正代、再覚醒への道 ~春場所を振り返る~

 関脇・霧馬山の優勝で幕を閉じた春場所。
他にも最後まで優勝争いを盛り上げてくれた、大栄翔と翠富士。
敢闘賞に輝いた金峰山や、惜しくも技能賞に届かなかったが若元春など。
いろいろな力士が話題になり、楽しませてくれたが、私の中ではやはり元大関の正代。
4場所ぶりの勝ち越し(2ケタ勝利)を上げたこの場所の目に留まった相撲を振り返りたい。

初日 豊昇龍戦 立ち合いすぐ左前みつを引く豊昇龍に対し、委細構わず右のど輪からの攻め・圧力で押し出した。
三役に定着すること丸一年(豊昇龍)この一戦はある種の試金石として見ていたが、一方的な相撲で決めてくれた。

https://www.youtube.com/watch?v=QWxqkbmGb-c

二日目 霧馬山戦 霧馬山に攻められて土俵際まで持っていかれるも、以前のような(失礼だが)弱気な雰囲気や、あまり抵抗ないまま土俵を割ることもなく、逆に盛り返し豪快に押し倒したこの相撲も評価したい。結果的に(今場所の)優勝力士に勝った訳だから。

四日目 若隆景戦 左をこじ入れて、迷いなく寄り前に出て、最後は腹も使って押し出し。この強引さも(正代に)欠けていたものだと思う。「勝つんだ」という気持ちが前に出た素晴らしい相撲だった。

七日目 阿炎戦 阿炎のもろ手突きに耐え、左が入った瞬間に迷うことなく前に出て、押し出した。左が入った瞬間の(この相撲はもらったという)確信と勝負を決めに出た行動(寄り・押し)、そのあとの息もつかせぬスピードが勝利を手繰り寄せたのだろう。

千秋楽 翠富士戦 立ち合いもろ差しを難なく許したが、土俵際でも慌てない。両腕で挟みつけて翠富士の自由を許さない。そのまま根こそぐようにきめ出し。正代らしさを取り戻しつつあった今場所は、勝ち星とともに自信も取り戻してきた”証明”とも言えるような一番だった。

https://www.youtube.com/watch?v=78kxF7erG08

負けた相撲にしたって、あと一歩の詰め・踏み込みがあれば、勝ってたであろう取組も2番あった。俗に言う「相撲に勝って、勝負に負けた」と言えるもの。遠藤戦と宇良戦はこれに当てはまるのではないか。
だから、筆者目線で言うと12勝3敗なんですよ。

~10勝5敗に終わって~

好成績に終わった要因は、足(右足親指など)の状態が良くなった(と思われる)こと、精神的な重圧(プレッシャー)からいい意味で解放された部分はあるのだろう。

たかが31歳、されど31歳。

失礼な言い方になるかもしれないが、元大関の正代直也にはまだまだ奥底に眠っている未知なる可能性があるように思えてならない。

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豪華対決✨朝乃山-落合!!

 昨日の十両最後の取組は、話題性ある力士同士、究極の一番だった。

朝乃山ー落合

元大関、不祥事による6場所出場停止、三段目まで陥落後、東十両筆頭まで這い上がってきた朝乃山。
一方、昭和以降最速の所要1場所での新十両・落合が相まみえた。

激しくぶつかり合う両者。落合が巻き替えても臆せず寄って出る朝乃山。
寄り返す落合。朝乃山、苦し紛れの小手投げ。落合、頭をいい位置につけて勝機を窺う。右からの下手投げに出た落合を逆に上手投げで豪快に仕留めた、朝乃山の勝ち!

最後はお互いの体をくるりくるりとさせる力強い投げの打ち合いに、場内が大いに盛り上がった。
朝乃山の経験とプライドが上回ったか。
落合も決して悲観することはない。結果的には黒星がついたが、胸を張っていいんだ。

朝乃山13勝2敗で春場所を、
落 合10勝5敗で関取デビューの場所を終えた。5敗のうち、完敗は逸ノ城と豪ノ山戦だけだったと見た。どんどんジャンプアップしていく落合。

来場所も要注目である。

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春場所・優勝対決以外で…、千秋楽

 霧馬山の優勝で幕を閉じた大相撲春場所。

本場所が終わると、お決まりのように相撲ロスに数日間陥る。

今日は優勝に関わった2力士以外の結果をダイジェストでお伝えする。

まずは小結対決の若元春‐琴ノ若。
立ち合い右四つ、すぐ巻き替えにいった若元春。そこを出る琴ノ若。寄り倒し(琴ノ若)とうっちゃり(若元春)は、若元春のうっちゃりに軍配。物言いがついたが、軍配通り若元春。

若元春、土俵下に転落した際に首をしたたか打ちつけたようで、痛がる素振りを見せてたが大丈夫か。最終成績は、若元春11勝4敗、琴ノ若9勝6敗。

初日から怒涛の10連勝、春場所を最後まで大いに盛り上げた一人、翠富士。
対戦相手は元大関、本来の調子に少しずつ戻りつつあるか、正代(時津風)
翠富士がもろ差し、対しかかえ込み、きめに出る正代。その体勢から思い切り振り回し、きめ出しで正代。

https://www.youtube.com/watch?v=78kxF7erG08

決まり手としては今場所初だが、同様の流れになったのは、数回見かけた気がする。わきが甘いと取るか豪快さを取り戻したと取るか、私は後者と受け止める、自信を持て、正代!両者ともに10勝5敗で春場所を終えた。

春場所新入幕トリオの一人、カザフスタン初の幕内力士金峰山(木瀬)は、隆の勝との千秋楽。突き放しにかかる金峰山。隆の勝は右腕をたぐって突きを封じるが、金峰山の咄嗟のすくい投げが決まった。

「右四つでも左四つでも。つっぱりでも」と自らの相撲の型を以前こう表現したそうだが(Wikipediaより)新入幕で11勝を上げ敢闘賞獲得。またまた魅惑的な力士が、夏場所を賑わせる。

霧馬山、逆転で初優勝!本割りと決定戦を検証。

 幕内優勝の行方は、2敗大栄翔・3敗霧馬山が引っ張って千秋楽を迎え、その両雄の優勝を賭けた一番が結びに組まれた。

のど輪から回転のいい突っ張りを確実に当てていく大栄翔。土俵際、重心がかかり過ぎたというか足が伸び気味になった大栄翔を霧馬山は右からいなし、突き落とし、霧馬山!
優勝決定戦にもつれ込んだ。

~優勝決定戦~

大栄翔、当たってのど輪、一気に寄った。
土俵際の霧馬山の足が出たか、大栄翔の手が先かの協議で軍配通り霧馬山の勝ち。

霧馬山、初優勝成る!!

その2番の映像がこちら。

入門から苦節8年。モンゴル東部の出身で、遊牧民の家に育った少年は異国の地・日本で栄冠を掴み取った。
陸奥親方(元大関・霧島)、鶴竜親方の厳しい指導と日々の稽古の積み重ねが花開く。

来場所は大関獲りに挑む。
「一日一番、しっかり頑張ります」短い言葉に決意の強さが感じ取れた。

逆転優勝をさらわれた大栄翔、本割り、決定戦ともに相撲内容は決して悪くなかった。
本割り・決定戦ともに「追う足」があと少し足りなかったか。体がのびてるように見えた。

東小結で12勝の技能賞獲得。持ち前の突き押しに更なる磨きをかけ、自信を持って、夏場所に挑んでほしい。大関とりにつながる星を残しているのだから。

大栄翔、直接対決を制し、新入幕が阿炎を押し出す!・14日目

 

まずは休場のお知らせから。
若隆景は昨日の一番で「右前十字靱帯損傷、右外側半月板損傷などで3カ月程度の療養を要する」との診断書を提出して休場した。
それにしても、最初の相撲(本割りの一番)で痛めたらしいので、痛みのある状態で取り直しの相撲を制した精神力、耐え抜いた根性は超人的だ。
3ヶ月、かなりの重症である。治さないと前には進めないので治療に専念してほしい。

これにより、霧馬山が11勝3敗とした。棚からぼた餅的勝利だが、運も味方につけ明日の大勝負に挑む(大栄翔戦)

昨日で逆転し、大栄翔単独トップとなった春場所の優勝争い、その大栄翔と翠富士が激突する大一番があった。
立ち合いからもろ手突き、のど輪攻め立てる大栄翔が突き倒しで勝ち、2敗を守る。
翠富士はいいところなく、4連敗で10勝4敗とした。

なす術がなかった翠富士、優勝の可能性が消滅した。
千秋楽の大栄翔は、霧馬山との大一番。今から胸が張り裂けそうと言っても過言ではない。

豊昇龍は、初日の舞の海氏の解説で今場所への期待を語られていた若隆景との取組。
少し右に変化して右上手の豊昇龍。その右から豪快な上手投げ。若元春、ゴロンと一回転。
両者ともに4敗となり、明日の豊昇龍は髙安、敗れた若元春は小結・琴ノ若との千秋楽。

新入幕、ここまで9勝4敗と躍進目覚ましい東14枚目金峰山(木瀬)。
今日は東2枚目の阿炎(錣山)
立ち合い阿炎のもろ手、右にいなし金峰山が阿炎を弾きとばすように押し出し。
力強い!近い将来幕内上位を席巻するのではないか。
新入幕は2ケタ勝利まで持ってきた。千秋楽は隆の勝との一番で今場所を締め括る。

~これより十両~

1敗でトップを走る逸ノ城。対戦相手は炎鵬。逸ノ城をかく乱できるか。
219キロVS102キロの体重差対決をご覧あれ。
立ち合い左に軽く変化の炎鵬、グルグル動き距離を置く。静観していた逸ノ城が左上手を引いた。炎鵬は右下手を取りにいこうとした逸ノ城の右脇にはさまれるような形に。
強引に出る逸ノ城、耐えつつ勝機をうかがう炎鵬。
最後は、逸ノ城の上手投げに切って捨てられるような形となり、力尽きた炎鵬。
倍以上ある体重のある逸ノ城と引きつけあいになってしまったら、さすがに難しかった。

明日の逸ノ城、十両優勝をかけて對馬洋との対戦が組まれている。

1差で追う朝乃山は島津海戦。
激しい立ち合いから朝乃山が決めにかかるが、島津海もろ差して寄り返す。巻き替えの応酬の中、左から豪快な上手投げが決まる。島津海も精一杯対抗・応戦したが、取組の大局は朝乃山にあった。朝乃山の千秋楽、なんと落合戦が組まれた。

~優勝争い・まとめ~

幕内 2敗 大栄翔
   3敗 霧馬山
*大栄翔、勝てば2度目の優勝。

十両 1敗 逸ノ城
   2敗 朝乃山
*逸ノ城、勝てば十両優勝

幕内・十両共にトップに立つ両力士がすんなり勝てば優勝だが、負けてあとを追う霧馬山(幕内)・朝乃山(十両)が勝つと決定戦に持ち込まれる。

令和五年三月場所は最後まで荒れる春場所だ。