横綱に勝つということ 感涙にむせぶ琴勇輝

 現在の「荒磯親方」こと元関脇・琴勇輝。彼もまた人情味あふれる力士だった。
気っ風の良さを現すかのような突き押し一本の相撲。
立ち合い不成立時の深く丁寧な一礼は、先日に投稿した豊真将を彷彿とさせる。

香川県小豆郡小豆島町出身。
高校を1年で中退。かつて見学したことのある佐渡ヶ嶽部屋に入門する。
新弟子時代から稽古熱心さに定評があり、出世は早かった。序ノ口は1場所、序二段と三段目は各2場所で通過。幕下通過は多少時間を要して13場所。
2011年9月場所で念願の新十両昇進を果たす。そこからじわじわと番付を更に上げた。

琴勇輝のピーク・キャリアハイは2016年にある。唯一の三賞受賞と金星獲得、最高位の関脇に登り詰めたのは、この2016年だ。
初金星を挙げた感涙にむせぶ姿が目に焼き付いて離れない。この年の春場所3日目の日馬富士戦である。「ホゥッ!」付きでどうぞ!

相撲は見事!文句無し!
そのあとの勝ち名乗り(懸賞金受け取り)・土俵下でのふるまい・殊勲インタビュー(お世話になった人たちへの感謝の言葉)・(偶然にもこの日の正面解説だった)師匠・佐渡ヶ嶽親方からの労いの言葉、この一連の情景は本当に感動した。毎日500回の腕立て伏せと鉄砲を欠かさず継続してきた努力の結晶だった。

この2016年を境に足(特に膝)のケガに苦しむ。十両へ陥落する度に幕内へ這い上がってきたが、2021年3月場所限りで引退。

断髪式後「初心に戻りたい」「ここでリセットして新しい幕開け」との理由で丸刈りにしたエピソードは有名。
中学時代の学業の優秀さも手伝ってるのか、解説が上手くて明瞭であることも知られる。

私自身香川県(高松)に転勤を経験した過去があり、勝手に親近感を覚え、贔屓に(推し)にしていた力士だった。親方としての今後ももちろん応援している。

「ホゥッ!!」↓↓↓

埼玉栄高校出身の秋場所期待力士

今日学べ(こんにちまなべ)
「人は誰でも努力と勉強次第でその道の第一人者になれる。」これを日々の教育で実践するため定められた校訓です。「勉強も仕事も、今日のことは今日やる。明日に甘えることなく1日24時間を有効に使い、意義ある人生を送り、二度ない青春を大切にし、感謝する心で日々努力する知能と精神を養う」

相撲部のある名門高校のひとつ、埼玉栄高校の校訓である。

この校訓、人生訓としても応用することができ、分かりやすく平易な言葉であるが、だからこそ困難であり、継続して成し遂げれば大きなものを勝ち得るのではないか。

大関・貴景勝を始め、何人もの力士・関取がこの学校・相撲部で汗を流し、栄光を掴んだ。
本場所中は、多くの関取がこのオレンジ色の化粧廻しを締め、土俵を回る。

~筆者が期待(応援する)2力士~

豪ノ山 登輝 (武隈)
武将山 虎太郎(藤島)

この埼玉栄高校出身2力士に共通しているもの
・20代(若さと負けん気)
・新鋭(武将山は少し外れるかな)
・けれん味のない(徹底した)突き押し相撲

豪ノ山、幕内上位に殴り込みをかけられるか!
武将山、十両で再び逞しさを培ってほしい!

旋風を巻き起こせ!↓↓↓

千代の富士の命日に、初顔の小錦戦を振り返る

 今日7月31日は、あの昭和最後の大横綱・千代の富士の7回目の命日に当たる。
もう7年が経ったんだなぁ。歳月が過ぎ去っていく早さを実感している。

この命日に、多大なる功績を残してくれた千代の富士の何かを振り返ろうといろいろ模索したところ、浮かんできたのがこの1番。

千代の富士ー小錦(初顔合わせ)昭和59年秋場所14日目

ハワイ・オアフ島出身。黒船襲来と恐れられた驚異的破壊力と突き押しで番付を駆け上がり、迎えた千代の富士との初顔合わせ。

※当時の千代の富士(1984年)の背景・・・休場2回と皆勤した2場所も12勝と11勝、この9月場所も9勝4敗でこの日を迎える。(千代の富士にしては)良くない、不調が続いていた時期だった。

下から下から小錦が突き上げるように押す。これが誠に強い。千代の富士、得意の前みつを引こうにも触れられない。この強力な圧力と突き押し、わずか数発で千代の富士は土俵の外へふっ飛ばされてしまった。

この敗戦を機に、千代の富士は琴風に初顔からの5連敗からの猛稽古で苦手克服したように、小錦のところにも出稽古を散々繰り返して、通算対戦成績を20勝9敗としたのであった。

この時点で千代の富士29歳、9度の優勝。ここから22回の優勝を積み重ねる大横綱に登り詰めるのであった。今にして思えば、ウルフの相撲人生で数ある転機・分岐点のひとつになったと言えよう。

この場所の幕内優勝は平幕(12枚目)の多賀竜。
当時、東京場所の常設だった蔵前国技館最後の場所。

相撲史が大きく生まれ変わる時期の思い出・エピソードのひとつだ。

常に大横綱と一緒に↓↓↓


珍・栃丸

 もう4日も前の話だが(5月17日・夏場所4日目)

元十両の西幕下16枚目・栃丸(春日野)と西幕下15枚目・東俊隆(玉ノ井)の一番で、異例の“さがり待った”があった。立ち合いから強烈な突っ張りの応酬。栃丸は、前みつに手を掛けられると、そのままさがりが抜け、自身のマゲに絡まった。激しい攻防は続き、腕を手繰られて体が泳いでも、絡まったさがりは落ちず。お互いに手をつかんで組み合ったところで、すかさず行司の木村千鷲が勝負を止め、さがりを取り外した。(スポーツ報知より)

「驚愕」とも言えるシーンがこの動画の中にある。

「まわし待った」や「水入り」以外でこうしたケースはちょっと見たことがない。初めてである。

栃丸は「まげが絡まっておもしろかったので笑いをこらえるのに必死でした」と冗談交じりに笑顔で振り返ったそうだ。

あと、対戦したこの二人は、東京・足立新田高の先輩後輩の間柄らしい(栃丸が7コ上)

十両陥落後4場所目の栃丸はここまで2勝2敗。
回転の速い突っ張りで来る日も来る日も勝負する、一途なまでの突き押し力士。
十両復帰へ向けて、突き押し相撲一筋で白星を積み重ねる。

春日野部屋記念グラス↓↓↓

豪発進、豪ノ山! 5日目

 今場所の東十両筆頭、豪ノ山(武隈)
先場所、東十両6枚目で11勝を挙げるも新入幕ならず、悔しい気持ちを
内に秘め頑張っている。
それが発奮材料になっているのか、今場所ここまで上々のスタートだ。
突き押し相撲から勝機を見出す豪ノ山の好調の原因とは?

※初日・湘南乃海(高田川)戦は立ち合い一瞬の突き落としで決まったので、詳細は割愛させていただく。

2日目・輝(高田川)戦
同じく突き押し相撲の輝からの攻勢を受けるも耐えて、(豪ノ山)逆襲に転じるところを輝のすくい投げに乗じて押し出したところに、辛抱強さと押し相撲を貫いた心の強さを感じた。

3日目・東龍(玉ノ井)戦
立ち合いから右のど輪の電車道。
東龍、左前まわしに手がかかるも問題にしなかった。

4日目・武将山(藤島)戦
常に前へ出て先手を取る。右のど輪で土俵際まで押し込み、(その威力の)反動で引き落としが見事に決まった。

5日目・炎鵬(宮城野)戦
炎鵬が八艘飛びを炸裂させてきたが、なんのその。
炎鵬をあっさりと押し出して見せた。

とこの4番から見るに、
突き押し相撲に持っていける立ち合い(ぶちかまし・威力)の強さ
力士として経験値・実績を上げてきたこと(先場所の11勝など)で覚醒し、自信をつけてきたか。

素質・ポテンシャルが開花しつつあると受け止めていいのか、豪ノ山。

これからも目が離せない。

武隈ゆかたはいかがでしょうか↓↓↓