伯桜鵬、復活なるか

 伯桜鵬が幕内に帰ってくる。

去年9月の西前頭9枚目に番付されてから(この場所は肩のケガで全休だったが)そのあと(幕下1場所を含む)幕内復帰まで7場所を要した。

数々のアマチュアタイトル獲得後、鳴り物入りでのプロデビュー(2023年初場所・幕下15枚目付出)
本当に輝かしかったし(その実績通り)好成績を連発。猛スピードで番付を上げていった。
初土俵から4場所目での新入幕(去年7月)最後まで優勝争いに加わり、109年ぶりの新入幕優勝なるかと大いに話題になったのがつい昨日のことのように感じる。
その目前のところで優勝を逃した大一番・豊昇龍戦がこれ↓↓↓

上げ潮の流れが変わったのが、左肩関節亜脱臼によるケガ。
↑↑↑この一番でもテーピングで固定されていた。
元々中学生の頃からの古傷らしいが「復帰まで3ヶ月以上を要する見込み」との診断結果がなされ、翌9月・11月と2場所連続全休。連動して今度は番付を大きく下げていった。

現大関・大の里の初土俵は伯桜鵬より2場所あとの昨年5月。今年初場所に新入幕になったばかりだが、先場所11月には早くも大関にのぼり詰めた。
療養期間に番付が完全に逆転。残念ながら現在では大きく水をあけられてる。

かなり広範囲に施されていた左肩のテーピングもいつしか無くなり、力強さも戻りつつあるか。気が付けば頭の上には関取の象徴・大銀杏が結われていた。

挫折を知った「令和の怪物」は、再出発のこの場所でかつての輝きを取り戻し(ケガによって味わった)苦労や悔しさを爆発させる場所であってほしい。

幕下上位30代以上の力士達

 幕下15枚目以内とは・・・幕下優勝を7戦全勝で決めれば、ほぼ間違いなく一発で上がれる位置に番付されている。
あと、十両土俵入りのあとの5番は幕下上位5番と言われ、土俵上も更にライトアップ。格別感が伝わってくる(現地観戦・テレビ桟敷でも)

他にもこれは15枚目以内に限らず幕下以下全力士に言えることだが
給料が出るか(十両以上)出ないか(幕下以下)
髷(まげ)が大銀杏(十両以上)かちょんまげ(幕下以下)か
本場所土俵で博多織のカラフルな廻しを締められるか(十両以上)黒の木綿廻しのまま(幕下以下)か
などなど。

相撲取りとして一丁前に扱われるか(十両以上)扱われないか(幕下以下)
運命の分かれ目の階級とも言える(特にこの幕下15枚目以内)

2004年(平成16年)初場所から公傷制度も無くなり、全治数ヶ月の大ケガを負った関取(力士)は容赦なく番付降格の憂き目にあった。

それがゆえに、関取経験者や30歳以上の古参力士などが入り混じって番付されている。
(失礼だが)過去の栄光やスポットライトを浴びるその気持ち
俺はまだやれるんだという自尊心的なものがあるのは当然の事だと思う。

長い前置きになったが、初場所新番付の幕下上位15枚目以内に4名の30代力士を見つけた。簡単に紹介。

東2枚目 荒篤山(荒汐) 最高位・西前頭16枚目(2022年3月場所)
中学卒業後の入門で土俵歴15年と本物のベテラン。
長い下積みを経た末に関取昇進も在位は幕内も含めて10場所(途中、幕下陥落1場所あり)
昨年5月から幕下に低迷中。再び栄光を掴み取れるか。30歳。

西2枚目 天空海(立浪) 最高位・西前頭10枚目(2022年初場所)
高校時代に柔道で活躍。同郷・稀勢の里の活躍に刺激を受け立浪部屋に入門。
2016年に関取昇進のチャンス到来も膝の怪我により遠回りを余儀なくされた。
今年5月に幕下転落。捲土重来なるか。34歳。

東7枚目 栃丸(春日野)最高位・西十両11枚目(2022年7月場所)
「高速突っ張り」「突き押し一筋」と言ったらこの男しかいない。
師匠・春日野曰く「天才でもないし、何か光るものがあってわけでもない」の言葉が示す通り、努力でここまで這い上がってきた。両膝の手術から復帰後の今年春場所以降は(番付を大きく下げたこともあり)一足飛びに再浮上してきた。今度の初場所は再十両への足固めとしたい。32歳。

東10枚目 千代丸 (九重)最高位・東前頭5枚目(2018年3月場所)
実弟は元・千代鳳(現在の年寄・大山)鹿児島県志布志市出身。
そのキャラクターを買われてかバラエティー番組にも度々出演。
先場所(11月)に3場所ぶりに十両復帰も1勝14敗と大きく負け越し。番付も大きく落とし、また幕下からの出直し。幕内在位31場所。33歳。

偶然だが4人とも関取経験者。土俵経験豊富。
その経験と実績で自分より下の年代力士達をねじ伏せるのか。
世代交代を突き付けられるのか、味合わされるのか。
このあたりも注目していきたい。

玉正鳳、苦労が実った新入幕

 ようやく決めてくれた。
いつまでも待つつもりだったが。

初土俵から関取(十両)まで11年超。
十両在位連続11場所。
幕内最年長・玉鷲の義弟
デビューから所要79場所と外国出身力士で最も遅い新入幕となった
玉正鳳萬平(片男波)31歳9ヶ月

来日当初に入門した(登録上の所属力士が0人となったため閉鎖に至った)高島部屋を含めると4度の部屋移籍。
高島→春日山→追手風→中川→片男波
幕下と三段目の往復3回。
改名歴3回(4種類)
高春日→種子島→旭蒼天→玉正鳳

本当に苦労に苦労を重ねてきた。

右四つを軸に上手投げや叩き込みで勝ちに繋げるのが多いかな。
ステージを幕内に上げてどう立ち向かうのか。
軽量の悲哀を味わうこともあるだろうが、柔軟な下半身からの逆転勝利と諦めない勝負根性を加味してどれだけ白星を積み重ねられるか。

2022年の名古屋で7番相撲を不戦敗しているが、これはコロナ感染者と濃厚接触した可能性があるためで公式記録に休場はない(このあたりのケガをしにくい体質も義兄・玉鷲を受け継いでるようだ)

第51代横綱・玉の海(先月亡くなったあの北の富士氏の好敵手)を輩出した名門・片男波部屋もこの玉正鳳と玉鷲に序二段力士2人の合わせて4名だけの所属という有様。

新入幕で迎える初場所は自身の存在アピールに加え、この「片男波部屋」の名前も再び世に知らしめることも、玉正鳳の役割であり使命のような気もする。



わがまま横綱の決まり文句と昭和60年の煌めき

「痛い、痛い」
「故郷へ帰らせてもらいます」

これ、第60代横綱・双羽黒(北尾)が、厳しい稽古を課せられると決まり文句のように発せられた言葉。裕福な家庭に育ち、甘やかされて育てられたことに起因しているのではと見立てられていたが、どこまで本当か。

1984年(昭和59年)初場所に新十両、彗星の如く現れた北尾光司。
そこから丸5年の関取生活の戦績を振り返れば、翌1985年(昭和60年)の躍進ぶりは(字面だけで見ても)凄まじいものがあった。
位置づけとしては、大関・横綱と飛躍する前の土台固めの一年。
その1985年は6場所中、2ケタ勝利5回を記録(三賞も合わせてこの5場所は獲得)5月夏場所は左足関節挫傷により途中休場しており星を落としていた。

中でも、心身共に卓越していた頃であろうこの年の名古屋場所に、千代の富士と隆の里の両横綱を下して金星を挙げた動画が残っていた。

まずは、5日目の千代の富士戦
(言うまでもなく)事前に熟考した作戦だと思われるが、自身の体格の優位さを最大限に活かし、且つ対千代の富士攻略のお手本とも言える理想的な取り口だった。

続いて8日目のおしん横綱・隆の里戦
がっぷり四つの力相撲であったが堂々と怪力横綱と渡り合い金星を掴み取った。

因みにこの場所の幕内優勝は大関・北天佑(2回目)
7日目からの9連勝で、北尾に1差をつけていた。

翌年(1986年)初場所に大関昇進。その「大関」を4場所で通過。
横綱昇進前の3場所を36勝9敗「優勝なし」で期待値かなり込みでの横綱昇進が決まった。

38年経った今、振り返ってもこの時点での横綱推挙は結果的に悪かったのか(=間違っていたのか)結局、幕内優勝を成し遂げることなく、最後は些細なことから不祥事に発展、相撲界を「廃業」という形で去っていった。

やはり確たる実績(=優勝)を1度でも掴み取らせてから推挙させた方がよかったのでしょうか。双羽黒を増長させてしまうような結末になってしまったのが残念でならない。

豪ノ山の11月

 豪ノ山が九州場所を11勝4敗の好成績で終えた。
久々に存在感を見せつけてくれて嬉しい。
思い切りのいい立ち合い(ぶちかまし)で威力・圧力を与え、力強い突き押しで対戦相手を後退させる(勝負を決める)至って(基本形は)シンプルなのだが、これが真に強い。
状況に応じて、相手の引きに乗じて差してそこから前に出たり、逆に土俵際まで相手を追い詰めた反動を利用してバッタリと土俵に這わせるなど、なんていうのもある。

要するにフィジカルが抜きん出て強いのだろう。
プロ入り・入門してからの稽古でそれらを磨き養ってきたのか。

先場所までの3場所負け越しを記録したが(オーソドックスに捉えて)やはり肩書き(三役・上位陣)は嘘ではない。それに見合った実力、奥深さを見せつけられ味わされたか。あるいはひょっとしたら(公表してない少しばかりの)身体のケガや痛みなどが実はあったのか(深読みか)

さておき、今場所の豪ノ山が白星(勝った)力士をたどれば、元大関3名(御嶽海・高安・霧島)・隆の勝(敢闘賞受賞・11勝)・尊富士(今年3月(新入幕での)幕内優勝、三賞総なめ)・阿炎(殊勲賞受賞・11勝)とネームバリューや実力、今場所(11月)確たる実績を上げた者に対してきっちり勝ちを収めている(3大関との対戦は組まれなかったが)

その勝利した11番の動画を見直してみた。
ほとんど豪ノ山スタイル(突き押し、前に出る)だったし、押し込まれたり一時的に劣勢に立たされたりしても(一山本、琴勝峰、尊富士戦など)慌てず取り乱すことなく立て直して勝利を掴み取ったことは評価に値すると思いましたね。

今場所の11勝は大いに意味のある、今後への起点になる場所であってほしいです。

来場所は幕内上位再進出間違いないでしょうが、その周辺近辺に番付される猛者達に負けないぐらいの存在感、豪ノ山スタイル(相撲)を貫いてほしいところだ。26歳。