大の里、今場所3番

 アマチュア時代の実績(2年連続アマチュア横綱など複数の大会で優勝・横綱の肩書を手にしている)や話題性では決して落合(現・伯桜鵬)に引けを取らない。

プロ2場所目となる今場所、東幕下3枚目に番付されここまで3番取り終えた二所ノ関部屋の大の里。関取目前に迫った3番を振り返る。

2日目・向中野戦

こちらも宮城野のホープとして早くから注目されてきた力士。鳥取城北高校卒業後プロ入りの西幕下3枚目
右からかちあげ気味の立ち合いを見せた大の里。突き返す大の里。耐えながら右を差した大の里が素早く電車道で寄り切った。

https://youtu.be/-vkVQ6X-q9w?t=80

3日目・風賢央戦

幕下上位ともなれば、元関取経験者や十両入りを目前に控えたアマチュア上がりの精鋭達が多く番付され、栄光を掴むべくしのぎを削る地位だ。
この日の対戦相手・風賢央(東幕下6枚目・押尾川)も小学校5年から相撲を始め、高校大学のアマチュアで数々の実績を上げてきた“エリ-ト”である。 その一番。
風賢央、思い切り当たり突き放す。大の里、上体を右へずらしタイミングよく上手投げで仕留めた。落ち着いている。

https://youtu.be/gGotbNB5omo?t=135

5日目・時疾風戦

先場所の新十両として脚光を浴びた時疾風(時津風)
最終成績は最終盤に5連敗を喫し、6勝9敗。残念ながら1場所で幕下へ転落。東幕下筆頭として巻き返しを図っている。
2度の待った(不成立)から3回目の立ち合いで右差しから一気に寄って出たが(大の里)時疾風がその右をたぐって送り出し。事前から相当に策を練っていたのか、時疾風が見事に勝利した。

https://youtu.be/-cPbpjsu5ZA?t=35

ここまで3番を振り返った。明日以降に残り4番を控える。
鳴り物入りでプロ入り。期待が大きいがゆえに「幕下優勝で決めてくれ」などさまざまな声が自然と入ってくるだろうが、ここは(わかっているだろうが)相撲に集中してほしい。
相撲内容だって特に悪いわけではないし、ケガや(体に)異常もなさそうだ。
自信を持ってこれまで通りの相撲を取り続けること。

十両昇進へ向け、見通し・視界良好だ。



 

錦木・豪ノ山らが幕内土俵を盛り上げる・名古屋場所5日目

 大関獲りのかかる話題の3関脇は、昨日までにそれぞれ土はついているが、懸命な土俵を見せ続けている。
今日はその中から大栄翔と若元春、新入幕トリオからは豪ノ山と湘南乃海の気合と気迫に満ちた相撲をお届けする。

大栄翔ー明生

昨日(4日目)錦木に黒星を喫したが、徹底した突き押し相撲を貫く大栄翔。
対するは先場所、照ノ富士を破り殊勲賞を獲得した明生。
頭から強く当たった大栄翔。昨日の反省を生かして突っ張り(手数)を出し、最後は左右ののど輪で丁重に押し出した。

今回の大関獲りへの強い思いは画面越しに伝わってくる。
かつての幕内優勝経験者は、押し相撲とともに目的に向かってひた走っていく。

錦木ー若元春

錦木の存在が何というか奇異である。先場所8日目から場所を跨いで昨日まで12連勝。
元々定評のあった腰の重さを武器に三役陣を大いに苦しめている。
若元春だって負けてない。左四つ右上手を取ったら盤石の強さを見せている。
その2人の激突!
立ち合いすぐに左下手を取った錦木。その下手を引きながら体を寄せて、若元春に何もさせないまま寄り切った。

錦木の圧勝劇だった。明日は小結・阿炎戦が組まれている。三役との対戦が終わったあとの幕内力士との対戦も注目であり楽しみだ。 若元春2敗となって6日目は明生。

琴恵光ー豪ノ山

例えが合ってるかわからないが、大栄翔のような突き押し相撲を貫き通し、溢れんばかりの気合と気迫は気持ちがいい新入幕・豪ノ山に、東11枚目・琴恵光(佐渡ヶ嶽)
強く前(琴恵光寄り)で立ち合い当たる豪ノ山は、のど輪を主にもろ手突きでの突き放しが強い。その圧力が強く(飲まれる感じで)琴恵光の足が揃い、バッタリと手を着いてしまった。

決まり手ははたき込み。
豪ノ山がいい。この気迫と突っ張り(スピード相撲)で25歳の新入幕は場所を盛り上げてくれる存在だ。

碧山-湘南乃海

こちらも新入幕・湘南乃海。大きな体を武器にここまで3勝1敗。
片やブルガリア出身の37歳、幕内69場所目を数える大ベテランの碧山。興味をそそられる「新旧対決」だ。
湘南乃海の左差しから突き合いになる。右前まわしを引き一気に寄り、最後は押し出して湘南乃海の勝ち。4勝1敗。
新入幕トリオ、話題性という部分では(大変失礼だが)豪ノ山と伯桜鵬に劣る印象があるが、相撲内容では決して引けを取らない。楽しみな力士だ。



新大関の初日と実力者と新鋭と・名古屋場所4日目

 やはり照ノ富士は休場となった。
あの状態・様子からして出場を望むのはさすがに無理がある。本場所の行方はいかに。

琴ノ若ー霧島

入れ替わるようにして今日から出場の新大関・霧島。
何より本人が出場を懇願したと聞く。また違った意味で心配が募る。
対戦相手には琴ノ若があてがわれた。難敵である。
琴ノ若の右のど輪をかいくぐるようにもろ差しになった霧島。
琴ノ若、左からの小手投げを見せるが強引すぎて効き目なし。送り出して霧島。

この一戦だけで新大関の見立てを立てるのは早計。
新大関(4日目からの)初日を飾れたのは安心した。

錦木ー大栄翔

横綱1大関不在の中、台風の目的存在はこの男か、東筆頭・錦木。
関脇との連戦で今日は大栄翔戦。波乱を起こせるか。
大栄翔が三突き(みつき)で土俵際まで持っていくが、錦木はこの3突き目の右のど輪を手繰って、決まり手「引っ掛け」で仕留めた。

今場所(実況の中で)よく聞く言葉・フレーズ「錦木は腰が重い」
大栄翔の取組後の談話として「もっと(突っ張り)を回転させればよかった」的なコメントを残す(相手の腰が重いことの意識が足りなかったという意味か)4日目で黒星がついた。

朝乃山ー阿武咲

初日の明生戦でつまづくもその後、宇良・平戸海を手玉に取ってきた朝乃山。4日目の今日は阿武咲戦。
阿武咲が左前みつ。更に頭をつけ、巻き替えながら寄って出るも、逆に朝乃山が右を巻き替えて豪快なすくい投げで決めた。

阿武咲を根こそぎひっくり返した。このあたりに元大関の片鱗をのぞかせた。
ひとつずつ着実に白星を積み上げてる。

豪ノ山ー竜電

連日健闘を見せているハイレベルな新入幕トリオの1人、豪ノ山は竜電との対戦。
回転のいい突っ張りを次から次へと繰り出す豪ノ山。その圧力で竜電を突き出した。
豪ノ山見事に4連勝!一貫した突き押し相撲で連勝と勢いはどこまで続くか、楽しみである。

3関脇・3新入幕以外では錦木・朝乃山・髙安辺りが牙を研いでいる。
何とも不気味な存在だ。


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照ノ富士が休場

 やはり、照ノ富士は休場になった。
「腰椎椎間板ヘルニア、腰椎椎体終板障害で1か月間の安静加療を要す」との診断書を提出。照ノ富士の休場は2場所ぶり17度目。
昨日・3日目の取組後には花道奥の通路で付け人の肩を借りて歩くなど膝を気にする場面も見られた。
やっぱりこの結論になりましたか。
膝ではなく、腰だったんですね。満身創痍。
治すのはもちろんの事だが、進退問題に発展するような気もする。
個人的にはもうケガで苦しむ照ノ富士の姿は見てられない気持ちだ。
31歳、大切なかけがえのない家族もいるので。

照ノ富士関、よくなりますように↓↓↓



横綱の心配な残像が残る・名古屋場所3日目

 照ノ富士-翔猿

1勝1敗で3日目を迎えた照ノ富士。
勝って弾みをつけたいところだが今日も災難に見舞われた。
立ち合いの突き押しから右差し、照ノ富士が寄って出る。堪えながら翔猿巻き替えに出るも逆に巻き返された。照ノ富士が伸びた一枚回しの左上手で投げを打ったり、足を蹴って奇襲に出た。探り合いが続く。翔猿の回し最後部の結びが明らかにほどかれてる状態にも関わらず、まわし待ったをかけない行司(伊之助)今度は翔猿が足をとばす。勝負に出る照ノ富士。右からのすくい投げでしのぎながら寄り切り翔猿の勝ち。1分近い大相撲は翔猿に軍配!

勝敗を決した直後の照ノ富士の様子がおかしい、怪しい。
歩くことはおろか、上体とひざがカクンカクンしているようで誰かの支えがないと、倒れてしまいそうと言っても過言ではない。こんな時、付き人や裏方・相撲関係者(若者頭・世話人)はどうしてスッと出てきて車椅子なり、肩を差し出しては歩くことへの補助する役割になれないのだろうか。こう振る舞うことが相撲界の美化された伝統なのか、言い伝えなのか。
時代に即した対応は取れないのだろうか。首をかしげたくなる対応だった。合わせて明日以降の照ノ富士、横綱としての本場所が務まるのか大いに心配だ。

正代ー若元春

大関獲りのかかる3関脇の一角、若元春は元大関(東前頭2枚目)の正代との一番。
若元春が低く当たって、正代の顔の下に頭をつけた。が、正代はそれを振りほどくかのように圧力で寄って出て押し出した。

勝ったあとの正代の「どや顔」が印象的。
現時点での勢力図では若元春が上だが、地力や経験値、くぐってきた修羅場の数をも比較対象の項目に入れてみるとまだまだ正代はいけるのではないかと思ってしまう。

御嶽海ー大栄翔

今場所の3関脇が大関獲りのチャンスを迎えている中で、どうしても押し相撲は持久戦に弱いとか、相撲のつぶし・応用が効かないと取られ気味だが、今場所の大栄翔はそういった定説をあざ笑うかのような付け入る隙を与えない素晴らしい相撲を見せている。
強いもろ手で突き放す。あっという間に翠富士を突き出した。

今日も突き押しを貫いた。
初日・2日目と元大関2人を連破、今日も厄介な相手に何もさせなかった。

豪ノ山ー大翔鵬

新入幕トリオの一角・豪ノ山の今日の奮闘劇。
豪ノ山、左おっつけ右のど輪で大翔鵬の攻め手を封じる。重心を前へ圧力をかけながら押し出した。

豪ノ山の健闘が光る。
何か筋金が入ったかのような突き押し相撲で3勝目を飾った。

同じく新入幕、話題の伯桜鵬は、ベテラン手練れの宝富士に突き落としで敗れ初黒星。
(失礼だが)手のひらの上で転がされるとでもいうか、宝富士に見透かされたような印象を受けた。勝った宝富士、無表情でどこまでも淡々としていた。

十両の島津海がいい。
迷いがなく素早く決着に出るざまがいい。
今日も水戸龍に対して右差し・左上手からしっかり引きつけて寄り切った。

明日4日目から新大関の霧島が出場するという(対戦相手・琴ノ若)
大丈夫かなぁ。墓穴を掘る結果にならないといいが。

それ以上にやっぱり横綱が心配です。