弓取り式は45歳!

  弓取り式は、大相撲の本場所で結びの一番の勝者に代わり作法を心得た力士が土俵上で弓を受け、勝者の舞を演ずることである。全取組終了後、打ち出し前に行われる。 とある。

                             wikipediaから引用



その弓取り式を行っている力士は現在、45歳だということをご存じだろうか。

聡ノ富士 久志(さとのふじ ひさし) 伊勢ヶ濱部屋 群馬県北群馬郡吉岡町出身。

高校時代、柔道部に所属していた時に、部屋後援会からスカウトされ入門を決意。1996年1月場所初土俵で、同期入門は栃乃洋・海鵬・燁司・芳東・増健ら豪華な顔ぶれ。

~弓取り力士になったきっかけ~

同じ伊勢ヶ濱部屋の日馬富士が横綱に昇進したので、同部屋から弓取り力士を出すことになり、お鉢が回ってきた。

2012年秋巡業から2018年1月場所まで5年以上に渡り務めた。
2021年9月場所では、当時担当の将豊龍が右肩負傷により、急遽2日目から代役になり、現在に至る。弓取り力士最高齢記録も更新。

現役力士としては、2022年11月場所まで
力士在位 160場所
通算成績 535勝559敗19休
最高位  東幕下55枚目
三段目在位82場所は史上10位

~珍記録も~


決まり手・居反り(いぞり)で勝つこと、なんと16番。
居反りとは・・・腰を低く落とし、相手が上にのしかかるようにしてきたとき、両手で相手のヒザのあたりを抱えるか、押し上げて後ろに反って相手を倒すこと。

とあり、軽量・小兵力士が一発逆転を狙って繰り出す技と言ったら言い過ぎか。

直近の九州場所は、東序二段89枚目で3勝4敗。

伊勢ヶ濱部屋、最古参力士の45歳。

今や相撲興行に欠かせない存在である。

各段優勝から2人ピックアップ!

 九州場所・各段優勝は以下の通り。

幕下 東23枚目 玉正鳳(たましょうほう)片男波部屋 7戦全勝

三段目 東28枚目 日翔志(ひとし)追手風部屋 7戦全勝

序二段 西60枚目 朝志雄(あさしゆう)高砂部屋 7戦全勝

序ノ口 西15枚目 尊富士(たけるふじ) 伊勢ヶ濱部屋 7戦全勝

となった。

NHKインタビューで印象的だった2力士を更に紹介したい。

幕下優勝 玉正鳳は、今場所の朝乃山に唯一土をつけた力士である。
何を隠そう、あの玉鷲の義弟である。

Wikipedia等でプロフィールを確認したところ、現在所属している片男波部屋が、自身にとって4つ目の所属部屋であるという、数奇な運命を辿ってきた苦労人。

2020年7月場所直前に、現在の片男波部屋所属となり、四股名も玉正鳳萬平と改名。

116㎏の体重が示す通り太れない体質だそうだが、1日4食から5食を食べ、加えてプロテインと夜食も摂るという壮絶ぶり。

インタビューから伝わってくる真面目で裏表のない人柄。
偉大なる義兄、敬愛する師匠への感謝の言葉を忘れなかった。
今回の優勝をもって、来たる初場所は再び関取昇進射程圏内へ。


玉正鳳萬平の相撲人生はある意味、これから本番を迎えるのかもしれない。

序二段優勝 朝志雄は、最高位十両13枚目の「元関取」である。
アマチュア時代の輝かしい実績を引っ提げ、三段目格付出デビューしたのが、2017年3月場所。みるみる頭角を現し、西幕下筆頭に番付された2018年7月場所の3番相撲で右膝靭帯損傷・部分断裂の大ケガに見舞われ、結果的に序ノ口まで転落したが朝志雄は諦めなかった。

2019年9月場所の序ノ口優勝を皮切りに、11場所連続勝ち越しで、2021年9月場所、念願の新十両昇進。

しかし、ここでも膝のケガ・手術により、わずか1場所で幕下へ陥落、つらい時期を経験する。


今年3月場所から4場所連続休場ののち、序二段優勝を勝ち取った。

辛酸を嘗め、屈辱に耐えてきた元エリート。

相撲の神様は、この男にまた必ずや微笑む日が来るだろう。