安青錦の対三役3連敗が持つ意味と価値

 安青錦 新大(安治川) 東前頭9枚目
今場所成績 11勝4敗

4敗の内訳
初日・金峰山(前頭)
10日目・若隆景(小結)
11日目・琴櫻(大関)
12日目・大栄翔(関脇) 

とまぁ(敗戦は)幕内1人と三役のみと確かな実績と素晴らしい実力を見せてくれた。

初日の金峰山戦は、大きな体に腕の長さを最大限に活かした突っ張りで中に入れなかった(金峰山の取った作戦・展開が有効だった)
10日目・11日目の若隆景・琴櫻戦はすんでのところまで追い詰めた上での悔しい負け。
12日目の相手となった大栄翔は、初日・金峰山の相撲展開と似ていて(途中のいなし以外は)突っ張りに徹した。

逆に勝った相撲をもう一度振り返ってみたが、概ね低い姿勢(頭をつけ続け)少々の揺さぶりにも動じないメンタルとフィジカルの強さ、対応力の多彩さ(時に足を取ったり掛けたり)などで白星を重ねてきた。

さて、来場所の番付予想としては、早くも(付け出しを除いた)新三役昇進の史上最速記録を達成するのではないかと予想する向き・識者が多い。

何事においても順風満帆にいくわけがないが、安青錦の今場所の対三役3連敗は、言葉だけではない上位陣の壁の厚さ、今後に向けての課題、欠点をを知る絶好の機会と捉えようか。

初土俵以来負け越し知らずで駆け上がってきたこの男の(本当の意味での)真価が問われる場所が訪れようとしている。

夏場所引退力士より

 今場所限りの引退力士は10人と発表された、一部抜粋。

聡ノ富士(伊勢ケ濱)
ご存知、弓取り式最多回数保持力士。
48歳まで相撲を取り続け、伊勢ヶ濱親方定年と共に引退を決断した。

澤勇(式秀)
前の桃智桜と言った方がピンとくるだろう。
珍名・キラキラネームの宝庫、式秀部屋からまた一人、人気力士が去る。

竜勢(伊勢ノ海)
父が元関脇・多賀竜。親子二代の関取ならず。最高位は幕下優勝直後の東幕下4枚目。

益湊(阿武松)
入門時の師匠は、元関脇・益荒雄。その元親方の付け人を務めた経歴あり。
小学生の頃から相撲教室「キッズ阿武松」に通っていた、阿武松一筋力士。

伯桜鵬、終盤大失速のなぜ?

 伯桜鵬 哲也 東前頭7枚目
今場所最終成績 8勝7敗

初日からの白星を7に伸ばし、一時は大の里・安青錦・若隆景らと完全に優勝争いを牽引する存在だった。
にも関わらず、これ以降、坂道を転げ落ちるように1勝7敗(10日目から6連敗)で場所を締めくくる。

どうしてこんなにも成績が反転したか?
振り返れば初黒星を喫した明生戦(8日目)で、土俵際の攻防での完全な逆転負け。この時の小手投げを食らった際に右ひじ周辺を多少なりとも痛めたものと思われる。
翌9日目は、右ひじ上部にテーピング。
10日目にはそれが取れたと思いきや、この時の大栄翔戦後に新たな痛みが発症したのか、次の日の豊昇龍戦から右ひじ周辺を広く完全防備するかのように、テーピング処置がされていた。

久々に今場所途中までの好成績から「伯桜鵬」の文字・四股名を見聞きし、更なる健闘を期待したのだが、6連敗した要因には間違いなくこの右ひじ周辺の痛みが伴うものと推測する。

横綱昇進を決めた大の里より初土俵は2場所前(年齢は3歳差・大の里が上)
大卒からの入門した大の里に対して、伯桜鵬は高卒から社会人を経ての入門。
アマチュアタイトルを多く獲得しているこの両雄には、事あるごとに比較・話題にされ、大きな期待がかけられていた。
しかし、伯桜鵬の左肩の大ケガから状況が一変。
今はすっかり水をあけられてしまった。

まずはケガを治し、痛みを取り除こう。
私はデビューから3場所、本名「落合」を四股名にしていた頃のあなたの輝きが忘れられません。



十両優勝も2場所連続で・・・、

 草野(伊勢ヶ濱)が決めた。
日大相撲部卒業からプロ入り、キャリア一年。
まだ髷の結えないざんばら髪での快挙達成に、驚嘆と果てしない可能性を感じる。

デビュー以来、負け越し知らずできているが、十両昇進まで幕下を5場所経験。
十両に入ってから急に勝ちだすようになった。
相撲が速い。
右差しからの四つ相撲をベースに、突っ張ってもいけるし、大青山・欧勝海などを投げ飛ばしたりもしている。

何がきっかけで突然実力がつき、花開いたのか。
成績が証明するように、このレベル(十両)では敵なしに近い状態。

一段上に行けば当然、今まで通りにはいかない相撲、通用してきたことができなくなったりするなど、必ず壁に直面するだろうが頑張って食らいついてほしい。

将来の角界を託せそうな素材がまた出現か!?
草野 直哉 23歳である。

この本名のままで取り続けるのか。


 

大の里、全勝に届かず 2025夏場所千秋楽

 大の里に全勝で決めてもらいたかった。
勝てると思った、昨日までの流れからして。

早速、今日の一番を振り返る。
立ち合い、大の里はのど輪で起こしにかかったが、豊昇龍後退しながらも左上手を取っていたようだ。それでも大の里は右差しから寄って出たが、豊昇龍も寄られながら投げのタイミングを計っていた。大の里はいつもより腰が若干高かったですかねぇ、そんな気がしました。豊昇龍、右足で大の里の左足を跳ね上げ最後は上手ひねり。
大の里の全勝優勝がこうしてなくなった。この一番だけで見れば(大の里にも)見えない圧があったというか、欲が裏目に出ましたかね。
所要13場所での横綱昇進を確実にした訳だが、来場所以降もこのスピード出世を果たした分だけの強さを見せてほしいし、豊昇龍との両輪で相撲界を盛り上げてほしい。

安青錦も13日目から3連勝で、今場所も11勝で終えた。新入幕から2場所連続敢闘賞受賞は偉業である。
左差しから息つく暇なく下手投げ。
佐田の海、敗れたが好成績が評価され安青錦と共に敢闘賞。久しぶりに場所を沸かせてくれた。

大の里、新横綱。
安青錦、どこまで番付を上げてくるか。

7月の名古屋場所は新会場での開催となる。
新たな地で、新たな顔ぶれが、相撲界新時代を切り拓いていくのか。