朝乃山不死鳥伝説・第2章

 (自身の不祥事もあったとはいえ)大関にまで昇進した力士が、一気に番付を降下させて、ここまで(再浮上のために)何もかもかなぐり捨てることができるだろうか。

日本相撲協会は30日、名古屋市のIGアリーナで秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士5人を発表した。新十両の旭海雄、石崎改め朝翠龍(あさすいりゅう)、朝白龍、西ノ龍という4人とともに、再十両としては唯一、関取昇進が決まった。とあった。

この再十両とは、他ならぬ元大関・朝乃山である。

また戻ってきた。今度は両膝を痛めたがゆえに三段目から這い上がって。

随分と浮き沈みの激しい土俵歴になった。
大関を張っていた頃は、26~27歳辺り。
そこから不祥事とケガによるブランクを重ねながらも、その度に復活して、今度はどこに照準を合わせているのか。

今場所の5勝2敗(内訳)
十両の土俵に上がること2回。
幕下の土俵で元関取と戦うこと2回。

(挫折を経て)相撲に対する意識や考え、取り組み方は間違いなく以前のものとは違うものだろう。

話が逸れるが、朝乃山の所属する高砂部屋からは、この朝乃山を含めて3人の十両昇進が決まった。
幕下優勝・朝白龍に
朝紅龍・弟の石崎改め朝翠龍。
若手に交じりながら、また立ち上がる朝乃山に敬意を表する。

まずは今度の9月秋場所、確実に勝ち越しを決めて、もうひとつ上の扉を開けたい。
もしくは、それに匹敵するくらいの成績を上げたいところだ。

大の里の猛省相撲

 今場所の大の里。

新横綱で迎え、今まで以上の注目を浴び、かかったプレッシャーも半端ではなかったろう。
13日目で4敗を喫し、この時点で優勝圏外へ。
11勝4敗の最終成績。
4度の敗戦と勝ってもひやひやものの白星もあったりしたが(一山本戦)
常勝かつレベルの高い横綱であってほしいので、目についたポイントや修正点を洗い出したい(皆さん思ってることはほぼ同じだと思いますが)

7日目までは王鵬戦以外は、先場所の良かった点(圧力を活かしたスピード相撲)を引き継ぐことがほとんど出来ていたが、この日を境に「引きや叩き」が目に余るようになった。

4日目の王鵬戦にプラスして、8日目・伯桜鵬戦と(勝つには勝ったが)12日目の一山本戦(取り直し前も後も)の引きは「悪癖」と称されるぐらいの意味をなさないものだった。
恵まれた体格、それを土台としたあの圧力を持ってさえすれば、どう見ても不必要なもの。
更に言えば負ける相手ではなかったはずだ。
4敗は全て平幕(この部分は大分つつかれていたが)とは惜しまれる。

しっかりと反省して(これまでに)擦りこまれているのか安易に「引く・叩く」悪癖を矯正してほしいものだ、メンタル面の強化も必要か?

(いずれは)常勝かつレベルの高い横綱=13~14勝(平均・アベレージ)を求めたいところ。
それは歴代の名横綱、大鵬・北の湖・千代の富士・貴乃花・朝青龍・白鵬 階級辺りまで欲求したいのですが、それは高望みでしょうか。

藤ノ川の敢闘精神

 今場所の新入幕は3名。
草野
藤ノ川
琴栄峰

中でも、藤ノ川のここまでの活躍は、失礼ながら想像していなかった。
176cm・117kgのこの体格で、10勝5敗と敢闘賞受賞。
名古屋場所の活躍をスポットで振り返ってみた。

初日・草野戦。
今場所最後まで優勝争いを繰り広げてきた草野とは、初日に東西14枚目同士として対戦していたが、土俵際での逆転負け。

今場所の覇者・琴勝峰とは4日目に対戦。取り直しの末に勝った。
取り直し前も含めてだが、常に攻めていたのは藤ノ川。
あぁ、この一番でしたかねぇ。流血して3針縫ったのは。

内面・負けん気の強さが伝わってくるかのような、豪快な投げ技でも2つ白星を追加している(琴栄峰と時疾風戦)

何より自分から忙しく積極的に(左右前後に)動きながら、勝機を窺うあの姿勢が良い。
瞼の辺りを3針縫うようなケガをしたって、翌日からも臆することなく向かっていった「令和の牛若丸」

また個性派が、活きのいい若手・幕内戦士が一人加わった。
20歳の若武者である。

弟・碇潟も5勝2敗と勝ち越しを決め、頑張っている。

安青錦、届かなかった優勝 2025名古屋千秋楽

 最後に笑ったのは、琴勝峰。
直ちに今日の事実上の結びを振り返る(安青錦戦)
当たって
起こして
突き落とした。
この3段階に集約される訳だが、安青錦が阿炎戦辺りまで見せていた(ただでは負けない)強靭な足腰が機能せず、あっさりと土俵に這ってしまった。昨日の草野戦でもそう見えた。やはり、最終盤どこか痛めていたのか(力士全員何かしら大小抱えているが)優勝争いのプレッシャーで心身ともに疲れていたのか(これは琴勝峰・草野にも言える)
対する琴勝峰。
最後は驚異の10連勝で決めたが、振り返ると終盤11日目の隆の勝戦から、出足とスピード、状況判断的なものが冴えていたのかなと思う。結果として、前回の優勝争いをした経験が活きていた。
好素材・将来の大物と言われて久しいが、今後大きく花開くか。
来場所以降も楽しみな存在である。

幕内優勝を目前で見せつけられた形になった新入幕の大健闘を見せた草野。
勇躍、元大関に立ち向かっていったが、髙安がそれを許さなかった。
的確な突っ張りを胸と顔面に当てられ、最後まで中に入れず。
突き出しに敗れ、今場所11勝4敗に終わる。
しかし、好成績と頑張りを評価され敢闘賞受賞。胸を張ってほしい。
近い将来、必ず脅威となる存在だ。

大の里は、悪癖の引きや叩きが見られなかった。
右差しから一気に寄り切り。
(こういう感じ)圧力をかけながら前に出れば、まず負けない。
新横綱11勝は是か非か。
(振り返ってみると)やはり悪癖を徐々に修正してもらうことが最重要課題か。
欲を絶つとでもいうか(一番厳しく、難しい課題だが)
取りこぼしも少なくなり、批判や非難が減るはずだ。

今場所は執拗なまでに安青錦推しで通しましたが、優勝の夢かなわず。
まずは、ゆっくり休んで疲れを癒してほしいです。
来場所以降も変わらず注目していきます、もっと大きな存在になれるはずなので。

今場所も当ブログをご覧いただきありがとうございました。

安青錦関を最後まで信じます! 2025名古屋14日目

 2~3年後、早かったら1~2年後に相撲界を引っ張る存在になり得る安青錦(2敗)と草野(3敗)が優勝争いの浮沈を賭けて激突した。
突っ張り合いの中、左上手を取った草野。
ここからが速い。出し投げを打って、安青錦の体勢を崩して寄り切り。

(草野は)おとといの髙安戦の黒星で優勝争いも、上位戦にも厳しいだろうと思っていたが、昨日(霧島)今日(安青錦)と撃破。
幕下付出のデビュー、スピード出世に裏打ちされた理由がわかるような気がしました。
一方の安青錦。今日の相撲は完敗だったが、存在が色あせた訳ではない。まだまだ私は(優勝を)本命視している。
明日の草野は髙安、安青錦は琴勝峰。どちらも大一番を控えている。

もう一人の2敗琴勝峰は、3連敗で大関復帰が心もとなくなってきた霧島。
この一番も互いの突き押しが交錯したが、右にいなした琴勝峰が出し投げ気味の上手投げ。
これといった攻防が見られない中、あっさりと勝負がついた。

3敗・熱海富士は髙安に対したが、下手投げに屈し、優勝圏外へ。

琴勝峰が一歩抜け出した展開になったが、どうなりますかね。
3名の力士が優勝争いを賭ける形になりました。今から胸の高鳴りが止まりません。

過去に幕内優勝争いを経験をしている琴勝峰が決めるのか。
若武者・草野の勢いで優勝を奪取するのか。

いや、私は決定戦までもつれて、安青錦が技の引き出しの差で栄光を手にする気がするんです!