第73代横綱・照ノ富士の現役引退が発表された。
「やっぱりか」「もう無理だよな」この一報を聞いた時の私の率直な思いです。
両ひざの爆弾と糖尿病を抱えながらの戦いについに幕を下ろした。
こんなドラマティックな土俵人生を送った力士も他に例をみない。
振り返ると2017年7月からケガ(膝)との戦いが始まっている。
途中休場が続き、2018年5月にも左膝を負傷。これを境に幕下へ陥落。
4場所連続休場から番付は序二段48枚目まで降下(2019年3月)
照ノ富士自著の本のタイトル一部「奈落の底」=番付を落としきったのはこの時。
再出場した照ノ富士は7戦全勝する。しかしもう一人同成績を収めた者がおり、優勝決定戦に持ち込まれた。このもう一人とは、現役力士・狼雅(二子山)である。
その決定戦の動画があった。
(この一番は決定戦だから、千秋楽のお客さんが多くいる中で行われる訳だが)普通に序二段力士として取っている時、どれだけ(ある種の)落差を感じながら取組をこなしていたのか(まばらな観客、歓声を浴びることなく)粛々と与えられた取組を(つらく切ない思いをして)全うし続けていたのか。
しかし、ここから照ノ富士は這い上がり栄冠を勝ち取るのだった。
この序二段の場所からわずか2年半で横綱昇進。
通算10回の優勝の誇る大横綱へと駆け上がっていった。