阿佐ヶ谷横綱決戦

 昨日からの続きになるが、輪島の横綱在位は47場所(1973年7月場所~1981年3月場所)を数えるが、この期間中に「横綱」として切磋琢磨した力士は(北の富士・琴櫻・北の湖・(2代目)若乃花・三重ノ海)と5名を数える。

「輪湖時代」と評され振り返ることが多いが、今日はそれを逆手に取ると言ったら言い過ぎかもしれないが、この5名のうちの一人、2代目若乃花(幹士)との対決に焦点を当てたいと思う。

この2人の対戦成績は(輪島から見た)19勝14敗と輪島が若干リードしている形になるが、横綱としての実績・力士としての最終形で振り返ると、若乃花も負けていない。

当時の両雄が所属する部屋は輪島(花籠)に若乃花(二子山)
元大関・魁傑の放駒部屋と合わせて「東の両国、西の阿佐ヶ谷」と言われたほど活気づき、実力・人気を兼ね備えた関取を何名も輩出している(1970~80年代)

「黄金の左」と称された絶対的な左からの投げを切り札に持つ輪島に対して、左四つからの上手投げなど、廻しを引けば若乃花も遜色ないスタイルを持っていた。

両者の熱戦を回顧する。

①1977年(昭和52年)9月場所14日目 対 若三杉戦(当時・大関)
昨日も貼りましたが(すみません)
脂が乗りきった頃の輪島。当場所は中盤まで9勝1敗と優勝争いの一員だったが、11日目から(豊山・貴ノ花・旭國)らに3連敗した翌日の取組だった。
一方の若三杉。この日までの成績は10勝3敗だった。最終盤の横綱大関との対戦(潰し合い)をしている最中だった。

②1978年(昭和53年)11月場所13日目 対 横綱・若乃花(2代目)戦
輪島と若乃花、ここまで12連勝と負けなしで迎えた「阿佐ヶ谷決戦」
途中「水入り」が入る大相撲。息詰まる熱戦の模様がこの動画越しにも伝わってくる。
先んじて言うと、この場所を制したのはこの若乃花。通算4回の優勝の内、唯一の全勝優勝を果たした場所でもあった。

輪島は33歳で引退。
若乃花は29歳で引退。

両者とも結婚(プライベート)で躓いた。

輪島はその後、年寄株を担保にしていたことが発覚後(結果論)になるが、栄光が衰えていったように思う。(プロレスラー転向・相撲評論家・バラエティ番組出演・アメフトのクラブチーム総監督など)
若乃花は1983年12月に二子山部屋から分家独立後、多数の関取を育てた。
また調べてみては、当時中学生横綱のタイトルを獲得した高見盛を間垣部屋に勧誘したとされるが(高見盛が)断ったとされる(初めて知りました)理事を10年務めたが、自身や部屋の弟子に関するトラブルが相次いだ。

輪島は2018年10月に70歳で、若乃花は2022年7月に69歳で逝去している。

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黄金の左、煌く3番

 第54代横綱・輪島大士。
とかく豪傑な力士で、エピソードに事欠かない。

プロ入門時の高額な契約金や(入門前での)引退後の部屋継承の保証。
私生活の派手さ(豪快な遊びっぷり)
好敵手・北の湖との「輪湖時代」とも呼ばれたしのぎ合いなど、語りつくせぬほど逸話の数々がある。

「黄金の左」と形容されたその強い強い下手投げで掴んだ勝利数は42。
その厳選した3番をお伝えしたい。

①1973年(昭和48年)5月場所14日目 対 横綱・北の富士戦
この場所の輪島は大関在位4場所目、15戦全勝優勝成る。前年から三役に定着。2ケタ勝利を重ねており、当時25歳の若武者(輪島)はメキメキと力をつけている頃だった。
片や北の富士は、正直言ってピークを過ぎかけていた時期で、この場所は東横綱として9勝6敗。その後はケガが重なり、翌年7月場所途中に32歳で引退した。
「新旧交代」に値する一番かもしれない。

②1977年(昭和52年)9月場所14日目 対 若三杉戦
時の大関、若三杉も下手投げでねじ伏せてみせた。
脂が乗りきった頃の輪島。当場所は中盤まで9勝1敗と優勝争いの一員だったが、11日目から(豊山・貴ノ花・旭國)らに3連敗した翌日の取組だった。
一方の若三杉。この日までの成績は10勝3敗だった。最終盤の横綱大関との対戦(潰し合い)をしている最中だった。
先んじて言うと、この場所を制したのは西横綱・北の湖(9回目・全勝)である。

③1977年(昭和52年)7月場所千秋楽 対 北の湖戦
この場所の輪島は強かった(絶好調)当時の三役陣を片っ端から撃破。14連勝で千秋楽決戦へ。
片や北の湖。7日目に関脇・黒姫山に手痛い1敗を喫するも、この黒星以外は順当に白星を積み重ねて13勝1敗で輪島戦を迎えた。
この場所の星取表を見渡してみて、(当時の)充実した両横綱が場所を引っ張り、盛り上げていたのがよくわかった。

輪島大士の出身地は、奇しくも年明け元旦に大地震に見舞われた石川県七尾市。
石川県を中心とした北陸地方の被災された皆様、並びに(北陸地方在住の)相撲ファンの方々へ心よりお見舞い申し上げます。
 被災された皆様の生活が1日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。

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新年に輝く星、大の里と尊富士

 新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ「相撲、日々一考」をどうぞ宜しくお願い致します。

さて今年一回目の当ブログ。
どこに眼差しを向けようかと思ったが、新入幕・新十両から一人ずつ、大の里と尊富士を取り上げようと思う。更なる活躍と本領発揮(爆発)を期待して。

大の里泰輝(西前頭15枚目・二所ノ関)
鳴り物入りで入門、次の初場所はプロ5場所目を迎える大の里。
アマチュアでの輝かしい実績、話題性を鑑みてここまでの出世スピードは早かったか否か。
私は順調な方だと思う。2場所目(去年7月の)東幕下3枚目で4勝3敗の時は「あれ?」とは思ったが。
決して大袈裟ではなく、すぐにでも横綱大関を張れそうな立派な体格 192cm・183㎏(相撲協会公式サイトより)に、柔軟(幅広い)取り口、臨機応変なその(どこからでも来いとばかりの)スタイルに自信と経験(十両2場所12勝)が重なってきたか、次の初場所の大の里が凄く楽しみでワクワクする。
好成績から終盤(後半)には割りを崩して、三役以上と対戦し、三賞(敢闘賞)獲得あたりまでの活躍を今から期待してしまうのだが。
初土俵時から名乗っている大正時代に活躍した大関と、師匠の二所ノ関親方が出世したときに案に上がった四股名「大の里」は輝くことができるか。

尊富士弥輝也(東十両10枚目・伊勢ヶ濱)
下の名前は「みきや」と読む(本名)
こちらも保育園の頃から相撲を始め、アマチュアで数々の実績を残したエリート力士。
突き押し得意の24歳。プロ・スタートは前相撲(序ノ口)からとなったが、そこからの出世(昇進)スピードが早い早い。
先場所(11月場所)の6勝の内訳は
欧勝海(今場所同じく新十両)
千代栄・日翔志(2人とも九州場所は十両に在位)
對馬洋・千代の海(元十両)
深井(高砂の幕下ホープ)
この顔ぶれ・実力者にきっちりと勝利を収めている。
現在の伊勢ケ濱部屋は話題性で言えば、あの「永谷園」とCM出演契約をしたとされる熱海富士が広告塔的存在になりつつあるが、いよいよこの尊富士にもビッグチャンス・花開く時期が到来したように思う。
「尊富士」という四股名は、「尊」は地位の高い人という意味から転じて高い地位を目指すという意味、「富士」は師匠の現役時代の四股名「旭富士」に由来する。

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安治川部屋1周年記念パーティーに行って来ました

 元関脇・安美錦の安治川親方が部屋を興して1年。
それを記念して「安治川部屋1周年記念パーティー」が都内のホテルで開催された。

一流ホテルの宴会場に円卓が20卓ぐらい置かれ、バイキング形式の食事に、お酒・アルコールもふるまわれ、終始和やかな雰囲気で行われた。

所属力士(呼出・安希隆を含む)が赤ワインやリンゴジュースを手に巡回して回ってきては、お酌してくれて、相撲ファンとして至福の時間だった。

いろんな力士と言葉を交わすことができたが、中でも印象的だったのが、先場所見事に序ノ口優勝を飾った安青錦(あおにしき・ウクライナ出身)の日本語の流暢さ。7歳から相撲を始め、世界ジュニア選手権などで活躍。youtubeで相撲動画を繰り返し見ては、子供の頃から力士になる夢を抱いていたとか。また能弁な日本語会話は、日本に来て(安治川)部屋生活の中で自然と覚え、マスターしたというのだから恐れ入る。私の拙い質問にも笑顔を絶やさず答えてくれて好感度大。来たる初場所は東序二段10枚目で迎える。

あと、現在の部屋頭である安大翔が趣味であるギターの弾き語りで長渕 剛の「とんぼ」を熱唱。2番からは親方も合唱。場内が大いに盛り上がった。

この安大翔、今年夏場所初土俵後、序ノ口・序二段で連続優勝し、初場所は東幕下57枚目に躍進。小3から相撲を始め、中学・三本木農業高(青森)でアマチュア経験を積んでいる。

安青錦曰く(部屋の雰囲気は)同世代が多くフレンドリー。
親方は、ユーモアある人間性豊かな方。オン・オフの切り替えができる風通しの良い部屋だと感じた。
そう遠くない未来に、実力と人気を兼ね備えた関取を輩出するのでは。

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相撲界、悲喜こもごも

 番付発表から2日経った。
角界も良い知らせ、悪い知らせがあった。

千代丸が結婚!
東十両12枚目・千代丸が4年ほど前から交際を続けていた長崎県出身のCA(客室乗務員)の女性と結婚を発表した。きっかけはお相手女性から千代丸への一目惚れで始まったそうで、地元・長崎巡業が行われた際に、電話番号とラインIDを書いた名刺を手紙とともに手渡したというもの。

弟・千代鳳は、2021年九州場所限りで引退。
現在、年寄・大山を襲名している(個人的に解説も好きです)
千代丸は幕内離れて1年が経とうというところ。
丸い体を活かした押し相撲で、結婚を機にかつての輝きを取り戻せるか。

東龍引退!
玉ノ井部屋のモンゴル人力士として長く活躍してきた東龍が引退を発表。
十両50場所・幕内11場所務めてきた。
ここ数年は「膝や肩やいろんなところが痛くて」と満身創痍で土俵に上がっていたそうだ。
あと幕内でなかなか勝ち越せなかった印象だったが、自身幕内9場所となる今年初場所に35歳8か月にしてようやく幕内での勝ち越しを手にした。
今後はどうなるのか、年寄株は?

約9年ぶりに庄之助復活!
あの立行司・41代式守伊之助から昇格した。
差し違いの多さとか、最近では回しまったをかけて、取組再開までに(呼出しの力も借りながら)かなりの時間を要するなんてこともあったが、停年まで1年切ったタイミングで庄之助昇格。最後の花道を飾るべく頑張ってほしいところだ。

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