宇良、20年ぶりの伝え反り炸裂!4日目

大関・貴景勝が前頭2枚目琴ノ若に勝った。
立ち合いから突き押しの展開、途中から貴景勝が強烈な張り手を何発も繰り出し、右のど輪からの押し出し。1敗を守る。

残る2人の大関は御嶽海が翔猿に、正代も玉鷲に相次いで敗れた。

照ノ富士戦同様、自ら積極的に立ち合いから突っ張り、流れの中で四つへ。頭を付けながら、最後はもろ差しの形となり、寄り切った。

玉鷲は右のど輪から一気に前へ、最後は左のど輪で押し出し4連勝。
正代はいいところなく、3連敗で1勝3敗。

注目のモンゴル対決、豊昇龍‐霧馬山は、立ち合い豊昇龍が右に変化し、右上手を引く。
この右上手と左のど輪で一気に霧馬山を寄り切りに破り、幕内通算100勝となった。

宇良が今日も珍しい決まり手を繰り出した!

前頭3枚目の宇良が、同5枚目の実力者・宝富士を「伝え反り(つたえぞり)」という珍手で勝った。今場所151㎏まで増量した宇良が今日も魅せてくれた!

立ち合いからの攻防の中、宇良が引きにいった次の瞬間に、宝富士の左腕をぐるっとくぐるような感じとなり、宇良自身の上体をあずけ、もたれかかり、勝負を決めた。

調べたところ
※伝え反りとは・・・相手のワキの下をくぐり抜けながら後ろに反る技 とあった。

幕内では2002年秋場所の朝青龍‐貴ノ浪戦以来20年ぶりとなった(朝青龍の勝ち)

過去の大ケガ、右ヒザのぶ厚く大きいサポーターを見ると、心配や不安もよぎるが、それでも珍手・大技を繰り出す宇良から相撲の醍醐味を教わっている気がする。

四日目を終えて、
幕内全勝は玉鷲・若元春・北勝富士・王鵬の4人。
十両全勝は美ノ海・千代栄・栃武蔵(新十両)と続いている。

技のデパート健在↓↓↓


ざんばら髪の新十両、金峰山の15日間

 9月場所、新十両に栃武蔵(春日野)と金峰山(木瀬)の2人誕生したが、ここでは、日大から三段目格付出でデビュー、所要6場所で十両に駆け上がった金峰山(きんぼうざん)を紹介する。

1997年6月24日、カザフスタン・アルマトイ州生まれの25歳。
本名は、バルタグル・イェルシン。

なんと元横綱・朝青龍の紹介で、18歳時に来日。現・目黒日本大学高校に編入学、相撲を始める。日大に進学し3年次あたりから、輝かしい実績を残し、角界入り。木瀬部屋入門。

初土俵となる2021年九州場所では、7戦全勝でいきなりの三段目優勝を果たした。
新幕下で迎えた今年初場所を5勝2敗、翌春場所を7戦全勝で幕下優勝、夏場所5勝2敗、名古屋場所、西幕下筆頭で6勝1敗と文句なしの十両昇進を決めた。

柔軟な取り口を見せる。
立ち合い、突き押しを見せたかと思えば、ガッチリ左上手を引き付けての四つ相撲。豪快な投げ技もある。

~秋場所・金峰山の立ち合い~

突っ張り 欧勝馬・豪ノ山・貴健斗・栃丸・北の若・大奄美・魁勝・千代栄・荒篤山・輝・東白龍

四つ 北青鵬・大翔鵬(左上手取られた)・島津海・栃武蔵

と、今場所の立ち合いに関しては、突っ張る傾向が多かったようだが、本人曰く「相撲は何とかなったら、何とかしないといけない。どっちでもいけるようにしている」と柔軟で臨機応変なスタンスを持っている。

新十両で迎えた秋場所は、10勝5敗と素晴らしい成績を上げた。
来場所は十両7枚目辺りか。

四股名の由来は、師匠の元幕内・肥後ノ海の故郷、熊本県にある山だそうだ(標高665m)
因みに全く同じ字を書き、山梨と長野に跨る金峰山は、山梨では(きんぷさん)長野では(きんぽうざん)と読むらしい。

身長191㎝・体重165㎏と恵まれすぎるほどの体格に、プロの土俵であらゆる土俵経験を積んだ時、どんなスケールを兼ね備えた力士へと変貌を遂げるのか、今から楽しみである。

金峰山!!↓↓↓

9日目 横綱大関4力士、今日も全員敗れる!

 一体、どうなっているのやら…。
この事態はさすがに史上初の不名誉らしい。

結びの横綱照ノ富士は、好調・髙安との対戦。
お互い頭を付けあい様子を見る。
お互い引きに出るも、勝負に至らず。
今度は照ノ富士が足を飛ばし、蹴返しにいきながら引いたところにつけこみ、髙安が寄り切った。 直後にそーっと歩きながら東方に戻るその姿に、明日以降の出場が危ぶまれる気がしてならない。
照ノ富士、明日は大栄翔。 髙安は全勝の北勝富士との一番が組まれている。

大栄翔‐御嶽海は、大栄翔が立ち合いから突いて出る。御嶽海は下からあてがうだけで、あっさり土俵を割った。
かど番大関御嶽海は、6敗目で明日の対戦相手が1敗の玉鷲。苦しい道のりが続く。

東大関貴景勝は霧馬山との対戦。
すぐに左前みつを引いた霧馬山。右も(前回し)を引き、もろ差しになった霧馬山を、左から振り回す形で抵抗するも、寄り倒しに敗れた。
霧馬山は、横綱大関との対戦が終わり(3勝1敗と大健闘)、10日目は翔猿と。
面白そうな一番だ。

1勝7敗の大関正代は宇良戦を迎えた。
常に上体が低く、前傾姿勢が宇良が寄っていき、土俵際の反動を利用したかのような引き落としが決まり、正代、早くも負け越す。
休場や不戦敗を含まない9日目での大関負け越しは、15日制になってからは初めてだそうだ。 NHK解説の舞の海氏からも厳しい指摘があった。

玉鷲、あの貴闘力を抜き通算連続出場歴代3位となったこの日も、文句なしの素晴らしい相撲で記録に花を添えた。
北勝富士、今日も充実したいい相撲。最後、若元春を叩きつけるかのような押し倒しで全勝守る。
翠富士、負けはしたが先場所優勝の逸ノ城に食い下がった。最後は両上手の逸ノ城が寄り切り。2分45秒の大相撲。体重差98㎏。重かったろうなぁ。。。

十両は、2敗同士の一番栃武蔵‐美ノ海。
美ノ海、左前回しいい所引くも、栃武蔵も左上手。
すぐさまここからの上手投げで、栃武蔵2敗を守った。

1敗の北青鵬、今日は千代栄との一番。
立ち合い右上手も肩越しからで、遠くてやや強引か。それでも右上手と左差しで千代栄を寄り切りこちらも1敗を守った。

また、元大関で東幕下15枚目の朝乃山は、高田川部屋の湘南乃海と全勝対決。
先に湘南乃海が右上手を引くも、朝乃山の出足の圧力に対して、咄嗟に引いてしまい寄り切られた。

大相撲九日目を終わり、幕内
全勝 北勝富士
1敗 玉鷲
2敗 髙安・千代翔馬・錦富士
となり、

十両が
1敗 北青鵬
2敗 栃武蔵
3敗 熱海富士・輝・美ノ海
となっている。


関取復活へ大成龍、将来の名力士誕生なるか⁉他、各段優勝

各段優勝は次の通り

幕下優勝 東36枚目 大成龍 木瀬部屋 (29・青森)
八戸水産高校相撲部出身。2011年5月初土俵、翌7月場所序ノ口で7戦全勝を飾るも、同部屋の佐久間山(引退した常幸龍)に決定戦で敗れた。十両を3場所経験、最高位は十両12枚目。その後、番付の巡りあわせで悲運を味わうこともあったが、見事優勝を決めた。

三段目優勝 東78枚目 欧勝海 鳴戸部屋 (21・石川)
小6でわんぱく相撲ベスト16、中学高校でもアマチュア相撲で実績残す。
最高位は、去年九州場所の幕下7枚目。序二段優勝の実績もある(2020年九州場所)
実家が「やたの湯」という温浴施設らしい(石川県川北郡津幡町)

序二段優勝 西44枚目 高橋 二所ノ関部屋 (23・福島)
優勝決定戦を生中継を見ていたが、対戦力士・千代大豪の強烈な右の張り手をもらい、取組直後にフラフラしているように見えたが、大丈夫だろうか。
2場所連続の優勝で、また新生二所ノ関部屋に輝きをもたらした。

序ノ口優勝 西16枚目 大谷 宮城野部屋 (22・沖縄)
高校から相撲を始め、日大進学後に頭角を現す。卒業後、宮城野部屋に入門。
先場所(名古屋)、初土俵を踏み、力士として初めて迎えたこの秋場所で優勝を決めた快挙だった。NHKのインタビューの時に、優勝を決めた一番と、花道を引き上げた時のVサイン✌が映し出されていて、恥ずかしそうにしていた。184cm,183kgと現時点でかなりの体格に恵まれている。宮城野部屋に再び、かなりの逸材が入門したか。

玉鷲、2度目の優勝成る!十両優勝は栃武蔵、朝乃山、6勝1敗で秋場所終える。

 荒れた、本当に荒れた。
最終的に誰が優勝に辿り着くのか予想つかなかった秋場所も、千秋楽を迎えた。

その優勝を決める大一番は、玉鷲‐髙安。
髙安の左のど輪を、右回りにいなす(かわす)玉鷲、(隙を見せず)そのまま突き押し、左のど輪で押し出して、優勝を決めた。2019年初場所以来、21場所ぶり2度目の優勝を果たした。37歳10ヶ月の優勝は6場所制になって史上最年長記録達成。
完璧と言っていい相撲、髙安は何も出来なかった。

https://www.youtube.com/watch?v=vrSblhCGF-E

貴景勝と若元春は、それぞれ不甲斐ない正代と御嶽海に問題なく、あっ気なく勝った.。
敗れた両大関は、ケガにつながるような出来事、もしくは(以前から抱えていた)古傷的なものがあったかもしれないが、いかんせん大関の地位に相応しいメンタルと力強さ、迫力が全く見えなかった。

若隆景は佐田の海を寄り切り、11勝4敗で本場所を終え、再び、大関獲りへの足掛かりを築いた。

豊昇龍は、遠藤に右に変化しながら、上手を取る。上手投げで崩しながら、最後押し出して勝ち越した。
変化で勝ったことに、偉大なる叔父は自身のSNSで、不満を漏らしていたようだ。期待の現れか。

錦富士は、琴ノ若を送り出して10勝目。
新入幕から2場所連続の2ケタ勝利は、あっぱれ!

令和4年大相撲秋場所、幕内は

優勝 玉鷲(2度目)

殊勲賞 玉鷲(2度目) 翔猿(初)
敢闘賞 髙安(6度目)
技能賞 若隆景(4度目)

横綱照ノ富士の休場、両大関の不調がある中で、優勝を決めた玉鷲や髙安、北勝富士(30歳)といったベテラン組の健闘に加え、大波兄弟・翔猿・錦富士ら若手力士が大いに場所を盛り上げてくれた。

十両の千秋楽は、14日目に優勝を決めた栃武蔵が、金峰山との新十両対決。
互いに左上手を引き、がっぷり四つになったが、金峰山が上手投げからの寄り切りて10勝目を上げ、大健闘の場所になった。
北の若に東白龍は、東白龍が突っ張りから責め立てるも、北の若が体を入れ替えて押し出し。
北の若も2ケタ勝利の10勝5敗。
熱海富士‐貴健斗は、貴健斗のはず押しで、土俵際まで後退する熱海富士が我慢できなくなったのか、引いたところを押し出して貴健斗の勝ち9勝目。物言いがついたが軍配通り。
場内アナウンスで、負けとなった熱海富士の悔し気にひきつった表情をしたのが、印象深い。

3人の新十両がそれぞれ栃武蔵(11勝で優勝)、金峰山(10勝)、貴健斗(9勝)と大活躍!
10勝以上が上記の2力士に加えて、北の若の3人と寂しい感もあるが、来場所の捲土重来を楽しみにしよう。
苦労して十両の座を掴み取り、回転のいい突っ張りで土俵を沸かせた栃丸、2勝13敗の成績で、3場所守った十両の地位を明け渡すことになってしまった、残念無念。

最後に。
元大関朝乃山は、幕下20枚目の栃幸大との一番。
腰を落とし、上体低く、圧倒して押し出し。
6勝1敗で今場所を終え、来場所はおそらく、幕下5枚目以内の上位に番付を上げてくるだろうと予想される。