幕下16枚目から30枚目の主要処

 幕下15枚目・・・成績次第で十両昇進の可能性が見えて来ることからテレビ・ネット中継では定期的に星取が紹介され、本場所の入場者に配布される取組表の裏にも(星取表)が掲載される。関取予備軍である。

今日はその下の15枚。幕下16枚目から30枚目に焦点を当てようと思う。
15枚目以内が「関取予備軍」なら、こちらは「準・関取予備軍」か。
東西合わせて30人中、関取経験者4人(明瀬山・大翔丸・千代嵐・栃丸)
現役関取と兄弟にあたる力士が3人(琴手計・若隆元・夢道鵬)番付されている趣深い位置である(間違いがなければ)

この中で大勝ち(6勝)を記録したのは、尊富士(東17枚目・伊勢ヶ濱)
何と言ってもここまでの出世が早い。初土俵が去年9月。序ノ口・序二段優勝を7戦全勝を決め、そのあとの3場所連続で6勝1敗。ここまでの通算成績が32勝3敗。それがゆえにまだ髷が結えていない(7月場所現在)来場所は幕下10枚目辺りに番付されるのか。(鍛え上げられた)肩の隆々とした筋肉が目に焼きつく24歳である。

ご当所となる明瀬山(東16枚目・愛知県春日井市)が5勝2敗。
6勝目を賭けた7番相撲の塚原(春日野)戦は惜敗だった。諦めずに必ず関取復帰する日があると信じたい(1週間前に38歳になった)

第48代横綱・大鵬の孫、あの貴闘力の息子・夢道鵬(むどうほう・東26枚目・大嶽)は5勝2敗。2場所連続の5勝2敗で来場所は自己最高位(東20枚目)を更新するものと思われる。納谷4兄弟の末っ子。現役力士で活躍しているのは下3人。順番で言うと次男・納谷(東三段目13枚目)、王鵬である。(長男はプロレスラーの納谷幸男)

(15枚目まで同様)実力者が多く配置され、突破が困難な壁・関所と言える。
来場所はどんな面々・布陣で形成されるのか。

酷暑の夏、汗拭きにどうぞ↓↓↓

+1

次の大関は大栄翔か若元春か、いや、琴ノ若か。

 目まぐるしく移り変わった名古屋場所の優勝争い。千秋楽に伯桜鵬、決定戦で北勝富士を破り、賜杯を手にしたのは豊昇龍。同時に大関昇進も叶った。

星取表を見渡して他の力士の活躍を振り返れば、東小結で11勝を上げた琴ノ若が目についた。本当に力をつけてきているし、更に上位の地位も窺えるのではと思う。
今年初場所より4場所連続で小結に番付され、8勝・9勝・8勝ときて、今場所飛躍した。

その琴ノ若の出色の一番(対戦相手のレベル・格も含めた)は、10日目・豊昇龍戦だ。
立ち合いでもろ差しになった琴ノ若。すぐ巻き替えにいく豊昇龍に対して琴ノ若寄って出る。渾身ののど輪から一気呵成に決めにかかった。防戦一方の豊昇龍。最後は押し出された。

7日目・錦木戦もよかった。立ち合いスパッと2本入りもろ差し。そのまま電車道での寄り切り。まわしも取れない錦木は強引に小手に振ろうとしたが焼け石に水。錦木に今場所初黒星をつけた相撲だった。

4敗を喫した中でよくなかった相撲は似たような感じだったが、霧島戦と翔猿戦か。
今、紹介したこの相撲と逆パターン↑↑琴ノ若が寄られて形勢逆転を図ろうと小手投げにいこうとしたところを付け込まれて墓穴を掘り黒星を喫した2番があった。

基本的な取り口として、右四つ・寄り(相撲展開や相手に合わせて)押し相撲でもいける万能力士。その柔軟な取り口に(他の力士も羨むような)大柄な体格、加えてその体が柔らかいときたもんだ。来場所(9月)は大栄翔・若元春に次ぐ3人目の関脇として番付されるのではという見方が多いがどうなるか。

琴ノ若 傑太 秋場所は大関獲りへ向けて、周囲に認められるような「足固め」となる成績を収めることができるのか。

大関獲りへ向けて↓↓↓

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最後に笑ったのは豊昇龍 名古屋場所・千秋楽

幕内優勝に至る3番(戦況)を書く。

 錦木ー北勝富士

 低い当たりの北勝富士、錦木はいなそうにも圧力を制御できない。
北勝富士の「優勝したい・するんだ」という念が、自らを明確に奮い立たす要素がほぼ無くなってしまった錦木との差がそうさせたのか。

引き落として北勝富士。優勝決定戦へと駒を進めた。
錦木の最終成績10勝5敗、殊勲賞受賞で今場所終了。最終盤に痛恨の4連敗を喫したが、最後まで名古屋場所を盛り上げた中心人物だった。

豊昇龍ー伯桜鵬

大関獲りのかかる豊昇龍と109年ぶり新入幕優勝の偉業がかかった伯桜鵬戦。
時間前の仕切りから鋭い視線のぶつけ合い。朝青龍の甥に対し、令和の怪物も負けてはいない。
立ち合い右上手の豊昇龍、息をもつかせず鮮やかな上手投げが決まり、決定戦進出!
プロの土俵経験(経験値)で怪物をねじ伏せた。

負け残りで19歳は、悔しさを滲ませていたがかけがいのない経験になった。

豊昇龍ー北勝富士(優勝決定戦)

12日目の本割りで対戦したこの2人は、北勝富士が終始突き放し「押し出し」て勝っている。決定戦では豊昇龍が圧力をかけ続け北勝富士の引きを誘い出した。これも番付と経験の差がもたらしたものなのか。「初優勝」を掴み取ったのは、豊昇龍智勝だった。

取組後に佐渡ケ嶽審判部長(元関脇・琴ノ若)が八角理事長(元横綱・北勝海)に臨時理事会の招集を要請。事実上の大関昇進が決まった。

横綱大関陣の所在が不明瞭な中、名古屋場所・幕内優勝は東関脇に着地した。

同じようなことを繰り返し書くようだが、今の横綱大関は乱気流に巻き込まれた状態にある。

大関・豊昇龍はこの乱れた序列を肩書き通りの威厳あるものに戻せる存在になれるのか。

49日後に始まる秋場所に注目だ。

祝・豊昇龍初優勝↓↓↓

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新入幕が奇跡へと歩を進める 名古屋場所14日目

伯桜鵬ー北勝富士

 両者左差し。長い駆け引きが続いたあと、しびれを切らしたのか伯桜鵬が仕掛けた。そこで北勝富士が勝負に出る。一気に仕留めにかかるも、(伯桜鵬)俵伝いに突き落とし!物言いがついた。協議の結果、軍配通り伯桜鵬!

伯桜鵬の右かかとが出てなかったと確認された。
「かかとに目がある」力士達は土俵人生の中で自然とこの感覚が養われるというが「土俵際のしぶとさ」で伯桜鵬は一体いくつもの逆転勝利をものにしてきたか。
北勝富士は最善を尽くしたが優勝争いをしているだけに痛い星を落とした。
明日の伯桜鵬は豊昇龍と、北勝富士は錦木と割が組まれている。

豊昇龍ー若元春

全くの愚策に終わった。負けられない・来場所につなげたいにしても、首をかしげたくなる奇襲だった。若元春が左に大きく八艘飛びするかのように飛んだが、豊昇龍は若元春の右足に触れた直後に左下手を取り、頭をつけ、右から豪快な小手投げ。

豊昇龍、見事な対応と矢継ぎ早な攻め、優勝(大関昇進)に賭ける「気合」と「集中力」がまるで全く違った。若元春、重圧にも負けたか。

朝乃山ー霧島

元大関に新大関。朝乃山(途中休場3日)に霧島(初日不戦敗のあと2日の休み)の対決。
突き放しいなしたのは霧島。右を差した朝乃山が寄りながらすくい投げを豪快に決めてみせた。

新大関霧島は2休を含めると、負け越しになり来場所はカド番の立ち位置となった。
元大関朝乃山は明日の若元春戦に勝ち越しをかける。

・2連敗中の錦木。左差し・右おっつけで寄って出るも、竜電がしぼり上げるような右のおっつけでもろ差しの形となり、逆転の下手投げで竜電の勝ち。錦木は攻め急ぎ「勝つ」ことに対して焦ってしまったか、痛恨の3連敗となり残念にも優勝が消えた。

明日の千秋楽、結び前に豊昇龍ー伯桜鵬の大一番が控えている。
北勝富士の結果いかんだが、今の私はこの伯桜鵬が109年ぶりの偉業を見届けたい・やってくれるのではという胸の高鳴りが収まらない。

今場所の話題の面々↓↓↓

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各段優勝(三段目以外で)

昨日の13日目、三段目を除く各段優勝が決まった。
その紹介と簡単なプロフィール。

幕下優勝 東筆頭 時疾風(時津風・26歳)7勝0敗

先場所の新十両だったが終盤5連敗で6勝9敗の負け越し。
1場所で幕下陥落。大の里をはじめに実力者達を立て続けに7連勝。
「すぐに戻ってやると、場所前から優勝を狙っていた」と心に秘めていた。
この日、序ノ口で優勝を決めた安大翔(18=安治川部屋)は同じ宮城県栗原市出身で栗駒中の8年後輩にあたる。同一場所で同郷、同じ中学出身の力士が複数各段優勝という珍しい快挙に「いいですねー」と笑顔がはじけた。
調べていくうちにタレント・狩野英孝とも同じ中学だと発覚した。
再十両での活躍が期待される。

名門・時津風に灯りをともした男

序二段優勝 西序二段38枚目 小城ノ正(出羽海・30歳)7勝0敗

力士生活15年目の30歳。約10年前には変形性膝関節症の手術を受けてるそうで、左膝は「良くもなく悪くもない」状態だという。十分な稽古もできない中でもできる範囲でコツコツ努力を重ねてきた。最高位は東幕下22枚目 大阪府豊中市出身 

序ノ口優勝 西序ノ口18枚目 安大翔(安治川・18歳)7勝0敗

「あんおおしょう」と読む。小3から相撲を始め、中学高校とアマチュアで上位入賞。
先場所(5月)初土俵。師匠(元関脇・安美錦)の期待も大きい。「これを一つのステップとして、目標は3場所で幕下に上がること」と来場所以降の大勝ちも見据えた。
安大翔(本人)も力強く語る。「横綱になります。親方の番付を越したい」と憧れの師匠を超えることを誓った。

※三段目は、東44枚目・朝白龍(高砂)と東86枚目・若碇(伊勢ノ海)が7戦全勝同士で千秋楽に優勝決定戦が行われることになっている。

暑い夏を乗り越えましょう↓↓↓



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