桃太郎2人の夏場所

 現在、関取には「桃太郎」と四股名を(下の名前で)名乗る力士が2人いる。
その2人は(ひょっとしたら)各段の優勝争いの圏内に入りそうなぐらいの活躍を見せた(特に湘南乃海)今日はこの2力士の夏場所を敬意を表して振り返る。

剣翔 桃太郎(西前頭15枚目・追手風部屋)

幕内14場所目、ここまでの最高位が東前頭7枚目。
横綱・大関との対戦はまだ経験が無いようだ。31歳。
今場所は序盤3勝3敗から6連勝を記録し、最終盤の3日は若元春・豊昇龍の両関脇、千秋楽には元大関朝乃山との対戦が組まれた。残念にもこの3力士に勝利することはなかったが、この敗戦を振り返るのも、今後の対戦を見据える上にも、いい教材となる相撲になったのではないか。
筆者目線で今場所の剣翔の出色の取組と言われれば、1番に11日目(元大関)御嶽海戦、次に(話題性も加味して)7日目・北青鵬戦になるか。
剣翔にとってこの5月場所は(いつしか振り返った時)何かを掴んだ・いいきっかけとなる場所であってほしい。

湘南乃海 桃太郎(西十両筆頭・高田川部屋)

今年初場所新十両、そこから12勝⇒9勝と勝ち星と番付を上げ、今場所(5月場所)は、西の筆頭まで上げてきた。新入幕に向け、勝負の場所となった湘南乃海。
最終成績から振り返ると、11勝4敗。
この4敗の内訳は、十両優勝(豪ノ山)、令和の怪物(落合)、人気者・伊勢ケ濱期待の一角(熱海富士)、先場所新入幕を成し遂げた(武将山)の精鋭たちだった。
体格(身長体重)だけで取るなら、朝乃山にも照ノ富士にも凌駕する。このことを忘れないでほしい。紛れもない大物、大器だ。
立ち合いからの突き押し・左四つを臨機応変に使い分け、ある時は強烈な投げ(出し投げ)も湘南の引き出しの中に入っている。
四股名の下の名前の「桃太郎」は強い相手を鬼と見立て、(その)鬼を退治するという意味を込めた多くの人達の願いが叶う時が訪れようとしている。

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安治川部屋、夏場所

元関脇・安美錦が興した「安治川部屋」
今場所(5月)で3場所目を迎えた。

まずは、部屋成績(3力士)の今場所

安櫻(あんざくら) 東序二段20枚目  0勝7敗
安強羅(あごうら) 西序二段107枚目 5勝2敗
十河(そごう)   西序ノ口16枚目  7休

とあった。
安櫻は親方(安美錦)の甥で、華々しくデビューしたが、先場所6勝1敗と大きく勝ち越したが、今場所は一転して、7戦全敗。どこか痛めたのか、ケガにつながるようなことがあったのか。あるいは去年11月に前相撲を迎える1週間前の稽古で痛めた膝の調子が思わしくないのか。心配である。

安強羅、初の序二段の場所で見事5勝を挙げた。
ブラジル国籍の両親を持ち、名古屋経済大ラグビー部出身という異色の経歴の23歳である。

十河は、残念ながら引退を決めた模様だ。
16歳、大いなる可能性・様々な選択肢が待ち受けている。活躍を祈りたい。

~新弟子入門~

うれしい知らせもある。アマチュア上がりの新弟子が入門してきた。
鈴木大和改め安大翔(あんおおしょう)である。
三本木農高(現三農恵拓高)出身で、全国大会個人8強の実績を持つ。
趣味は、ギターとウクレレ
本人の画像です(はっきりとわかりにくいが)

また、呼出もデビューしました。安希隆(あきたか)です。
福岡県出身の16歳。

有望力士の入門、着々と勢力を伸ばし、安治川部屋は7月・名古屋場所に向かって前を向く。

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更に輝け、豪ノ山!

夏場所十両優勝は決定戦の末、豪ノ山が落合に付け入る隙を与えず、一気に押し出した。
14勝1敗、極めてハイレベルの文句のない優勝。
この覚醒って何だろう。
先場所(春場所)東6枚目で11勝を挙げ、星勘定からすると新入幕を期待されたが、番付運に恵まれず、東筆頭に据え置かれた。本人も悔しい気持ち今場所(夏場所)に期する気持ちもあったろう。

今場所の十両優勝につながった、圧勝劇3番を集めました。

11日目・落合戦

14日目・玉正鳳戦

優勝決定戦・落合戦

といった4番であった。
持ち味の突き押し相撲と、今場所はここに「魂」が入っていたように見えた。
10日目・熱海富士戦で足を痛めた様子があったが、そんな不安・憂鬱なども気合で吹き飛ばし、十両優勝を遂げて新入幕が確実。

アマチュア(中央大学)から鳴り物入りで三段目100枚目格付出デビュー。
元大関・豪栄道が師匠の武隈部屋の部屋頭。

豪ノ山 登輝(ごうのやま とうき)
この四股名・フルネームには「強く山を登って輝く」という意味が込められてるそうだ。
来場所は「幕内」という山に登って、更なる輝きを放ってほしい。

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新十両・獅司です

 

 相撲協会は31日、両国国技館で名古屋場所(7月9日初日)の番付編成会議を開き、ウクライナ出身で初の力士の獅司(26)=本名セルギイ・ソコロフスキー、雷部屋=ら新十両3人を含む十両昇進力士5人を発表した。

 他の新十両は、一昨年の学生横綱の川副改め輝鵬(きほう・24)=本名川副圭太、熊本県出身、宮城野部屋=と勇磨(24)=本名中尾勇磨、大阪府出身、阿武松部屋。

 再十両は9場所ぶりに復帰の紫雷(31)=本名芝匠、東京都出身、木瀬部屋=と13場所ぶりに復帰の千代の海(30)=本名浜町明太郎、高知県出身、九重部屋=の2人だった(デイリースポーツより)

~ウクライナ出身初の関取誕生~

獅司の苦労が実った。
ウクライナで6歳からレスリングを習い、15歳で相撲に転向し欧州選手権では優勝の実績を手土産に異国の地・日本に来日。 2020年3月場所に前身の入間川部屋(当時の師匠・元関脇栃司)から初土俵を踏んだ。同期には(今場所上位陣を揺るがせた)あの北青鵬がいる。

~愛称・ミニ把瑠都~

大柄の体格で、部屋・後援者からの厚い期待を受け、ついたあだ名の「ミニ把瑠都」よろしく、序ノ口・序二段各1場所、三段目を2場所で通過。幕下への昇進を遂げる。以降、足首のケガの影響や、15枚目以内に入り「関取」が射程圏内に入ると、精鋭たちに跳ね返されることもあったが、勝ち越しを続け実力をつけ、十両の座を勝ち取った。

取り口として、左四つに組んで寄り切るのが勝ちパターン。長身を活かした肩越しの上手も武器で、上手投げも得意。懐が深く、組めなくとも叩きがよく決まる。長いリーチを活かした突っ張りも見せる。とあった(Wikipediaより)

異国の地に乗り込み、苦労を重ねて「関取」の座を勝ち取った獅司が
来たる7月(名古屋場所)で「十両」という名の地平を駈ける。


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宇良、5月の曲芸・2番

頭捻り(ずぶねり)

 相撲の決まり手は、82手+決め手でない「勝負結果」が5手ある(勇み足・腰砕け・つき手・つきひざ・踏み出し)

今場所・東前頭4枚目の宇良が12日目の翔猿(追手風)戦で珍手・頭捻り(ずぶねり)で6勝目を挙げた。幕内での頭捻りは1998年春場所5日目に旭豊(現立浪親方)が寺尾(現錣山親方)に勝って以来25年ぶり。

宇良がやってくれた。見せてくれた。
四の五の言わず、その取組を振り返りましょう、みなさんで。

翔猿を中に入れさせないように宇良が距離を取る。最後はお互いがもたれ合うような形となり、宇良が自身の頭頚部を捻るような感じでずぶねりが決まった。
さらに、
その反動でふらふらヨロヨロと宇良も倒れ込んでしまう。
(取組時間)35秒の中に駆け引きと相撲の醍醐味が凝縮された一番だった。

~普通のとったりではありません~

離れ業・もう一丁!
11日目・錦富士戦。決まり手・とったりで宇良が勝ちましたが、勝負がついた直後(軍配上がったあとに)見せてくれました。

宇良が終始劣勢ながらも、意地のとったり。流れの中で一か八かの離れ業が見事に決まった。
さらに、
俵伝いに体を反り返るような「パフォーマンス」があった。

「珍手のデパート」と宇良を形容しているネットニュースを見かけた。
まぁ、その通りだ。
宇良が勝利した決まり手は31手(力士情報より)
反り技やら、もたれたりだの、なかなか見聞きしないような決まり手を記録しているようであります。(入門前に)相撲と並行してレスリングにも取り組んでいた時期があるようなので、それも納得か。常にファンの期待を裏切らない宇良に、相撲の極意を見せ続けてほしいものである。

宇良関の応援に↓↓↓