元大関の圧勝劇、金峰山が無敗の荒野を走る 2025初場所8日目

 今場所、綱取りのかかっている一角・琴櫻は早々に5敗を喫して圏外へ。
同じく綱取りが注目される豊昇龍は、元大関・正代との対戦。
この正代、取組前までの成績を見れば、2勝5敗。
この両者の対戦成績、今場所ここまでの両者の相撲内容からして、豊昇龍側にしてみればさほど脅威には感じないだろうなぁと思ったのだが。
立ち合いから切り崩しにかかる豊昇龍の突き押しに正代はたじろぐことなく受けて立つ。
それどころか突き返してみせた。後退した豊昇龍、そのまま押し倒して勝利を手にしたのは正代。
受け取り方ひとつだが
「元大関」という肩書・響きは、全盛期より下り坂でピーク時よりも凋落していると私自身は捉える向きが多い。
しかしこの正代という力士、上述のことも当てはまりながら、どこか「油断(軽視)できない」「やってくれるのでは」という期待感が常に胸中にある。
今日はその正代だったように思う。

金峰山が中日(8日目)で勝ち越しを決めた。
今日は1敗のベテラン・玉鷲が対戦相手にあてがわれた。
自信満々にのど輪を主武器にして土俵際まで玉鷲を追い込むも、左からのいなしで(玉鷲が)形勢逆転。それでも相手の動きをよく見ていた金峰山は両差しになって寄り切った。
躍進する再入幕。
しかし、番付は前頭14枚目。これから強豪にぶつけられ真価が問われる。
明日は尊富士戦。これは面白そうだ。

その尊富士。
今場所の成績通り、無二の強さを今日も発揮。付け入る隙のない出足と圧力で北の若を圧倒。病院送りにしてしまった。診断の結果、骨折が判明。明日9日目からの(北の若は)休場が決定的らしい。

8日目の十両から

・西4枚目の獅司が、古参の佐田の海を寄り切って勝ち越しリーチ。
・十両2場所目の若碇、立ち合いからの超・速攻でこちらも勝ち越し王手。
・安青錦も剣翔を危なげなく寄り切って7勝目。

この3力士が十両のトップを走っている。

同期生対決は豊昇龍のスピードに軍配 2025初場所7日目

片や 今場所綱取りがかかるあの朝青龍の甥
片や ついに覚醒したかあの大鵬の孫(貴闘力の三男)

思えば同期生。
一時はかなり番付(出世争い)でかなり水をあけられた時期もあったが、今場所レベルの高い次元(王鵬6連勝・豊昇龍5勝1敗)で相まみえられる事、非常に感慨深い。

さて、実際の取組は。
結論を言ってしまえば「スピード差」が如実に出た一番だった。
豊昇龍が立ち合いから早くて強い。間をおかずに突き放し、右のいなしも強烈。王鵬を横を向かせた時点で勝負あり(主導権を渡すことなく)王鵬をほぼ完封した。
体格的な資質からくるすばしっこさ、戦前に立てた作戦を繰り返し頭と体に擦りこみ、遂行させた結果だろう。
三役上位陣が不甲斐ない中、確実に白星を増やしていきたい。本当の山場はこれからだ。

幕内復帰2場所目の尊富士。4日目・玉鷲戦で初黒星を喫したが、敗戦に引きずることなく積極的は相撲を見せてくれている。
この日の欧勝馬戦でも、相手の小手投げに上体が崩れかけたが怯むことなく土俵下にたたきつける感じの押し出し。一敗を守っている。

ここまで負け知らずできている金峰山。
今場所の彼の存在を引き立たせている「重たそうなのど輪」がまた炸裂。
これを立て続けにもらったら対戦者・時疾風もひとたまりもない。
金峰山、無敗を守り幕内土俵を千代翔馬と牽引している。
番付低迷の要因とされた首の痛みも随分状態がいいとか。

6日目の幕下から

 昨日の結果から、幕下で私の気になった力士(勝敗)を書きます。

東幕下7枚目栃丸が西幕下8枚目石崎(朝紅龍・弟)に押し出して負け。
栃丸の立ち合い変化、完全に失敗。もったいなすぎる敗戦。

西幕下6枚目魁清城(父は元幕下、名城國 自身の自己最高位)は松井(伊勢ヶ濱のホープ)に押し出された。
↓↓現在、浅香山の部屋頭・魁清城です。

三段目に番付を落としていた大ベテラン富士東(37歳)もようやく西幕下36枚目まで戻ってきたが、大飛翔(追手風)に敗れて3連敗。

3場所前の7月場所で1勝14敗と大きく負け越し、関取の座を明け渡した對馬洋(境川)は西幕下38枚目。出沼(二子山)を押し出して3連勝。今場所はどこまで取り返せるか(對馬洋)

ごめんなさい、今日は粗末な投稿になりました。

追憶・照ノ富士が再び這い上がる時

 第73代横綱・照ノ富士の現役引退が発表された。
「やっぱりか」「もう無理だよな」この一報を聞いた時の私の率直な思いです。
両ひざの爆弾と糖尿病を抱えながらの戦いについに幕を下ろした。
こんなドラマティックな土俵人生を送った力士も他に例をみない。

振り返ると2017年7月からケガ(膝)との戦いが始まっている。
途中休場が続き、2018年5月にも左膝を負傷。これを境に幕下へ陥落。
4場所連続休場から番付は序二段48枚目まで降下(2019年3月)
照ノ富士自著の本のタイトル一部「奈落の底」=番付を落としきったのはこの時。
再出場した照ノ富士は7戦全勝する。しかしもう一人同成績を収めた者がおり、優勝決定戦に持ち込まれた。このもう一人とは、現役力士・狼雅(二子山)である。
その決定戦の動画があった。

(この一番は決定戦だから、千秋楽のお客さんが多くいる中で行われる訳だが)普通に序二段力士として取っている時、どれだけ(ある種の)落差を感じながら取組をこなしていたのか(まばらな観客、歓声を浴びることなく)粛々と与えられた取組を(つらく切ない思いをして)全うし続けていたのか。

しかし、ここから照ノ富士は這い上がり栄冠を勝ち取るのだった。
この序二段の場所からわずか2年半で横綱昇進。
通算10回の優勝の誇る大横綱へと駆け上がっていった。

今場所はいいと思ってたんだけどなぁ、豊昇龍 照ノ富士引退の意向 2025初場所5日目

 今場所綱取りがかかっていた両雄の一角、豊昇龍がまさかの初黒星。
先場所からの好調を持続。今場所も最初の3日間は危なげない積極的な相撲を見せてくれていたので(昨日は土俵際の逆転勝ちであったが)期待してたんだけど・・・。
(結果的に)右だけで勝負をつけようとした、し過ぎたか。
もうひと呼吸おいて、左を探れなかったかなぁって思ったけど(焦らずに)
四つに組めば(持ち込めば)今場所の豊昇龍だったら勝てたのでは。
取組直後からしきりに右ひじを気にしていた。明日以降に影響がなければいいのだが。

大の里が敗れたというよりも、王鵬がまた上位をやっつけた。
(大の里の)敗因は(今日の)豊昇龍と似たようなことが言えると思うが、なんでそんなに目先の白星(勝利)に急ぐのかなと。
体格のスケールやアドバンテージ(現時点での)地力は明らかに大の里が上なのに。
もったいない星を落としたように思う。
王鵬5連勝。
大波兄弟を撃退した前に出る相撲もよし、それ以外の(今日も含めた)3勝は(逆転に見えるが)体の柔軟性・柔らかいがゆえにもたらされた白星と前向きに捉えたい。

十両・安青錦の5日目は、東8枚目の藤青雲(藤島)
立ち合い低く(頭をつけて)前傾姿勢(相手に重心・体重をかけながら)(相手が)肩透かしにきたところに隙を与えず着実に押し出した。

横綱・照ノ富士が引退の意向を固めたようである。
やっぱり限界でしたか、もう無理でしょう。
どれだけ奇跡を体現してくれたか。
十二分にドラマを見せてくれましたよ。
ゆっくりしてください、お疲れ様でした。