隆盛著しい追手風部屋にまた一人関取が誕生した(現役7人目)
日翔志 忠勝(ひとし ただかつ)
9月場所で見事、千秋楽で7人による優勝決定戦を制し幕下優勝を果たした26歳である。
秋場所では、4番相撲となる6日目の志摩ノ海戦で十両の土俵に登場。寄り切りに破って白星を上げた。
ここまでの経歴をまとめる。
日翔志 忠勝こと沢田日登志は1997年8月14日、東京都武蔵野市に生まれ、立川市で育つ。相撲好きの祖父の影響で5歳の頃から地元の相撲道場に通って稽古を積んだ。中学校は新潟県の中学校に相撲留学、高校は名門埼玉栄高校に、大学は日本大学へと進学、数々の全国大会で実績を上げ、優秀な成績を残してきた。
大学卒業後は日大事業部に就職し、選手として活動しながら日大相撲部でコーチを務めたが、コロナ禍の影響で大会が中止となり、1年で退社してプロ入りを決意、追手風部屋に入門した。
2021年5月場所で初土俵。2場所後の9月場所に序二段優勝と上々の滑り出しだったが、この9月場所後の稽古中に頸椎(けいつい)損傷の大ケガ。下半身が動かなくなり、約2ヶ月もの寝たきり生活が続く。休場中には父の急死もあった。引退も考えたが、周囲からの激励もあり2022年5月場所から土俵に復帰、そこからは序二段と三段目で優勝、今年から幕下に昇進後も勝ち越しを重ねて十両(関取)の座を勝ち取った。
幕下優勝でのインタビューで日翔志は
「うれしい。けがをしたときは相撲をやめようかなと思ったがやめなくてよかった」
「ここまで来られるとは思っていなかったので感慨深い」と喜びを噛みしめていた。
わずか2年半の間にこれだけの紆余曲折を乗り越え、力士としての喜怒哀楽を味わってきた。
座右の銘を「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」と話す26歳。ここまでの苦労を成功に変える日が訪れた。
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