「碇ブラザーズ」の上等な前半戦

 「藤ノ川」という四股名にまだ私は耳と意識に馴染んでこない。
先場所までの若碇は新入幕で迎えた今場所、連日大健闘である。
ここまでの相撲を見直してみた。
目の付いたところでは、初日の新入幕決戦・対草野を(負けはしたが)土俵際まで追い詰め、4日目(取り直しまでもつれたが)琴勝峰の重たそうな突っ張りにもめげず(目尻を切り流血までした)翌5日目には翠富士を吊り上げ、6日目・琴栄峰を首投げで切って落とし豪快さを見せつけ、6連勝できていた御嶽海に土俵際ギリギリで突き落とし逆転勝利。
本当によくやっている。
この必死さ・懸命さが良い。
伊勢ノ海部屋伝統の四股名を受け継いだ新入幕。
どこまで勝ち星を伸ばし、存在感を発信し続けてくれるか。

弟・碇潟(いかりがた)も昨日の7日目で早々と4連勝で勝ち越しを決めている。
プロ4場所目。25戦して6回しか負けてない。
先場所、初の幕下で3連勝のあとの4連敗。少し番付を下げたが、昨日、勝ち越しを決めた相手は貴闘力次男の納谷であった。

父・元前頭大碇の血を受け継ぐサラブレッド。
前半戦好成績のもと、明日からの後半戦に挑む。

安青錦、三役勢に5勝の快挙! 2025名古屋7日目

 さて、今日の安青錦。
欧翔馬が細かい突っ張りを(張り手を交えながら)与える。
食い下がる安青錦も怯まずに突き返し、中に入り低い体勢になる機会を伺う。
そうこうしているうちに欧翔馬はもどかしくなったのか、引いてしまった。こうなったら一気に出て行くだけ、押し出して安青錦。欧翔馬、対戦相手の執拗な前進に根負けしたか。

安青錦は今日で三役と取り終えた。
だとしたら、明日からは手のつけられないことになってしまうのか。
(まぁ、これは言い過ぎだが)早合点し欲張ってしまう自分がいるのだが、今まで通りの心技体で臨んでほしいものだ。

霧島‐髙安戦にかける期待が大きかったが、実際の取組は…。
やや低い立ち合いの霧島「いける」と思ったのか左から叩いた。あっ気ない展開の幕切れに少し興覚めしてしまった。霧島が1敗守り、髙安が2敗に後退している。

大の里、万全・盤石・危なげなし。
先場所好調時の相撲を取り戻している、それを見ているようだ。
一番の隙・要注意点は、油断(メンタル)か。
明日は伯桜鵬。かつては出世争いをした相手である。

昨日、当ブログで取り上げさせていただいた元大関・御嶽海。
何とも間が悪いとしか言いようがないのだが、連勝がストップし、黒星を喫してしまった。
藤ノ川(小兵)が百戦錬磨で好調の古豪を迎え撃つには、これが有効な抵抗策だったのかもしれないが、右に変化し圧力逃がし、委細構わず突進してくる元大関を土俵際で突き落とし。全勝力士が消えた瞬間になってしまった。

御嶽海の敗戦を受けて、一敗力士が6人が並んでいる。

安青錦 教えを乞うた 高安に 2025名古屋6日目

 まぁ今日の安青錦の黒星を表現するなら、こんな言い方(タイトル)もできるでしょうか。安青錦の接近戦を阻みたい高安が鬼の形相で突き放し、それを掻いくぐり左差し、頭をつけていよいよ「安青錦タイム」の始まりか。4秒後ぐらいに内無双を炸裂(予防線を張っていたと思うが)すんでのところでこれを回避(髙安)少しの探り合いのあと、髙安が肩越しの右上手を取った。勝負に出た安青錦に対し、この右上手で投げ飛ばした(決まり手・上手投げ)
無念そうな表情を見せた安青錦。
対して「元大関」の肩書と今場所ここまでの好調さは伊達じゃなく、あの上手投げを通して「そう簡単に白星を提供してなるものか」というメッセージを送ったのか。

2敗に後退した安青錦、明日は欧翔馬。
1敗を堅持した髙安の明日は霧島(これ面白そう)

大の里は日体大時代の同級生だという阿武剋との対戦だったが、難なく押し出しに破り5勝目。
しかし番付が物語る通り、現時点では歴然とした差があると見受けられた。
明日は今年初場所に優勝決定戦まで進出した陰の実力者・金峰山。

先場所、十両まで陥落してしまった元大関・御嶽海。
辛酸をなめたが1場所で幕内復帰。
(対戦相手)こちらも元大関の正代という趣深い対決は、御嶽海の右おっつけが効果的。正代のもろ差しを許すことなく寄り切った。
初日からの連勝を「6」に伸ばし、何気に幕内トップを走っている。

安青錦 一日一番 対霧島戦の巻 2025名古屋5日目

 その手順・流れは以下の通り。

①強烈張り手を直撃されること6~7発。
元大関からの激しい洗礼を受けても挫けず、逆に突き返しながら、霧島を捕まえた。
②頭を霧島の顔(あごの下)につけて
③数秒、間を置いたあとの右からの内無双を鮮やかに決めた。
自ら仕掛けたことが間違いなかったと確信するかのようにうなずいた。

初日の琴櫻戦でも見せた内無双を今場所好調(相撲内容もいい)元大関・霧島にも炸裂してみせた。
文句なしの相撲巧者ぶりを発揮し、明日は髙安との対戦(初顔)

昨日、墓穴を掘った大の里。
今日は問題なく阿炎を押し出した。
展開としては、もろ手突きでのど元を跳ね上げられるも、そのあとの(阿炎が)筋書き通りの引きに出るところを一気に詰めて、逆にのど輪を喰らわせ押し出した。

昨日の影響はなかった。
仮に負けてたら、協会としても面子丸つぶれ。
豊昇龍休場の影響でいろいろな重荷を肩に乗せ唯一の横綱として戦い続ける。

髙安、苦しい局面を打開し4勝目。
全くの若隆景ペース。頭をつけられ廻しが遠い髙安。若隆景の右差しを切ることができなかったが、うまくいなし、横向きになった若隆景を押し倒して我慢の勝利をあげた。
そして明日の安青錦を迎え撃つ。

安青錦快勝劇と両横綱まさかの…、 2025名古屋4日目

 我らの安青錦関。
今日の対戦相手は右ひざの大ケガから再度ここまで這い上がってきた若隆景。
安青錦も憧れていた若隆景。
先場所の両雄の対戦、流れは若隆景にあったが土俵際の攻防で惜敗した安青錦。

今場所はどんな相撲を見せてくれるのか。
常に前傾姿勢、加えて手と足を駆動させ、若隆景に苦し紛れの引きを呼び起こすまでの突進、押し出して安青錦が快勝した。明日は「霧島」と言う名の山が立ちはだかる。

まさかここ(4日目)で早くも土。
新横綱が初日から盤石の相撲を見せていただけに、この躓きは予想できなかった。
殊勲の星を挙げたのは、まだ初日の出ていなかった王鵬。
取組を振り返る。
下からあてがう感じに土俵際まで王鵬を追い詰めるも、王鵬も懸命に突き返す。
ここでたじろぎ慌ててしまいバタついた。悪癖が出てしまい、まさかの初黒星。
「しまった!」と言わんばかりの表情を浮かべていたが、後悔先に立たず。
「あした、あした」という励まししかないのだが、そこに待ち構えてるのは阿炎。
通常運転でいけば撃破できる相手のはずだが、これまた面倒くさい相手が待っている。

奮起を促したい豊昇龍だが、阿炎に変化なしのもろ手突きに防戦一方ですぐさま土俵を割った。
「3日連続の金星配給」
「通算8個目の金星配給」
など、こぞって書き立てるマスコミ各紙。
明日はどうなるのかな、どうするのかなと私自身もそう思い浮かべてしまう。
本人が一番つらいだろうが、相撲ファンもつらい。
横綱として窮地に立たされているか。