大の里、脱臼と向き合う初場所

 先場所の大の里は初日から9連勝。
優勝争いは安青錦との2強でいくのかなと思いきや、義ノ富士と隆の勝に連敗。
賜杯の行方が混沌とする中で、14日目に琴櫻にもいいところなく敗れ3敗目を喫した。

千秋楽決戦がどんな形で、誰が優勝を決めるのかとそれはそれで興味を搔き立てられたのだが、何とその大の里が「左肩鎖関節脱臼」の診断書を相撲協会に提出して千秋楽の土俵を休場してしまった。

回復状況が懸念される訳だが、ここ数日の報道を見る限り、あまり前向きな表現や話題が伝わってこない。

2025年の大の里は、大関から横綱に昇進を遂げた年。
幕内優勝3回を数え、年が明けた2026年は更なる高みを目指したいところだが、まだ復調したとまで言えず、見切り発車状態で初場所をどうやら迎えそうである。

(脱臼繫がりで言うなら)
昭和最後の大横綱・千代の富士も何度となく肩の脱臼に悩まされた(横綱時代にも数回あったが)その度に這い上がってきた。

体格や体型、力士としてのタイプは異なるが、この試練は大横綱へ昇華するために神様が与えたものなのか。

そんな千代の富士も25~26歳辺りで小結から横綱へと大躍進を遂げている。
何の根拠もなく、強引なこじつけと言われればそれまでだが。

大の里の今回の負傷は今後の力士人生を大きく左右する出来事なのか。

現時点で初場所の初日・2日目の対戦相手が発表されている。
初日・一山本
2日目・王鵬

用心して、丁寧な相撲を取り、慎重に勝ち星を掴みたい。

 

新年に輝く星、藤凌駕と福崎

 あけましておめでとうございます。
本年も「相撲、日々一考。」ブログをどうぞよろしくお願いいたします。

昨年をざっと振り返れば、安青錦の驚異的なスピード出世、義ノ富士や(これからの期待を込めて)藤ノ川の台頭、伯乃富士の捲土重来など新世代の急成長が目を引いた。
逆に角界を牽引する既存の横綱大関(大の里・豊昇龍・琴櫻)も肩書き通りに常に活躍し、本場所をもっと盛り上げ、引き締めてもらいたいものだ。

という訳で新年一回目の当ブログ、更なる新鋭をと探したところ(昨年3月に)同期同部屋入門を果たした藤凌駕と福崎を推したい。
簡単なプロフィールをまとめた。

藤凌駕 雅治(ふじりょうが まさはる)

愛知県春日井市の22歳(大卒・拓殖大学卒業)
小学4年から地元の相撲クラブに通い、中学2年時に相撲留学のため、和歌山県に引っ越し・転校をしたという筋金入り。その本気度・努力の結晶は学生4冠というタイトル獲得に繋がっていく。複数の相撲部屋からオファーを受ける中で藤島部屋を選択。
アマチュアでの実績が認められ、幕下最下位(60枚目)のデビュー。
連続勝ち越しで幕下を4場所で通過。

迎えた11月の九州場所では8連勝(無敗のまま)で勝ち越しを決め、13勝2敗で見事に新十両優勝。因みにその8連勝は全て決まり手「押し出し」で勝っている。

強いぶちかましに前に出る圧力と突っ張りの回転で、来たる初場所はどれだけ勝ち星を上げられるか(凌駕の四股名の如く)「他を凌いで、幕内の座を掴み取れるか!」

福崎 真逢輝(ふくざき まある)

鹿児島県奄美市出身の18歳(今週金曜日で19歳、高卒(鹿児島県)樟南高校卒業)
おととし12月の全日本選手権で並み居る強豪を破りベスト8に入り、史上初高校生としての幕下最下位格付け出し資格を獲得というこちらも鳴り物入りでのプロデビュー。
最初の3場所を5・6・5勝と順調な滑り出しだったが、去年9月西幕下6枚目で初の負け越し(2勝)、翌11月場所には6勝1敗と大きく勝ち越し、間もなく始まる初場所に西幕下3枚目で関取入りに挑む。

こちらも押し相撲主体のようだが、何せ土俵歴がまだ浅いので何とも言い切れない。
九州場所の1敗は今場所新十両の一意(かずま・木瀬)に喫したもの。
ベテラン・手練れの千代丸、志摩ノ海をきっちりと鎮めている。

この2人、
藤島部屋、いや角界の風雲児となれるのか!?

九州を盛り上げた新鋭・藤ノ川

今場所の当ブログは安青錦に加え、藤凌駕に藤ノ川のみという少し偏った編成・投稿を何日かさせていただいた。

今日はその中の藤ノ川を取り上げる。

最終成績9勝6敗。
ただ、この数字をそのまま鵜吞みにしてほしくない。
前半戦(5日間)を5連勝のスタートを切ったからだ。

幕内平均体重に約40㎏足らず。
幕内平均身長に約8㎝足らない。

この体を毎日フル稼働させ、懸命に相撲を取る。
(失礼ながら)宇良ほどの奇抜さ・衝撃度には少し不足するかもしれないが、十分に毎日の相撲を堪能させてくれる。

(今場所)中盤は4連敗もあったが、そんなに一方的に負けたものは少なかったように思う。千秋楽の玉鷲戦だって、最後はパワー差で押し出されたが、十二分にかく乱させてみせた。

NHK解説でお馴染みの甲山親方長男・サラブレッドとはよく知られた話。

まだ20歳。
プロ18場所目が終わったばかり。

今まで以上に様々な土俵経験を積み、体格面での後れを逆に優位に活かし、実力・人気を兼ね備えた素晴らしい力士に昇華してほしいものだ。

弟・碇潟は西幕下19枚目で3勝4敗と惜しくも負け越している。

九州を盛り上げた新鋭・義ノ富士

 義ノ富士も九州場所を盛り上げてくれた。
自己最高位・東前頭5枚目で9勝6敗、技能賞獲得。
大の里と安青錦という、
最後まで優勝争いを繰り広げた2力士に土をつけている。

今場所から四股名を「草野」から義理人情の「義」の字が入った「義ノ富士」に改名。
出世の早さから大銀杏が結えないことが新進気鋭の証。
デビュー以来(9場所)負け越し知らずでここまで番付をかけ上がってきたこともあり、そろそろ壁にぶつかる頃かなぁと自分勝手に思っていた。

印象に残っている相撲を振り返る。

11日目・安青錦戦

安青錦のお株を奪うような立ち合いからの突き押し。
しかも、一発一発が大きくて的確。そこに前へ出る圧力と回転力が加わったからたまったものではない。
優勝力士を一方的に破ったその一番。

10日目・大の里戦

大の里、ややふわっと立ったか。
(初顔で)お手並み拝見的な意識があったのかなぁ。
一方の義ノ富士。思い切り全力でいくだけとでもいう「(この一番に賭ける)気合の差」がこういう形になって表れたのでしょうか・・・。

12日目・琴櫻戦も、土俵際の攻防(詰め)の部分で負けただけで、実質(内容は)勝ってたし。

いやいや、安青錦に続く次世代の力士を代表する力士の一人ですね。

来場所は・・・(周りとの兼ね合い)を見ると、いきなりの三役昇格はないか。
前頭筆頭と予想する向きが多いようである。

(更に一段上の)本当の真価が問われることになる。
楽しみですね。

安青錦、新時代。 2025九州千秋楽

 私は相撲中継に入ってから知った「大の里休場」と。
相撲協会に提出された診断書には「左肩鎖関節脱臼で1カ月間の安静加療が必要」と記載があったそうで、それは腰が抜ける思いだった。

しかし安青錦が優勝を決めるには、本割りと決定戦で連勝することには変わりはない。
決定戦進出となった場合に相手が決まっているだけ。
まずは本割りで、琴櫻に勝つこと。

その一番。
突き押しの応酬から琴櫻が左上手を取る。
安青錦、全く慌てる気配なし。それどころか低く潜り、タイミング図って、内無双ドンピシャリ!
常に安青錦主導。番付差が逆なんじゃないかと思うほどに、安青錦の技巧と臨機応変さが際立った。

続いて(豊昇龍との)優勝決定戦。
ほぼ、昨日の両者の対戦を見るかのようだった。
当たってから(安青錦の)前進も強いのだが、また引いた豊昇龍の背後に回り送り倒した。
安青錦の下剋上が完結し、初優勝を勝ち取った。

それから十両優勝は、今場所当ブログでも紹介させていただいた藤凌駕が3敗の羽出山に勝ち、新十両での優勝を決めている。
藤凌駕が立ち合いからの猛突進で逃げ場を失った羽出山を押し倒しに退けた。
更に突き押しに磨きをかけ、上位に殴り込みをかけたい。
西13枚目で13勝。十両1場所で通過なるか。

安青錦の21歳8ヶ月の初優勝は、この先燦然と輝く栄光への序章に過ぎない。
どんな未来を切り拓き掴み取るのか。
新時代の幕は開き始めたばかりである。