東大卒力士の名古屋場所

須山 穂嵩(すやま ほたか・木瀬)

去年5月、史上初の東大相撲部出身力士として大きな話題となった。
その須山の力士生活8場所目(7月・名古屋場所)は、西序二段18枚目で5勝2敗と勝ち越
し。先場所、初の三段目(73枚目)で2勝5敗と負け越し、序二段降格(やり直し)となっ
た場所だった。髷が板についてきて、少しずつ力士っぽくなってきた。来場所は三段目復帰が
確実視されている。何事も繰り返し積み重ねていくことが、のちに結果と自信という形になっ
て自分に返ってくるのか。須山は須山らしく、須山のペースで「関取」という険しい山に歩を
進めていく。

名古屋場所総決算号が発売されました↓↓↓

気魄一閃の新大関と将来有望な新十両と再十両

 新大関豊昇龍(24=立浪)が正式に誕生した。
名古屋市内の立浪部屋で行われた昇進伝達式で豊昇龍は「大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力いたします」と口上を述べた。緊張で覚えていた言葉が出てこない場面もあったが「気魄一閃」の四字熟語を用いて熱い思いを込めた。
※気魄一閃とは・・・どんなことがあっても力強く立ち向かうという気持ちだそうです。

横綱・照ノ富士が慢性的な膝の爆弾を抱え(今場所は腰の痛みで途中休場したが)誰の目から見ても(失礼だが)現役生活は長く望めそうもない。
先輩大関・貴景勝も以前から膝や首に痛みを抱え、大関の地位を維持するのがやっとという状況が続いている。

新大関は、持病やケガによる休場はここまでない(急性扁桃炎による途中休場が2日ある)上に24歳のかけがいのない若さがある。偉大なる叔父(朝青龍)に近づけるべき大きな期待をかけたい。突き押し・四つ相撲ござれの万能型。足技を駆使する時もあれば、自分よりも大柄な力士を豪快に投げ飛ばしてみせる時もある(今場所・朝乃山戦など)

土俵上の厳しくもやんちゃな表情をしたかと思えば、土俵を降りれば(外では)人懐っこそうな笑顔を浮かべる。どこまでも似てるんだよなぁ、おじさんと。

これからの来場所の活躍を期待しております。

~新十両・再十両組~

また、番付編成会議で
新十両に大の里と高橋(共に二所ノ関)向中野改め天照鵬(てんしょうほう・宮城野)と石崎改め朝紅龍(あさこうりゅう・高砂)と発表された。
大の里と高橋は二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が育てた初めての関取。
天照鵬と朝紅龍はそれぞれ部屋のカラーの
「鵬」の字・・・宮城野部屋 (師匠・白鵬)
「朝」の字・・・高砂部屋  (師匠・朝赤龍)
から、一文字継承することになった。
アマチュア経験・実績のある新十両4人です!
※宮城野部屋は伯桜鵬と輝鵬が誕生したばかり。覚えるのが大変だ!

再十両は幕下優勝を決めた時疾風(時津風)がわずか1場所で十両復帰を決めた。

最新号、明日から発売です↓↓↓

幕下16枚目から30枚目の主要処

 幕下15枚目・・・成績次第で十両昇進の可能性が見えて来ることからテレビ・ネット中継では定期的に星取が紹介され、本場所の入場者に配布される取組表の裏にも(星取表)が掲載される。関取予備軍である。

今日はその下の15枚。幕下16枚目から30枚目に焦点を当てようと思う。
15枚目以内が「関取予備軍」なら、こちらは「準・関取予備軍」か。
東西合わせて30人中、関取経験者4人(明瀬山・大翔丸・千代嵐・栃丸)
現役関取と兄弟にあたる力士が3人(琴手計・若隆元・夢道鵬)番付されている趣深い位置である(間違いがなければ)

この中で大勝ち(6勝)を記録したのは、尊富士(東17枚目・伊勢ヶ濱)
何と言ってもここまでの出世が早い。初土俵が去年9月。序ノ口・序二段優勝を7戦全勝を決め、そのあとの3場所連続で6勝1敗。ここまでの通算成績が32勝3敗。それがゆえにまだ髷が結えていない(7月場所現在)来場所は幕下10枚目辺りに番付されるのか。(鍛え上げられた)肩の隆々とした筋肉が目に焼きつく24歳である。

ご当所となる明瀬山(東16枚目・愛知県春日井市)が5勝2敗。
6勝目を賭けた7番相撲の塚原(春日野)戦は惜敗だった。諦めずに必ず関取復帰する日があると信じたい(1週間前に38歳になった)

第48代横綱・大鵬の孫、あの貴闘力の息子・夢道鵬(むどうほう・東26枚目・大嶽)は5勝2敗。2場所連続の5勝2敗で来場所は自己最高位(東20枚目)を更新するものと思われる。納谷4兄弟の末っ子。現役力士で活躍しているのは下3人。順番で言うと次男・納谷(東三段目13枚目)、王鵬である。(長男はプロレスラーの納谷幸男)

(15枚目まで同様)実力者が多く配置され、突破が困難な壁・関所と言える。
来場所はどんな面々・布陣で形成されるのか。

酷暑の夏、汗拭きにどうぞ↓↓↓

次の大関は大栄翔か若元春か、いや、琴ノ若か。

 目まぐるしく移り変わった名古屋場所の優勝争い。千秋楽に伯桜鵬、決定戦で北勝富士を破り、賜杯を手にしたのは豊昇龍。同時に大関昇進も叶った。

星取表を見渡して他の力士の活躍を振り返れば、東小結で11勝を上げた琴ノ若が目についた。本当に力をつけてきているし、更に上位の地位も窺えるのではと思う。
今年初場所より4場所連続で小結に番付され、8勝・9勝・8勝ときて、今場所飛躍した。

その琴ノ若の出色の一番(対戦相手のレベル・格も含めた)は、10日目・豊昇龍戦だ。
立ち合いでもろ差しになった琴ノ若。すぐ巻き替えにいく豊昇龍に対して琴ノ若寄って出る。渾身ののど輪から一気呵成に決めにかかった。防戦一方の豊昇龍。最後は押し出された。

7日目・錦木戦もよかった。立ち合いスパッと2本入りもろ差し。そのまま電車道での寄り切り。まわしも取れない錦木は強引に小手に振ろうとしたが焼け石に水。錦木に今場所初黒星をつけた相撲だった。

4敗を喫した中でよくなかった相撲は似たような感じだったが、霧島戦と翔猿戦か。
今、紹介したこの相撲と逆パターン↑↑琴ノ若が寄られて形勢逆転を図ろうと小手投げにいこうとしたところを付け込まれて墓穴を掘り黒星を喫した2番があった。

基本的な取り口として、右四つ・寄り(相撲展開や相手に合わせて)押し相撲でもいける万能力士。その柔軟な取り口に(他の力士も羨むような)大柄な体格、加えてその体が柔らかいときたもんだ。来場所(9月)は大栄翔・若元春に次ぐ3人目の関脇として番付されるのではという見方が多いがどうなるか。

琴ノ若 傑太 秋場所は大関獲りへ向けて、周囲に認められるような「足固め」となる成績を収めることができるのか。

大関獲りへ向けて↓↓↓

最後に笑ったのは豊昇龍 名古屋場所・千秋楽

幕内優勝に至る3番(戦況)を書く。

 錦木ー北勝富士

 低い当たりの北勝富士、錦木はいなそうにも圧力を制御できない。
北勝富士の「優勝したい・するんだ」という念が、自らを明確に奮い立たす要素がほぼ無くなってしまった錦木との差がそうさせたのか。

引き落として北勝富士。優勝決定戦へと駒を進めた。
錦木の最終成績10勝5敗、殊勲賞受賞で今場所終了。最終盤に痛恨の4連敗を喫したが、最後まで名古屋場所を盛り上げた中心人物だった。

豊昇龍ー伯桜鵬

大関獲りのかかる豊昇龍と109年ぶり新入幕優勝の偉業がかかった伯桜鵬戦。
時間前の仕切りから鋭い視線のぶつけ合い。朝青龍の甥に対し、令和の怪物も負けてはいない。
立ち合い右上手の豊昇龍、息をもつかせず鮮やかな上手投げが決まり、決定戦進出!
プロの土俵経験(経験値)で怪物をねじ伏せた。

負け残りで19歳は、悔しさを滲ませていたがかけがいのない経験になった。

豊昇龍ー北勝富士(優勝決定戦)

12日目の本割りで対戦したこの2人は、北勝富士が終始突き放し「押し出し」て勝っている。決定戦では豊昇龍が圧力をかけ続け北勝富士の引きを誘い出した。これも番付と経験の差がもたらしたものなのか。「初優勝」を掴み取ったのは、豊昇龍智勝だった。

取組後に佐渡ケ嶽審判部長(元関脇・琴ノ若)が八角理事長(元横綱・北勝海)に臨時理事会の招集を要請。事実上の大関昇進が決まった。

横綱大関陣の所在が不明瞭な中、名古屋場所・幕内優勝は東関脇に着地した。

同じようなことを繰り返し書くようだが、今の横綱大関は乱気流に巻き込まれた状態にある。

大関・豊昇龍はこの乱れた序列を肩書き通りの威厳あるものに戻せる存在になれるのか。

49日後に始まる秋場所に注目だ。

祝・豊昇龍初優勝↓↓↓