千代の国関、17年もの土俵生活本当にお疲れ様でした。

8月6日・追記

千代の国引退 年寄佐ノ山襲名会見の動画を見つけました。是非、ご覧ください。涙ものです。

 

まだまだ暑いです↓↓↓


千代の富士の命日に、初顔の小錦戦を振り返る

 今日7月31日は、あの昭和最後の大横綱・千代の富士の7回目の命日に当たる。
もう7年が経ったんだなぁ。歳月が過ぎ去っていく早さを実感している。

この命日に、多大なる功績を残してくれた千代の富士の何かを振り返ろうといろいろ模索したところ、浮かんできたのがこの1番。

千代の富士ー小錦(初顔合わせ)昭和59年秋場所14日目

ハワイ・オアフ島出身。黒船襲来と恐れられた驚異的破壊力と突き押しで番付を駆け上がり、迎えた千代の富士との初顔合わせ。

※当時の千代の富士(1984年)の背景・・・休場2回と皆勤した2場所も12勝と11勝、この9月場所も9勝4敗でこの日を迎える。(千代の富士にしては)良くない、不調が続いていた時期だった。

下から下から小錦が突き上げるように押す。これが誠に強い。千代の富士、得意の前みつを引こうにも触れられない。この強力な圧力と突き押し、わずか数発で千代の富士は土俵の外へふっ飛ばされてしまった。

この敗戦を機に、千代の富士は琴風に初顔からの5連敗からの猛稽古で苦手克服したように、小錦のところにも出稽古を散々繰り返して、通算対戦成績を20勝9敗としたのであった。

この時点で千代の富士29歳、9度の優勝。ここから22回の優勝を積み重ねる大横綱に登り詰めるのであった。今にして思えば、ウルフの相撲人生で数ある転機・分岐点のひとつになったと言えよう。

この場所の幕内優勝は平幕(12枚目)の多賀竜。
当時、東京場所の常設だった蔵前国技館最後の場所。

相撲史が大きく生まれ変わる時期の思い出・エピソードのひとつだ。

常に大横綱と一緒に↓↓↓


大の里・高橋に続く二所の次鋒

秋場所の番付編成会議で二所ノ関部屋からは大の里と高橋の新十両が決まったと発表された。

(二所ノ関部屋から)次なる関取を目指せるホープと言われれば、宮城(写真・左)と嘉陽(同・右)を推したい。

名前(名字)が示す通り、2人とも沖縄出身(嘉陽自身は千葉県市川市出身だが(嘉陽の)両親が沖縄出身だそうだ)年齢も同じ24歳だが、1999年の早生まれである宮城が1学年上。出身大学も日本体育大学同士と偶然が重なる。

宮城は学生の頃から「ひねり技」で勝負を決めることがあったそうだが、目指すところは前みつを取って前に出る相撲らしい。
対する嘉陽は、突き押し相撲に勝機を見出す。

ここまでの出世状況・比較であるが、
宮城は序ノ口から初土俵を踏み(2021年5月場所)ここまで14場所中、負け越しはたった2場所。最新の名古屋場所では西幕下20枚目で4勝3敗。
嘉陽はアマチュアの実績が認められ、三段目付出(90枚目)でデビュー(2022年5月場所)ここまで8場所戦って、負け越しがこちらも2回。直近の名古屋では西幕下37枚目で5勝2敗。今年は1月から負け越し⇒勝ち越しを順繰りにきているが、秋場所はその壁を打ち破れるか。

去年6月、茨城県稲敷郡阿見町に1800坪の土地に2面の土俵とトレーニング室、建物の外には懸垂用の鉄棒や、半面のバスケットボールコートなども設置された今までにない斬新な部屋新設から丸1年が過ぎた。

大の里と高橋に次いで、大銀杏を結い、化粧廻しをつけられる十両に上がれるのはこの宮城か嘉陽か、他にも龍王と花房という幕下力士が控えている。

吉報が続く二所ノ関部屋の勢いは止まりそうにない。

お風呂・シャワーのあとは、このタオルでさっぱりと↓↓↓


「丸」系力士の現役関取と関取経験者

 力士の四股名にもいろんな種類・系統がある。
ごく一般的な「海」「山」「花」「川」「富士」「錦」や
動物名をつけたり、部屋に由緒ある文字を名乗ったりというパターンが多い。

今日は「丸」の字の四股名を追跡してみた。
推し力士の「栃丸」がいるからである。
四股名の上部分だけ「丸」の字がつく力士は、序ノ口まで見渡してみると19人を数えた。
このうちの現役関取と関取経験者にスポットを当てました。
該当した3力士の名古屋場所の成績は・・・四股名の由来、どういう意味や願いが込められているかも含めて。

千代丸 一樹(ちよまる かずき)九重部屋 東十両11枚目・8勝7敗 

バラエティ番組に多く出演歴のある人気力士。
突き押しを武器に、東前頭5枚目で最高位を上げた。ここ数年は幕内と十両の往復が傾向として見られる。三賞受賞と金星獲得はここまでなし。
四股名の由来は、三段目昇進時に本名の木下から千代丸に変える時に、親は「千代大志」という四股名を提案したが、現在の師匠・千代大海がまだ現役であり「”大”の字を使うのは顔じゃない」と思ったのと、13代九重(元・千代の富士)から「よし、丸いから”千代丸だ”!」とあっさり言われ、あっ気なく決まったとか。

栃丸 正典(とちまる まさのり)春日野部屋 西幕下25枚目・3勝4敗

ガチの突き押しスタイルは貴景勝・大栄翔・豪ノ山を彷彿とさせる。
今場所は2日目に初登場・初白星、相手は夢道鵬(大嶽・貴闘力の四男)しかしそのあと4連敗。最後に意地を見せて2連勝。またわずかに番付を下降させることになった。
十両から陥落して5場所を数える。来月26日で31歳。
最高位・西十両11枚目。奮起を促したい。
四股名の由来は栃丸の丸い体型を見て師匠(元関脇・栃乃和歌)が命名したもの

大翔丸 翔伍(だいしょうまる しょうご)追手風部屋 西幕下18枚目・2勝5敗

アマチュア横綱から鳴り物入りでプロ入り(幕下15枚目格付出)
この初土俵時の肩書をもってすると新十両までは多少時間がかかったか(所要8場所)こちらも突き押しメインに、一時は東前頭5枚目まで登り詰めた。
去年7月場所からの幕下陥落後は苦労が続いているようである。
十両昇進時に「大翔丸」と改名。この四股名には「何かが欠けたら丸にならない。自分の相撲を完全に取り切ってほしい」という願いが込められている。

この3人の共通点。あんこ型で体重160キロ以上あって、突き押し相撲、愛嬌がある。
でも「丸」力士全体を見渡せば、120キロ台の力士もいるし、全員が突き押し力士かと言ったらそうでもないみたいで。何を基準に「丸」を付けているのか??
今日は「丸」系力士を取り上げてみました。

やっぱりこの表情が最高です↓↓↓