炎鵬、三段目優勝成らず

 首の大ケガから奇跡の再起。
序ノ口まで落とした番付も今場所は三段目56枚目まで戻してきた。
6連勝と快進撃を続け、昨日13日目は三段目優勝を賭けて藤闘志(藤島)との対決。
最高位は2場所前・今年7月の西幕下13枚目という実力者。
その7月場所途中に左膝靭帯断裂の大ケガから再起。こちら力士もそんな背景がある。

相撲は一方的に藤闘志のペース。積極果敢に出て押し出した。

残念にも負けてしまった炎鵬は
「全てに置いて自分が劣っていたので負けた。負けたことにも意味がある」
と敗戦を受け入れたそうだ。

再起は難しいのではないかとの見方が多数あったが、ここまで這い上がってきたグレート。

来場所は幕下にステージを上げるものだと思われるが、これからも温かく見守り応援を続けたい。

アマチュアからプロ転向の3名 12日目・幕下から

 石崎と松井と草野。

今年、幕下付出でデビューしたエリート3人組。
12日目はこの3人が揃って出場した。結果は2勝(石崎と松井)1敗(草野)であった。
あと、この3人同じくざんばら髪。

石崎涼馬 東幕下22枚目 高砂部屋

ご存知・今場所新入幕、朝紅龍の実弟。
そんな兄・朝紅龍と同じように明徳義塾高校から日体大の変遷を歩んでいる。
実業団でも相撲を取り、初土俵は今年7月、プロ3場所目。
今日は元十両・栃武蔵を寄り倒しで破り、5勝1敗の快進撃でここまで来ている。
(12日目の相撲は)スピードと気迫あふれるいい相撲だった。

松井奏凪人 東幕下17枚目 伊勢ヶ濱部屋

鳥取城北高校などでのアマチュア実績から宮城野(白鵬)の勧誘を受け、プロ入り。
伊勢ヶ濱部屋の転籍を経て現在に至る。プロ5場所目。
6勝以上の勝ち越しはここまでないようだが、負け越し知らず。小幅ながらも番付をじりじりと上げている。本日、琴拳龍に引き落としで勝ち、6番相撲で勝ち越しを決めている。

草野直哉 東幕下7枚目 伊勢ヶ濱部屋

文徳高校(熊本)から日大へ。複数のタイトル獲得後、鳴り物入りで宮城野部屋に入門予定も上述の松井同様、部屋閉鎖の憂き目にあい、伊勢ヶ濱部屋からプロキャリアをスタートさせている(プロ4場所目)話題となったのは、7月場所での西ノ龍(境川)戦。強烈な張り手を受け、担架で運ばれるなんてこともあった。今日12日目は1敗同士で大辻(高田川)に首投げで痛い逆転負け。現在4勝2敗である。

次代を担うであろうこの3力士にも要注目だ。
個人的には、石崎の相撲がとても印象に残りました。


幕内前半の大一番と獅司と安青錦

 尊富士ー阿武剋

3場所前の千秋楽に110年ぶりの新入幕での優勝を成し遂げ、その存在を大きく世間に知らしめた尊富士。
丸一年前の九州(11月)場所に、旧制度最後の幕下15枚目格付出として初土俵を踏んだ阿武剋。

次世代、いや、1~2年先の相撲界を託したくなる両雄。
昨日までの戦績
尊富士4勝2敗、阿武剋6連勝で今日を迎えた。
立ち合いは五分だったが、尊富士の左四つ右上手を許し、残す腰や反撃の意思も感じられず、あっという間に初黒星を喫してしまった。
どうしたのだろうか?
今場所ここまで一番良くない相撲を見てしまった、阿武剋の。
まだ一敗グループの中にいる、巻き返してほしい。明日は新入幕の朝紅龍。

二敗に後退、安青錦

今日は一敗同士の対戦で再十両・栃大海。
終始、栃大海ペース。相手の動きをよく見ながら着実に突いていく(当てていく)
その反動を利用したかのようなタイミングを見計らかったような突き落としが決まった。
負けても最後まで応戦、内容の感じられた欧勝海戦とは違い、この2敗目は相手の術中にはまった感じ。これも経験か。
中日の明日は気分を切り替えて琴栄峰戦(琴勝峰の弟)

安青錦と同じウクライナ出身の新入幕・獅司
千代翔馬にいいところなく負けてしまい3日目から5連敗。
明日はベテラン・佐田の海と。
必死さ・懸命さが伝わってきた6日目までの相撲をまだまだ期待したい。
今日は良くない日だったか。


4連勝力士を抜粋、十両と幕内から

今日の安青錦

VS大翔鵬(西十両9枚目)
立ち合い頭の位置低い安青錦、右四つ左前みつ、絶好の体勢から迷わずに下手投げ。
巨漢の大翔鵬を見事に土俵中央で転がせた。
今日も隙なし危なげなし。
取組後の談話では
「胸を合わせないようにした。重たかった」と分析。4連勝にも「まだ長い。自分の相撲に集中してやりたい」と若干20歳は浮かれてる様子が全く感じられない。
明日は欧勝海。この力士も4連勝中。

ここ数場所、頸椎(首の痛み)に悩まされてたのか金峰山
残念にも十両に陥落してしまったが、いい意味で気分一新できたか。のびのびといい相撲が取れている。今日の対戦相手、こちらもケガの影響もあってか幕内から番付を落とした白熊。
リーチの長さを活かした突っ張りで吹き飛ばした。

先々場所、横綱・照ノ富士との優勝決定戦に進出した隆の勝
先場所は奮わなかったが、今場所は突き押しを軸に前に出る積極的な相撲が功を奏している。
今日は実力者・錦木との一戦。
のど輪で起こし、いなしにかかるもすぐに左、右と差しもろ差しになり迷わず勝負に出た。寄り切り。まだ序盤で先のこと・展開がわからないが、この隆の勝もいい相撲を見せてくれている。

獅司と安青錦への感服

 新入幕の獅司と新十両の安青錦が奮闘を見せ続けている。

まずは獅司から。
今日の対戦相手はモンゴル出身、幕内2場所目の阿武剋。
これが大一番だった。
両者の負けられない意地が交錯する。がっぷりのひきつけ合い、頭をつけながら寄っていくのは阿武剋だが獅司も懸命に残した。
まわし待ったのあと、獅司が勝負を賭けて決めにかかるも巻き替えてもろ差しに。
これが決め手となり最後は左からの上手投げで阿武剋がこの勝負を制した。

27歳の新入幕は負けても輝いた。
懸賞金を得た際には母国ウクライナの両親に送付しているという好青年。
(負けたからといって)相撲内容に悲観することはない。
今まで通りにやるだけだ。4日目の対戦相手は西十両2枚目(3日目から大銀杏デビューの)伯桜鵬。明日も大いに土俵を沸かしてほしい。

続いて安青錦。
三役経験あり、膝などのケガにより番付を大きく落として再スタートの阿武咲との対戦。
低い立ち合いから阿武咲の引きにも動じず押し出し、実力者に完勝。

ここまでの3日間、安定というより抜群というか、隙をもほとんど見せない強さを見せている。レベルが違うと言っても大袈裟でないかもしれない。
新十両インタビューで紹介されていた安青錦は流暢な日本語を披露。
この落ち着きと相撲の実力。まだ若干20歳という若さに驚きを禁じ得ない。
28人いる十両で3連勝スタートは5名。その中の一人に早くも名を連ねている。
明日は大翔鵬との対戦。