令和「5回」(九州場所)の幕下優勝者の当時と現在

 幕下とは・・・

関取(十両以上)を窺う地位であり、十両への昇進を目指す者と十両下位の力士との間で、最も競争の厳しい地位でもある。力士として一人前に扱われる関取と、力士養成員扱いの幕下以下とでは、待遇に雲泥の差があるため(給料の有無など)「十両と幕下は天国と地獄」とまで言われる。そのため関取で長く活躍してきた力士は、幕下に陥落したのを潮に引退することも多い。 とあった(Wikipediaより)

私自身、幕下の取組を見るのが好きで「元関取が今この地位で頑張っているのか」「この力士が鳴り物入りでデビューした〇〇なんだ」など、いろんな人間模様が交錯し、感じ取れるざまが何とも言えず趣を感じる。

九州場所の幕下を制したのは、聖富士(さとるふじ・伊勢ヶ濱)※熱海富士の付き人。
この聖富士、出身高校もまるで熱海富士の後塵を拝するように静岡・飛龍高出身であった。これからが楽しみだ。
この写真は入門当時・新弟子の頃か↓↓↓

ここで何の気なしに、「令和」の九州場所限定で幕下優勝者を調べてみた。

そうしたら、いろんなドラマがあった。当時の簡易的なエピソードを含めて順に紹介する。

令和元年 照ノ富士(西幕下10枚目・膝の大けがや糖尿病などで序二段まで番付を落とし再起を図っている途中での幕下優勝)現在 横綱
  
  2年 竜虎(川上・尾上部屋)(西幕下15枚目・以前から患っていた足首の痛み・状態が思わしくなく)令和3年(2021年)秋場所限り引退。たった4年超の土俵人生。最高位・西十両12枚目
※相撲一家。祖父は九州相撲連盟の会長、師匠の17代尾上(元小結・濱ノ嶋)は叔父、この尾上の長男の照寶(本名:濱洲 泉啓)は従弟。

  3年 竜電(西幕下47枚目・コロナ対応ガイドライン違反からの不祥事、女性問題なども絡み3場所の出場停止明けの場所での優勝)現在 東前頭10枚目

  4年 玉正鳳(東幕下23枚目・当時入門から11年、この2場所後に十両昇進を果たす)現在 西十両7枚目

とまぁ、令和5回の九州場所・幕下優勝者をたどれば、天下(横綱)を取ったのもいれば、土俵(相撲)から去った者もいるし、不祥事から這い上がる過程だった力士もいたしで、いろんな偶然にたどり着いた。

なかなか印象的だった。

左から、照ノ富士・竜虎・竜電・玉正鳳↓↓↓

発売中です↓↓↓

相撲 2023年12月号(別冊付録:本誌特製令和六年大相撲手帖) 

https://amzn.to/3N9AFC0

冬巡業がスタート!

 冬巡業が今日からスタートした(熊本県八代市)
残念なことに以前からこの巡業を休場と発表のあった、横綱・照ノ富士に加え霧島と貴景勝の2大関が体調不良(発熱・37度台)で朝稽古を休んだとあった(午後の土俵入りと取組には参加)

地元の熱心な相撲ファンはガッカリされただろう。
そうそう間近で見られる機会なんてないであろうから(今日の八代場所は8年ぶりの開催)
両大関、ご自愛くださいませ。

さぁ、明日以降の日程(九州地区だけでも
4日 熊本県菊池郡
5日 宮崎県宮崎市
6日 大分県大分市
一日空けて
8日 福岡県春日市
9日 長崎県佐世保市
10日 長崎県大村市

以降、愛媛・広島(2か所)・大阪(2か所)・兵庫・栃木と回る。
24日のクリスマスイブで巡業は終了。
と、かなりハードな強行日程である。

今日のところは↓↓↓



貴健斗はこの八代市出身。⇈⇈
今場所は苦労したなぁ。蹲踞(そんきょ)もまともにできずに、膝のサポーターがデカくなったのは後半戦からか。初場所は(幕下から)出直しになるかな。

続いて、熊本出身の人気力士(2人)に堂々と2場所連続の優勝争いをしてきた熱海富士。
正代が場を和ませてくれている。⇈⇈

いい写真です!
力士の皆様、体調に十分にお気をつけて(^^)/⇈⇈

常盤山3人衆タオル! 貴景勝、情熱大陸よかったぜ!↓↓↓

常盤山部屋 バスタオル 貴景勝 貴健斗 隆の勝

https://amzn.to/3tanKsN

九州出身の名力士・天ノ山 静雄

 時津風部屋 昔からこの部屋に入門する学生相撲で鳴らしてきた力士はほとんど東京農業大学出身である。この大学の相撲部は以前から時津風部屋で稽古を行うことがあるため、そのつながりの強さで、東京農大は「時津風付属大学」とまで形容されているとWikipediaにはあった(私は初めて聞いたが)

九州出身の時津風部屋所属で(東京農大以外の)学生相撲出身で調べたら、豊國(とよくに)と天ノ山の2人が出てきた(間違ってなければ)

私は天ノ山だったら少しリアルタイムで見ていたし、記憶にもあるので、今日は「天ノ山」を取り上げたいと思う。

天ノ山 静雄

1953年12月28日 佐賀県多久市に生まれる。
中学で柔道を始めたが、体格が184㎝・100㎏もあったので、強引に地元の相撲大会に出させられたとか。高校でも柔道部に所属していたが、2年生の時にたまたま出場した相撲大会で活躍したため、卒業後は駒澤大学へ進学し相撲部に入った。3年時に学生横綱となった実績から多くの相撲部屋から勧誘されたが、学生時代に後の幕内・谷嵐の父親に世話になっていた縁で時津風部屋へ入門した。

谷嵐・・・元西前頭4枚目 次男は元プロ野球選手(DeNA・巨人・メジャー)などで活躍した山口 俊(現在、東京・六本木でちゃんこ屋「TANIARASHI」を経営)

幕下付出でデビューしたのは、1976年3月。四股名は本名でもある「尾形」1年半で新十両昇進した。新入幕を果たした1978年3月場所では、大関・貴ノ花を倒すなど11勝4敗の好成績を挙げて、生涯唯一の三賞・敢闘賞を受賞している。
※天ノ山の四股名は、再入幕を果たした1979年3月場所から引退まで

取り口としては、突き押し(もろ手突き)を得意とし、将来も期待されたが下半身の脆さが致命的となり、最高位は前頭筆頭止まりに終わっている。

1986年11月場所限り引退
通算成績:400勝411敗7休
幕内在位:30場所
金星は、若乃花(2代目)と三重ノ海から1個ずつ、計2個記録している。

※駒澤大学相撲部出身関取は、この天ノ山と松鳳山(元小結・去年5月場所限りで引退)のみ

ここで谷嵐と山口 俊の名前を聞くことのなるとは想像もつかなかった。
全くの奇縁である。



序ノ口・35歳以上 九州場所編

 ⇈⇈調べたら6人いるようだ。

西序ノ口7枚目  霧丸  (38・陸奥)  2勝5敗
東序ノ口8枚目  輝の里 (45・田子ノ浦)4勝3敗
西序ノ口9枚目  森麗  (36・大嶽)  2勝5敗
西序ノ口11枚目  澤勇  (46・式秀)  1勝6敗
東序ノ口12枚目  肥後ノ龍(38・木瀬)  4勝3敗
西序ノ口17枚目  肥後光 (35・木瀬)  0勝7敗

とあった。
森麗に関しては、最後の勝ち越しが4年前の7月場所までさかのぼった。
澤勇に至っては、「桃智桜」時代の2017年5月場所なので「令和」になってからの勝ち越しが見当たらなかった。
肥後光に及んでは現在30連敗中。最後の勝ち星に至っては、番付外や全休した前の丸1年前の九州場所10日目まで逆上る。

その肥後光、今場所6番相撲で一方的に押し出されると、後頭部から土俵下に落下し強打。
その場で倒れたまま動けなくなり、救急隊が駆けつける騒ぎとなった。翌日(7番相撲で)不戦敗。その後、情報がないようだが快方に向かっているのだろうか。

※その序ノ口を制したのは、安治川部屋のウクライナ出身・安青錦(あおにしき)
去年4月ウクライナから来日。優勝インタビューでは「13歳から大相撲に入りたい」という夢を持ち続けていたとか。全ての質問に対し、流暢な日本語で答えていた。

序ノ口優勝・安青錦↓↓↓

今日はこの(35歳以上)6名にスポットを当ててみたが、勝ち越しは2人のみ(いずれも4勝)と厳しい現実となっている。

左から、霧丸・輝の里・森麗・澤勇・肥後ノ龍・肥後光






九州場所 序二段力士の明と暗

「明」

今場所の序二段優勝は、荒汐部屋所属の大凛山(東61枚目)が優勝決定戦の末、城間(尾上)を押し出して勝ったものだ。
相撲経験なし。高校時代はラグビーに勤しみ、プロ1年半で日大相撲部出身・アマチュアエリートの城間(プロ4場所目)を押し出しに破った。
優勝インタビューでは、終始満面の笑みで「メチャクチャ嬉しいです」と強調し、「もっと立ち合いを強く、突き押しを磨きたい」「三段目で勝ち越すこと」「幕下に入れるように頑張りたい」と今後の課題と目標を明確に話した。

その優勝決定戦の動画↓↓↓

大凛山↓↓↓

「暗」

生涯戦歴147場所、40歳の大ベテラン・古参力士の霧桜(陸奥)の九州(11月)場所限りでの引退が(公式)発表された。
最高時でも、体重が100㎏に届かなかった小兵力士がご当地・九州(鹿児島県霧島市出身)で24年にも渡る土俵人生に幕を下ろした。

明と暗で言うのなら、今場所の陸奥部屋自体の明と暗にもなるのだが(明・霧島優勝、暗・霧桜引退)
最高位西三段目69枚目
三段目在位  20場所
序二段在位 116場所
序ノ口在位  10場所

しかし、よくよく調べれば九州場所は全休で(土俵に上がったのは)9月場所が最後であった。

10月1日に断髪式も終えている。
失礼しました。

ちょうど5年前の動画になりますが、謙豊(時津風・228㎏)との対決を見つけました。