今場所の新十両は4人いた。皆、アマチュア上がりのエリートとして入門してきた。
中でも別格だったのは、大の里(二所ノ関)である。主に2年連続のアマチュア横綱の実績が認められ、今年5月、鳴り物入りで幕下10枚目格付出からデビューした本格派・逸材である。
その大の里の秋場所最終成績は12勝3敗で準優勝・優勝次点と誠に立派なものだった。
大の里・9月の躍動を振り返る。
初日から無傷の9連勝を果たし、これ以上ない滑り出しをみせた。
積極的に突き押して「押し出し」しっかりと受けとめ「寄り切り」
がっちり当たった上で相手の動きを見極め、タイミングよく「はたき込み」も見せた。
初黒星を喫したのは、10日目・一山本戦。
一山本の左のど輪で上体を起こされ、大の里こらえたが、直後に一山本のはたき込みが決まった。大の里も足がついていかなかった。
12日目に組まれた同い年の北の若戦では、相撲内容は完全に勝っていたが、土俵際で逆転の上手投げを食ってしまった。回しを引いているか・いないかの違いで、最後、北の若に逆転を食らった悔しい負けだった。
千秋楽の狼雅戦は勝ち急ぎが敗戦を招いたのか、狼雅は回しは取っていなかったが、左に回りながら「グルン」という感じの威力がまさったのかすくい投げが決まり、千秋楽に痛すぎる星を落としてしまい、十両優勝を逃してしまった。
振り返ってみるとこの敗れた3番は、あと少しの詰め・足の動きとの連動がうまくいかずに(難しいもので欲張りだが)白星を取り損ねたか。つまり、実質勝っていたように思う。
12勝の勝ち星の内訳を調べたら
押し出し 6勝
寄り切り 3勝
はたき込み 2勝
押し倒し 1勝 でした。
圧倒的内容で勝つことが多かったが、先輩力士(プロ)はちゃんと課題も与えてくれたのでは。
半年経って、1年経って、3年5年経った頃、どんな力士に成長しているのか。
相撲を見る楽しみがまた増えた。
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