元関脇・琴富士、60歳にして逝去

 元関脇、幕内優勝経験者の琴富士さんが8日午前(朝方)に亡くなったとの情報があった。
享年60歳での旅立ちである。

現役時代を主観で振り返るならば、恵まれた体格を活かしきれず、自らの資質を持て余した感がある。
もっと真剣に取り組んでいれば、三役常連ぐらいの力士になっていたんじゃないかなと・・・。

現役引退後、わずか4年で現・粂川親方(琴稲妻)の引退により「粂川」株を返上。

そこからの琴富士の人生は多事多難。
タレントをしてもうまくいかず、貴闘力経営の焼肉店の中国進出にあたり、現地に乗り込むも経営不振・慣れない異国での生活の狭間に揺れ動かされ、散々苦労した。
そうかと思えば、ギャンブルにのめりこんだがゆえの偽装結婚で逮捕と悪循環が止まらなかった。

そして病気の併発、脳梗塞による死去。

琴富士の相撲協会退職後の人生を搔い摘んでみると凋落ぶりが止まらなかったか。
心よりお悔やみ申し上げます。

安青錦と髙安のケガ判明、夏巡業より

 安青錦が7月場所中に左肩を痛めたと打ち明け、髙安が腰痛を再発して夏巡業を途中離脱とネットニュースで知った。

安青錦は(巡業中)幕下以下の若い衆相手のぶつかり稽古で胸は出したが、関取衆の申し合い稽古には不参加とあった。名古屋場所の何日目か?どの辺で痛めたのか?は不明だが、最終盤の草野と琴勝峰戦での連敗は、肩の痛みを抱えながら、(そのことを)心にしまいながら戦っていたのかと思うと(ファンとしても)悔しくて残念な気持ちが今でも湧いてくる。
今回の夏巡業。この暑さに加えて、この先もかなりハードな日程と移動で組まれている。興行上の都合もあると思うが、あまり無理せず、次の本場所(9月)に照準を合わせた調整をしてほしいものだ。

髙安も腰痛の多い力士である。
この持病が再発して診察の結果、腰痛椎間板症と急性腰痛症と6日(水)の朝に診断され、約3週間程度の安静加療が必要だとか。
今日は茨城県の古河市での開催ながら残念な休場となった(髙安は茨城県土浦市出身)
このあと、今月29日には牛久市でも行われる今回の夏巡業。その頃には加療期間を当てはめると、出場できるかどうか微妙なところ。しっかり治してほしい。

夏巡業、明日あさってと福島県南相馬市・郡山市の順で回る。
福島県出身力士(言わずと知れた大波3兄弟を除けば)
白熊(二所ノ関)
丹治(荒汐)
東浪(玉ノ井)
爆虎神(式秀)
といった辺りが、関取・ホープ・ベテラン・個性派としての一部顔ぶれになるのか。

三田(二子山)は次代の担い手となれるのか

 7月場所は十両の動きまでつぶさに毎日追いかけられなかった。
優勝は大青山(荒汐)とばかりに思っていたが、終盤に3敗(特に14日目と千秋楽に連敗して)場所を終えてたんですね。

十両優勝・三田(二子山)11勝4敗

基本的な取り口は押し相撲のようだ、わかりやすい!
名古屋場所の三田の相撲をyoutubeで何番か拝見したが、その中で一番よかったのは(負けはしたが)錦富士戦だったように思う。三田優勢で進めていた中、土俵際で勝敗を分けたが、持ち前の負けん気が画面越しに伝わってきて好感が持てた。

5歳から始めた相撲、早くから頭角を現している。
近畿大学進学後も、順調にその歩みを刻んでいるかと思えたが、4年次に左膝の前十字靭帯断裂・半月板損傷の怪我をしていて、入門前はしばらくリハビリに時間を費やしていたほどだ(今でもその付近にテーピングを施しているのがその証か)

三田より2場所前に入門し、今場所、最後まで幕内優勝戦線に名を残していた草野(伊勢ヶ濱)や安青錦(安治川)らと共にハイレベルな出世争い、相撲界の新時代を形成していく担い手となれるのか。

矢後(押尾川)焦らず腐らず復活へ

 名古屋場所・幕下優勝はこの度新十両昇進を決めた朝白龍(高砂)
その朝白龍と7番相撲で優勝を決める戦いで残念にも敗れたのが、矢後(押尾川)
正直、久しぶりに耳にした四股名である。

関取(十両)陥落後、4年が経つ。
それからはほとんど幕下上位に番付されていたようだが、ちょうど1年前の7月場所から3場所連続休場により(休場理由がわからない、古傷の膝に痛みや問題を抱えていたのか)序二段19枚目まで落とした番付から、再途上中といったところであった。

エリート・矢後も鳴り物入りの入門時を思えば、引き換え(ここまでは)それほど出世している訳でなく、苦労している。
3年前の1月場所終了後、最初に所属した尾車部屋・親方(現在の琴風浩一氏)の停年により、元関脇・豪風が師匠の押尾川部屋に移籍。
風賢央、風の湖らと「風」系の部屋を引っ張る立場でいる。

個性あふれる人物像、ユニークなキャラクターとは無縁・真逆であるが、真面目・堅物キャラで念願の関取復帰なるか、31歳・矢後太規である。


朝乃山不死鳥伝説・第2章

 (自身の不祥事もあったとはいえ)大関にまで昇進した力士が、一気に番付を降下させて、ここまで(再浮上のために)何もかもかなぐり捨てることができるだろうか。

日本相撲協会は30日、名古屋市のIGアリーナで秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士5人を発表した。新十両の旭海雄、石崎改め朝翠龍(あさすいりゅう)、朝白龍、西ノ龍という4人とともに、再十両としては唯一、関取昇進が決まった。とあった。

この再十両とは、他ならぬ元大関・朝乃山である。

また戻ってきた。今度は両膝を痛めたがゆえに三段目から這い上がって。

随分と浮き沈みの激しい土俵歴になった。
大関を張っていた頃は、26~27歳辺り。
そこから不祥事とケガによるブランクを重ねながらも、その度に復活して、今度はどこに照準を合わせているのか。

今場所の5勝2敗(内訳)
十両の土俵に上がること2回。
幕下の土俵で元関取と戦うこと2回。

(挫折を経て)相撲に対する意識や考え、取り組み方は間違いなく以前のものとは違うものだろう。

話が逸れるが、朝乃山の所属する高砂部屋からは、この朝乃山を含めて3人の十両昇進が決まった。
幕下優勝・朝白龍に
朝紅龍・弟の石崎改め朝翠龍。
若手に交じりながら、また立ち上がる朝乃山に敬意を表する。

まずは今度の9月秋場所、確実に勝ち越しを決めて、もうひとつ上の扉を開けたい。
もしくは、それに匹敵するくらいの成績を上げたいところだ。