豊昇龍を不徳と見るか、気長に待つか。 2025春場所9日目

 結びの一番、この結末は予想だにしていなかった。
この取組に関して言えば私は一山本を完全に「伏兵視」していて、まさか波乱が起きることはないであろうと見ていた。

しかしふたを開けてみれば、豊昇龍は張り差しをもろ手突きで封じられ、上手を取ろうにも一山本の左に跳ね上げられ、破れかぶれとも見えなくもない放った投げは、挑戦者のすくい投げを助長する結果になってしまい、惨敗・4敗・見るに堪えない。
一方の一山本、北海道出身力士としては、現在の某理事長以来、41年ぶりの金星と快挙を称えるネットニュースもあった。

興行上の体裁もあるだろうが、重い十字架を背負わされ、気の毒に思えなくもないが切り替えるしかないし、やるしかない。明日は宇良。これまたクセ者だ。

その一番前、大の里ー阿炎は寄り切って大の里。
今日はきっちり勝ってみせた。阿炎が大関を張ったその左で主導権を取ったかに見えたが、大の里は右差しとその「右肩」で圧力をかけ、寄り切った(昨日とは違って)内容がよかった、肩書を守った。
十日目の明日は一敗同士の大一番が組まれている(髙安戦)

元大関・朝乃山は本日5番目を戦い、元前頭の矢後を特に問題にせず寄り切りに下し、5連勝としている。

あわや番狂わせ!大の里、一敗守る 2025春場所8日目

 今日の大の里は勝つには勝ちましたが、内容がよくなかったですね。
立ち合いから一気に電車道で決めると思いきや攻め切れず引きに出る悪癖が顔をのぞかせた。一瞬で形勢が逆転して一山本が猛然と攻め込むも、土俵際すれすれのところでなんとか叩き込みが決まり、一敗を守った。

今場所の相撲を振り返ってみたが、負けた4日目の若元春戦以外はそんなに危なっかしい場面は見られなかったのだが、今日はどうしたことか。
明日から折り返しの後半戦。険しい山を登り切れるか、9日目の相手は阿炎。
対戦成績2勝3敗(この3敗は直近3場所での3連敗)と分が悪い。
気を引き締め直そう!

東前頭4枚目、元大関の髙安は、これまで相性が抜群にいい新横綱を見事に押し倒した。
豊昇龍のスピードと圧力に屈することなく、左を差した。この左差しが優位に働き、苦し紛れに横綱が引っ張り込もうとしたが、火に油を注ぐ結果となり、押し倒して元大関の勝ち。
この髙安も、中日を終わった時点で1敗と奮闘中。
だが、優勝となると過去の実績から「?」マークがつくし、まだその次元の話をするには早い。7日も残されている。

今場所の新幕下、話題の西51枚目・体重74.2㎏、芸人・小島よしお似の風貌を併せ持つ、山藤(やまとう)は城間(尾上)に押し倒されて4連敗で負け越し決定。やはりここまでくると壁が厚い。

ウクライナ対決の位置づけ、現在から将来へ

 おとといのウクライナ出身対決、安青錦ー獅司は押し倒して安青錦の勝ち。
先場所の(十両での対戦に)続く2回目の顔合わせで、この両者の対戦成績は1勝1敗となった。

この取組の話題性としては、出身国の情勢の悪さだけでなく、今後の相撲界を背負って立ってほしいと託したくなるくらい(お互いが)地力・実力を少しずつ装備していると思うからだ。

年齢は安青錦が20歳(今場所千秋楽で21歳になる)獅司にしてもまだまだ28歳。

取り口は
安青錦が(相手の顔・アゴの下に)頭をつけ、低い姿勢から勝機を探るのが「安青錦型」
獅司は四つ相撲(左四つ)、あり余る上体を活かした豪快な上手投げなんかもあったりする。

外国人力士は何もモンゴルばかりではない。
もちろん国技と称する日本人力士の台頭を何より楽しみにしているのだが…。

現時点では、普通にある(幕内の)一取組。
しかしこの両雄の激突、近い将来には幕内優勝を左右するぐらいの大一番に昇華しているのかもしれない。

炎鵬、再起への道 2025春場所編

 炎鵬友哉 今場所・西幕下30枚目

頚部椎間板ヘルニアのため、長い長い療養生活を余儀なくされた(6場所連続全休)
番付は最大で序ノ口13枚目まで落とすも、そこから4場所連続6勝を挙げ、ここまで戻ってきた。

幕下中位ぐらいだと(空席はまだ多いが)観客数も少しずつ増えてくる。
そんな中で、この令和の牛若丸が土俵に上がれば「関取級」の声援を受け、場内は大いに沸く。

ここまで3連勝と突っ走っている。
内訳は
2日目・欧山田(鳴戸) 押し出し
4日目・北天海(尾上)寄り切り
5日目・安房乃国(高田川)下手投げ

動画を確認したところ、最新の安房乃国戦が炎鵬の個性・特性が出た一番か。

首(ヘルニア)の痛みとの戦い・お付き合いは、大丈夫か。

どれだけ、白星を積み重ねられるだろう。
多く高く望むのは酷なのはわかっているが、やっぱり期待しちゃうし、楽しみであります。



栃丸の並々ならぬ執念

 栃丸、16場所ぶりの十両返り咲きをかけて2連勝スタート。

土俵人生丸14年で磨き上げた、その回転の速すぎる突っ張り。
対戦相手は手も足も、技も仕掛けられない。その突っ張りで自分の間合い・距離を維持しながら前に出るなり(押し出し・突き出し)引くなり(引き落とし・叩き込み)というのがだいたいの勝ちパターン。

先場所の幕下覇者(大鵬の孫・貴闘力二世)の(十両昇進へ向けて勝負の場所)夢道鵬と常の山二世の西ノ龍をこの「栃丸地獄」に陥れ、存在感を示している。

夢道鵬戦↓↓↓

ブレないスタイルを貫き通す心と再十両への並々ならぬ執念が有望力士達の勝利の芽を摘んでいるのか。

6場所連続勝ち越し中の勢いに乗って…、吉報を待ちたいところだ。